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第51回オータムカップ

地元3歳馬が古馬を一蹴
  東海優駿2着馬が初タイトル

JBCクラシック指定競走となっているオータムカップ。直近10年で地元・笠松の馬が勝ったのは2019年ウインハピネスと20年シャドウチェイサーの2頭で、3歳馬の勝利は14年ノゾミダイヤ(愛知)のみだった。

つまり、これまでの傾向からして北陸・東海・近畿交流の当レースにおいて地元3歳馬は分が悪い。そんな心理も働いたのだろうか。パドック周回中は2頭が2倍台半ばで人気を分け合っていたが、最終的に単勝1番人気は22年道営記念の勝ち馬サンビュート(兵庫)で1.6倍だった。対照的にオッズを上げたのは地元3歳馬のキャッシュブリッツ。のちの東海三冠馬フークピグマリオンに東海優駿で1馬身半差まで迫ったが、他地区の有力馬相手には厳しい戦いになると思われたのかもしれない。

しかし、キャッシュブリッツはいい意味で期待を裏切ってくれた。好スタートから2番手外につけると、3コーナーでは一瞬、サンビュートに並びかけられそうな雰囲気もあったが、その後はグイグイと後続を引き離して3馬身差で勝利。2着にサンビュート、3/4馬身差3着にミストラルウインドが差してきた。

「重賞路線でがんばってくれていて、ようやく勝たせてあげることができてよかったです」と渡邊竜也騎手は笑顔。重賞で2着2回、3着1回と上位争いを続けており、待望の初タイトルとなった。しかし、レースに向かうにあたっては馬体を絞れるかが鍵だったよう。「3日前に510キロあった」と笹野博司調教師が表情を曇らせると、渡邊騎手も「2桁増も覚悟していました」と胸中を明かした。ふたを開けてみるとプラス9キロに抑えられており、「厩務員さんが上手く調整してくれました。担当の高田厩務員と僕は相性がいいですし、真面目な方です。キャッシュブリッツがカイバを食べて体重が減らないと、高田厩務員が食べなくなっちゃうんです」と笑った。馬づくりにおいて意思疎通ができているからこそ、そんな冗談も言えるのだろう。

2着サンビュートは鳥栖大賞に出走予定が直前の大雨でレースが取り止めとなり、その影響が心配されたが、「仕切り直してレースに使えましたし、佐賀への長距離輸送の影響もありませんでした」と田中一巧調教師。兵庫移籍後のこれまでのレースと比べて楽に先行でき、3コーナーでは勝ち馬に迫る場面も見られたが、吉原寛人騎手は「手応えは残していましたけど、少し使ったらなくなっちゃいそうな感じでした」と感触を振り返った。それでも「次に繋がる内容だったと思います」と田中調教師共々、前を向いた。

3着ミストラルウインドの加藤聡一騎手も同じく「3コーナーで思っていたよりも脚を使ってくれて、悲観する内容ではないと思います」とのこと。それぞれにこの先への手応えを掴む一戦ともなった。

取材・文大恵陽子

写真岡田友貴(いちかんぽ)

Comment

渡邊竜也騎手

できれば前走と同じくらいの馬体重で、と思っていて、調整ミスもありましたけど、厩務員さんが上手く仕上げてくれました。いい位置が取れ、ずっと手応えも良かったです。涼しくなってきて体調も良くなってきています。徐々に緩さが抜けていくタイプと感じていて、もう少し成長して良くなると思います。

笹野博司調教師

いい勝ち方でした。前走で短い距離を使ったことも良かったと思いますし、今日は枠の並びも良くてある程度前で自分の競馬ができました。馬体の緩さもだいぶ抜けてきました。古馬相手だとこのくらいの中距離の方がいいのかなと感じますが、選択肢は色々とあるので、これから次走などを考えていきたいです。