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ヤングジョッキーズシリーズTR 浦和

佐藤騎手が連勝でファイナルへ弾み
  地元及川騎手は第1戦で2着惜敗

ヤングジョッキーズシリーズ(YJS)トライアルラウンドの東日本地区での戦いも、後半に突入。浦和競馬場で行われた4戦目には、地方競馬から10名、JRAから4名の騎手が集った。

その中に、昨年のYJSファイナルラウンドの覇者にして、今年のシリーズ初登場となる横山琉人騎手(JRA)の姿があった。優勝後ここまでの1年弱について「何も変わりはないですよ」と苦笑いしてみせた横山騎手に、改めてのシリーズ参加についての思いを聞いた。「いつもと異なる競馬場だし、普段と違い若くて年の近い騎手ばかり。相手の騎乗振りとか癖がわからない中で、レースの流れも違う。優勝は嬉しかったし結果も大事だが、そのいつもと違う経験を大切にしたい」と話す表情や口調には、端々にいい意味での余裕が感じられる。例えば、是が非でも獲りたいと誰もが語るタイトルとはまた異なるYJSの意味合いを、これまでの挑戦で感じているからこその言葉なのだろう。

第5レース発売中に、ウイナーズサークルを二重三重に囲む来場客に見守られながら行われた騎手紹介式の時に差していた陽の光は、徐々に低い雲に遮られていった。

第1戦は第7レース。C3級選抜馬による1400メートル戦だ。明確な先行馬不在の中、11番人気の及川烈騎手(浦和所属、佐賀で期間限定騎乗中)が「想定にはなく、ゲートを出てからの判断」で周囲を見ながら先頭に立ち、後続を引き連れる。小回りの浦和、そしてYJSのレースにしては珍しくペースが上がらず、前半の4ハロンに54秒4を要する、極めてスローな流れとなった。勝負所の3コーナー手前で一気にペースが上がると、加速した逃げ馬について来たのは「無理せず(2番手の)位置が取れて、道中もこれならという手応え」だったという、5番人気の佐藤翔馬騎手(JRA)だけ。一騎打ちとなった直線の攻防の末、外に並んで相手をねじ伏せるように前に出た佐藤騎手に凱歌が上がった。着差はわずかにクビ。ゴールの瞬間、佐藤騎手は雄叫びを上げ、勝利の喜びを露わにした。

2着惜敗の及川騎手は「この馬自身、初めて逃げたのではないか。相手も上手く乗っていたが、こちらも頑張った」とレース内容には納得の様子。1馬身半差の3着に入った菅原涼太騎手(大井)も「リズム良くは走れた。馬の手応えが少し怪しく、大事に行こうと内に行き、結果着を拾えた」と振り返り、残念さの中にも安堵の表情が垣間見えた。一方、1番人気の山本大翔騎手(船橋)は9着。「前が詰まるぐらいスローで、道中で位置を上げられなかった」と振り返り、レースの流れが勝負を分けたことを印象づけた。

日没時刻を前に薄暮照明に灯が入り、第9レースで行われた第2戦は白い明かりに照らされた中でのレースとなった。C2級選抜馬による1400メートル戦。このレースでも1番人気だった山本騎手が、1番枠から出鞭を入れつつ徹底先行の構えを見せ、2馬身程リードを取って逃げていく。2番手に8番人気の菅原騎手がつけ、直後に2番人気の佐藤騎手。第1戦とは異なり淀みない流れの中、3コーナーでは先行した3人が一団となったが、外の佐藤騎手の勢いが圧倒的。最後の直線を待たず先頭に立つと、ぐんぐんリードを広げゴールでは実に2秒0の大差をつけ1着。逃げた山本騎手が2着。3馬身差の3着には、菅原騎手にアタマ差競り勝った3番人気の室陽一朗騎手(浦和)が入った。

山本騎手の先行策は「調教師と相談し指示もあった」とのこと。「発馬後出し過ぎた分ペースが速くなり、終いが甘くなった。相手とは勢いが違った」と、早々に勝負が決したシーンを振り返った。一方、室騎手は完敗の3着に「もう少し位置が取りたかった」と複雑な表情。この浦和でようやく今年のYJS初戦を迎えており、「最後のYJSになると思うので、ファイナルラウンド出場を目指して頑張る」と、トライアルラウンド最終戦の船橋での逆襲に向け意欲を示した。

東日本地区のトライアルラウンドは残り2戦。地方騎手では、この日2着・5着の及川騎手が52ポイントで2位、3着・4着とまとめた菅原騎手が48ポイントで3位に浮上。1位の谷内貫太騎手(大井、52ポイントで上位着順を得た回数の差)から4位の阿岸潤一朗騎手(北海道、47ポイント)までが僅差のうえ、直下に控える騎手たちもまだ騎乗予定を残しており、10月29日の盛岡と31日の船橋での結果次第で大きな形勢逆転もありうる情勢だ。

一方JRA騎手では、この日2勝し60ポイントを獲得した佐藤騎手が合計73ポイントとし、ファイナルラウンド出場に大きく前進した。「まだ技術も未熟なところがあり、ファイナルに向けて改善していきたい。結果が一番大切なのかもしれないが、自分としては内容も大切にしていきたい」と話す佐藤騎手の姿と言葉に、一日の最後に改めて、このYJSというレースの存在意義を感じさせられた。


取材・文坂田博昭

写真岡田友貴(いちかんぽ)、NAR

Comment

第1戦・第2戦1着 佐藤翔馬騎手(JRA)

(第1戦は)すごく乗りやすい馬でした。外(から馬)が来てから馬が反応し、最後までしっかり走りきってくれました。川崎では(人気馬に騎乗したものの)必死になり頭の中がアツくなりすぎていたので、今回はその反省を踏まえて冷静に乗ることを課題に挑んでいました。1戦目でそれが出来て良かったです。
(第2戦は)ゲートの出は少し遅れましたが二の脚が速く、良い位置で競馬が出来ました。手応えが抜群で、正直少し早いかなというぐらいの動き出しでしたが、最後まで馬が応えてくれました。同じ年代、同じ頃にデビューした騎手の集まるレースで、より一層ライバル意識が高まる中、2連勝出来たのは嬉しいです。