直線大外一気に差し切る
断然人気にこたえ3連勝
キャリアの浅い2歳戦では、どのようなローテーションを組むか、レースで何を経験させるか、一つ一つが大きな意味を持つ。
今年のネクストスター園田で単勝1.4倍の1番人気に支持されたオケマルもそうだった。1400メートルの新馬戦を快勝した後はここに直行するつもりだったが、「万が一、出走できないことがあってはいけない」と盛本信春調教師は急遽プラン変更。2022年まで10月に実施されていた兵庫若駒賞には未勝利馬の出走もあり、昨年の当レースもフルゲート割れの9頭立てだったが、蓋を開けてみると今年はフルゲート。あの時、中1週でJRA認定レースへの出走を決めて2勝目を挙げたことが、当レースへの出走を確実なものにした。
レースは枠入りがほぼ完了したところでキミノカチドキが突進したため、他の馬たちはいつもより長くゲート内で待たされることになったのだが、それが奏功したのがラピドフィオーレ。前走・兵庫ジュベナイルカップを勝った時、赤岡修次騎手は同馬のレースセンスを称えつつ「何か一つ間違えると、ゲートも危うい」と話していたが、この日は「途中で馬が観念して落ち着いてくれて、トップスタートを切れた」と、他馬より1馬身ほど速い発馬。差しに構えるプランだったが、楽に先手を取るとスローペースに落とした。そうなると、2番手以降の騎手には早めに捕まえにいかねば、という心理が働く。3コーナーで小牧太騎手とキングスピカが迫ってきて、直線入口から2頭の追い比べ。ところが、ゴール寸前で大外からオケマルが一気に差し切って勝利を収めた。
「スローだし、逃げ馬が押し切るパターンやと思って動いて、4コーナーで一度は前に出かけたんやけどね」とキングスピカの小牧騎手。最終的には半馬身+クビ差の3着。2着はラピドフィオーレで、調教では手前を替える練習が上手くいっていたようだが、レースでは「直線でまだ手前を替えるのが下手な分もあったかな」と赤岡騎手は課題を話した。
勝ったオケマルを迎えに行った担当厩務員は何度も手で涙を拭い、喜んだ。盛本調教師も安堵の笑みを浮かべる。
「道中はヒヤッとして、直線は一瞬、届かないかもと思ったので叫びました」と、盛本調教師としては珍しく感情を露わにしたよう。前走ではポジションを取りに行ったことで砂を被る形になったが「今日もそういう競馬ができたので、今後に生きてくるかなと思います」と話した。
そしてもう一つ、盛本調教師が安堵したのには理由があった。
「馬は違うけど、ウェラーマンが早期リタイアしてしまって、厩務員とずっと『とにかく無事に』と話していました」と、今年の兵庫優駿2着ながら志半ばで引退となった先輩馬のことが頭をかすめていた。
下原理騎手は「最終追い切りに乗ろうかと思っていたんですけど、担当厩務員が自分でやるとのことで、全部仕上げていただきました」と、厩舎サイドの並々ならぬ思いを感じていたようだ。
レース直後は安堵と喜びが入り混じっていた陣営だったが、この後の最終レースも同じコンビで勝つと、馬上の下原騎手は両手で丸を作り、“オケマル”ポーズで喜びが弾けた。
取材・文大恵陽子
写真桂伸也(いちかんぽ)
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盛本信春調教師
前走もでしたが、エンジンがかかるまで時間がかかってヒヤッとしました。外に出してからは本来の伸びを見せてくれましたね。これまで追い切りは馬なりでしか仕上げていなくて、もっと良くなってくると思います。距離も延びた方がいいでしょう。この後は一旦放牧に出して大晦日の園田ジュニアカップへ。








下原理騎手
ホッとしました。向正面で砂をまともに被ると嫌がって進みませんでしたが、4コーナーで外に出すとハミを取ってくれました。あとは「届いてくれ」という思いで、きっちり差し切ってくれて力があります。揉まれる競馬に慣れてくれば、もっと力を発揮してくれると思います。