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第27回エーデルワイス賞JpnIII

自信満々で直線抜け出す
  視線は早くも世界の舞台へ

過去10年で7勝という地元北海道勢優位のエーデルワイス賞JpnIIIだが、今年はこれまでと様相が違った。地元馬に重賞勝ち馬が不在というメンバー。デビューから4連勝で園田プリンセスカップを制したリオンダリーナは次走予定が川崎のローレル賞。また門別の2歳牝馬重賞3連勝のゼロアワーは、前走ブロッサムカップが先週行われたばかり。ともにまだ底を見せていないという戦績だが、ここはローテーションに入ってこなかった。

そうなると人気上位は中央勢。中京ダート1400メートルの新馬戦を好タイムで制したミリアッドラヴが単勝1.4倍の支持を受け、その人気に違わぬパフォーマンスを披露した。

地元のイイデマイヒメが出走取消となって12頭立て。大外枠からハーフブルーが抜群のスタートダッシュを見せ、3コーナーでは後続を4~5馬身ほども離しての逃げに持ち込んだ。直線を向いても単独先頭で、そのまま押し切るかにも思えた。

しかしスタート後5番手で徐々に位置取りを上げてきたミリアッドラヴが、残り200メートルの標識を切ったあたりでハーフブルーをとらえると、並ぶ間もなく交わし去る。鞍上の西村淳也騎手は何度かうしろを振り返って後続の脚色を確認すると、最後は追うのをやめ、左手で握りこぶしをつくってのゴール。2番手を追走していた2番人気アーデルリーベが粘っていたが、中団から脚を伸ばしてきたエイシンマジョリカがこれをとらえ、勝ち馬からは2馬身半差で2着に入った。

直線、逃げていたハーフブルーをミリアッドラヴがとらえにかかるところでは、スタンドのファンから「あぁぁ…」という溜息のような歓声が聞こえた。門別という場所柄、ハーフブルーの関係者だったかもしれない。それがミリアッドラヴの圧倒的なレースぶりを象徴していた。

白い砂での勝ちタイムも優秀で、良馬場1分13秒1は、3歳馬による北海道スプリントカップJpnIII(チカッパ)の1分12秒6(稍重)よりコンマ5秒遅いだけ。

この日、管理する新谷功一調教師はアメリカのブリーダーズカップ遠征のため不在だったが、調教助手の高岡煕(ひかる)さんが「次は全日本2歳優駿で、現時点での最大目標はサウジダービー」と話していたことでは、関係者はキャリア1戦のみでそれほどの素質を見極めていたということなのだろう。

2着馬とは3/4馬身差3着だったアーデルリーベの幸英明騎手は「(直線で)勝ち馬の砂を被ったときに怯んだので、2着馬に対しては力負けではないです。ただ、勝った馬は強かった」と。

地方馬では最上位人気、全体でも3番人気に支持されたハーフブルーは、前半3F=34秒5というハイペースの逃げとなり、勝ち馬に交わされたところで脚が上がったが、それでも4着に踏ん張った。「もう少しふわっと行ければよかったんですが、(ハミを)噛んで行ってしまいました」と小野楓馬騎手。

勝ち馬の強さが際立つレースだったが、地元馬も重賞勝ち馬がいないメンバーながら、掲示板の2着、4着、5着に入ったことでは能力の高さを示した。

取材・文斎藤修

写真浅野一行(いちかんぽ)

Comment

西村淳也騎手

初めてづくしでしたけど落ち着いてましたし、返し馬から勝てると思っていました。門別のダートは非常に乗りやすいですし、馬が楽しそうに走っていました。前2頭がライバルだと思っていて、ちょっと(仕掛けが)早かったですけど、ねじ伏せに行きました。まだまだ成長すると思うので楽しみです。

高岡煕調教助手

今回は距離短縮と門別の白い砂が課題と思って調教してきましたが、それも関係なく走ってくれました。距離は伸びても大丈夫だと思いますが、全日本2歳優駿の1600メートルを使ってみてどうかですね。課題は、手前を替えるのが競馬でうまくできていないことですが、成長すれば改善されてくると思います。