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第14回JBCレディスクラシックJpnI

早めのスパートで逃げ切り圧勝
  歴戦の古馬を一蹴しJpnI初制覇

九州で行われる初めてのJBC。待ちに待ったダート競馬の祭典を楽しもうと佐賀競馬場には1万2千人以上のファンが訪れ、場内は熱気に包まれていた。

JBCレディスクラシックJpnIの1860メートルは、このレースのために2023年4月に新設された距離。コーナー6回のコースはレース史上初めてで、小回り適性は重要なポイントだ。

1番人気に支持されたのは、前哨戦レディスプレリュードJpnIIで1年7カ月ぶりの勝利をあげたグランブリッジで単勝2.4倍。2番人気は昨年のこのレースの覇者アイコンテーラーで2.7倍と、実績ある古馬が人気の中心。今年から3歳牝馬限定戦に変わったマリーンカップJpnIIIを圧勝したテンカジョウが3番人気で4.9倍。東京ダービーJpnI・3着のアンモシエラが8.1倍と3歳馬も注目を集めていた。

ゲートが開くと大外枠からアンモシエラが先手を取った。アイコンテーラーが押して2番手につけ、3番手にライオットガールで、その直後の内をグランブリッジが追走。テンカジョウは中団外目でレースを進めていた。

向正面では3馬身くらいのリードで軽快に逃げていたアンモシエラ。3コーナー手前でさらに差を広げにかかると、そうはさせまいと後続たちも追い出しを開始し反撃態勢。しかし、アンモシエラは止まらなかった。直線は砂が深いとされるインコースを通り、最後までライバルたちを寄せ付けずに4馬身差で逃げ切り快勝。横山武史騎手は力強いガッツポーズを披露した。

3~4コーナーで内から位置取りを上げたグランブリッジが2着を死守。アタマ差の3着には外から鋭く伸びてきたテンカジョウが入った。地方馬最先着は5着のドライゼだった。

ウイニングランでは「たけし!たけし!」という場内コールが起こり、その大歓声に何度も手をあげて応えていた横山騎手。インタビューで直線のコース取りについて聞かれると「作戦です。1周目は軽い外目を通し、賭けでしたが3~4コーナーは内外の差を使って後続を離したいと思ったので、理想的でした」と笑顔が弾けた。

1月のブルーバードカップJpnIIIを勝ち、今年新設されたダート三冠に挑戦したアンモシエラ。羽田盃JpnI・2着、東京ダービーJpnI・3着と存在感を示してきた。前走のマリーンカップJpnIIIは先行争いが厳しく4着に敗れたが「あの展開で4着に残ったのは自信になったので、今回は楽しみにしていました」と松永幹夫調教師は話した。

生産牧場である桑田牧場の桑田美智代代表は「信じられないくらい嬉しいです。スタートのいい馬なので、いいなと思っていたらそこからどんどん離していったので、もしかしたらと期待していました。そのまま行ってくれたので、勝ったー!と声が出ました。牝馬ですが丈夫に大きく生まれて、牧場では素直な馬でした。競馬ではパドックなどでも落ち着きがなかったりしますが、生まれた時はとてもいい子でした。レースの後、おめでとう、ありがとう、良かったねと馬に声をかけてあげました」と喜びひとしおの様子だった。気性面など、まだ課題もあるとのことで、そのぶん成長も楽しみな3歳馬。今後、どこまで強くなるのか注目だ。

グランブリッジは、このレース3年連続で2着という結果。川田将雅騎手は「とても良い状態で今日を迎えてくれ、良い雰囲気で返し馬を終えられました。レース自体も良い内容で走ってくれて、着差通り勝ち馬は強かったですが、素晴らしい走りでした」と振り返った。

3着だったテンカジョウの國分優作騎手からは「課題のゲートもしっかり出ました。スローに感じたので向正面で動いて最後まで良い脚を使ってくれました。どっしりしてきたし成長を感じます」と前向きなコメントが聞かれた。

今年は3歳馬が1、3着と好走し、世代レベルの高さも感じた一戦。古馬になってどんな戦いをしていくのか楽しみだ。

なお、グランダム・ジャパン古馬秋シーズンはこれで全日程を終了した。1位は55ポイントのキャリックアリード(大井)で、春シーズンに続いて優勝。2位は50ポイントのドライゼ(大井)、3位は40ポイントのアンティキティラ(高知)という結果だった。


取材・文秋田奈津子

写真いちかんぽ(桂伸也、岡田友貴)

Comment

横山武史騎手

逃げることしか考えていませんでした。返し馬の時はテンションが高めでしたが、レースでは賢い仔。前半に自分のペースで行けて息を入れられたのが大きかったと思います。向正面でペースを上げた時も反応してくれました。地方のGI/JpnIを初めて勝つことができて、佐賀競馬がすごく好きになりました。

松永幹夫調教師

レースは騎手にお任せでしたが、良いリズムで走っていました。内の馬場が深いと聞いていたので、直線で内を通った時は大丈夫かなと思いましたが、よく頑張ってくれました。まだ完成していないのでもっと強くなります。騎手時代から何回も来ている佐賀競馬場でJBCが開催されるのは感慨深いですね。