北海道デビューの新星登場
スタート決め圧巻の逃げ切り
少頭数が続いていた南関東の2歳重賞だが、今回はフルゲートの16頭が集結した。鎌倉記念を圧勝したベアバッキューン(川崎)が剥離骨折で戦線を離脱したこともあり、ニューヒーローの誕生が急務となっている南関東勢。そんな中で門別デビューの素質馬が圧倒的なパフォーマンスを披露し、来春の主役へ名乗りを上げた。
スマイルマンボはホッカイドウ競馬で2戦2連対。大井への転入初戦だった前走で、ゴールドジュニア勝ちのランベリーを7馬身差で下し、一躍注目の存在となった。母は2012年のTCK女王盃JpnIIIを制したハルサンサンという血統背景もあり、単勝1.9倍の1番人気に支持された。
レースも独壇場だった。好スタートを決めて先手を奪うと、前半3ハロン38秒5の緩い流れで馬群を先導。向正面の半ばからペースを上げ、楽な手応えのまま最後の直線に向くと他馬を一気に突き放し、6馬身差の圧勝劇を演じた。
勝ちタイム1分42秒6(稍重)は近年と同等だが、この開催は全体的に少し遅めの時計で推移していた。それを考慮すれば上々で、力強さを感じさせる走りは母と同様。矢野貴之騎手が「スタートがよかったのでハナに立ちましたが、まだまだ幼いところがあり、物見をして走っているような感じでしたね」と話したように、さらなる成長も十分に見込めそうだ。今後について坂井英光調教師はダート三冠路線を目指すとのことで、優先出走権を獲得した全日本2歳優駿JpnIへの出走について明言しなかったが、このパフォーマンスであれば全国の強豪が相手でも見劣りすることはないだろう。
2番人気のシビックドリームが2着。これまでは差す競馬が多かったが、ゴチャつくのを嫌って先行したことが功を奏した。「難しいレースになるかなと思っていましたが、スタートが良かったので無理に抑えることもないかなと思い、2番手に行きました。でも、本来は切れを生かす競馬のほうが合っていると思いますよ」と安藤洋一騎手。これでデビューからの5戦全てで3着以内と堅実で、立ち回りもうまくなってきた。今後も混戦が予想される際には、軸として信頼できる存在となりそうだ。
2馬身半差で3着のユウユウスキーは好位の内を追走し、直線でもじわじわと脚を伸ばした。森泰斗騎手は「レース自体はうまく行きましたね。勝ち馬は強かったですが、この馬もだいぶ力をつけていますし、来年が楽しみな1頭です」と評価した。もまれる競馬を経験してきたことが、この大舞台で生きた形。今後の成長次第で、さらなる飛躍も期待できる。
取材・文大貫師男
写真早川範雄(いちかんぽ)
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坂井英光調教師
スタートさえうまく決まれば、ある程度先行してくれると思っていましたが、ハナに行くとは思ってなかったですね。向正面の半ばからペースは上がりましたが、このまま行けば結果は出るかなと思って見ていました。いい勝ち方をしてくれたので、これで三冠戦線に向かって行きたいと思っています。
矢野貴之騎手
スタートから自分のリズムで行けましたし、馬が能力を発揮してくれました。パワフルな走りでしたし、前回と同じく調子の良さがうかがえたので、安心して騎乗できました。非常に乗りやすく様々な条件に対応してくれると思うので、お母さんに追いつけ追い越せで頑張ってもらいたいと思います。