2番手から抜け出し人気にこたえる
田中淳司厩舎は短距離路線を制圧
ホッカイドウ競馬の開催ラスト、道営記念を翌日に控えたこの日。夕暮れから冷たい雨が降り出したこともあって、2日前のJBC開催の喧騒とは一転、静かな開催となった。時おり雨が強く降る時間帯もあり、最終レースに組まれた道営スプリントのときには気温3度まで冷え込んだ。
今シーズンのホッカイドウ競馬・古馬(3歳以上)短距離路線は混戦という様相で推移してきた。3歳のストリームが6月のグランシャリオ門別スプリント、9月のウポポイオータムスプリントと2勝を挙げた一方で、道営スプリント2連覇中のスティールペガサスは常に人気の中心でありながら、重賞タイトルがないまま最終戦を迎えた。
ストリームは翌日の楠賞(園田)遠征で不在となったが、田中淳司厩舎は1番人気に支持されたスペシャルエックスをはじめ4頭の出走。一方、2番人気・スティールペガサスの角川秀樹厩舎は、星雲賞を制したトラジロウと2頭出し。門別の短距離頂上決戦は、ホッカイドウ競馬を代表する厩舎対決という様相でもあった。
予想されたとおり逃げたのはクーファアチャラで、外枠(11頭立て10番)のスペシャルエックスはすんなり2番手の外。スティールペガサスはそれをすぐ前に見る位置を追走した。
快調なペースで逃げたクーファアチャラは直線を向いても先頭。しかし満を持してムチが一発、二発と入ったスペシャルエックスが直線半ばでこれをとらえると、あっさり突き放して勝利。クーファアチャラも1馬身半差で2着に粘り、田中淳司厩舎のワンツー。スティールペガサスはクーファアチャラに迫ったものの半馬身届かず3着だった。
スティールペガサスの手綱をとった吉村智洋騎手は「逃げた馬と、すぐ前にも同厩舎(田中淳司厩舎)の馬がいて、自分の競馬ができなかった。もう少しうまく立ち回ればよかったんですが」と、展開的にもライバルのチームプレーに屈した結果となった。
勝ったスペシャルエックスは、ポラリスサマースプリントに続いて今シーズン重賞2勝目(通算重賞4勝)。次走は、昨年3着だった兵庫ゴールドトロフィーJpnIIIに遠征予定とのこと。
鞍上の岩橋勇二騎手は、スペシャルエックスでの2勝のほか、ストリームで3勝、ベラジオゼロでの栄冠賞と、今シーズン重賞6着の活躍となった。
そして田中淳司厩舎は、今シーズンの門別古馬(3歳以上)短距離重賞5戦を完全制覇となった(ストリーム、スペシャルエックスのほか、シュロスでエトワール賞)。そのことを問われると、「長いところは角川先生に全部持っていかれてますから」と笑った。
その角川厩舎のベルピットは、翌日の道営記念で門別の古馬中距離重賞完全制覇の期待がかかる。
取材・文斎藤修
写真浅野一行(いちかんぽ)
Comment
田中淳司調教師
(馬体重プラス24キロは)前走減っていた分もありますし、成長分もあるのかなと思います。見た目にも太い感じはしなかったので自信を持って臨みました。同厩の馬が逃げていたので、競馬はすごくしやすかったと思います。伸び盛りの4歳秋にこうやって勝てたのは、馬の強さだと思います。
岩橋勇二騎手
外枠なので、できるだけ積極的に、とりあえずスタートを決められるように気を付けていました。以前は2番手くらいだとフワフワするようなところもあったんですけど、いいリズムで走れていたと思います。まだやんちゃなところもありますが、そういうところを修正しながらやっていきたいと思います。