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第67回道営記念

北海道の絶対王者が強さ証明
  重圧に打ち勝ち追い比べ制す

この日は門別地区をはじめ道内各地で初雪の便りが聞かれた。時折雪が降って冷たい風が吹き、これからの北海道の長い冬を感じさせる。

「全頭無事に―」。今年の道営記念への皆の願いだ。史上最高といわれたメンバーがそろった昨年は、落馬の影響で半数以上が競走中止。ゴールできなかった1頭のベルピットはそこから立て直し、古馬中距離戦線で圧勝を続けた。門別に専念する姿に「今年こそは」という強い思いを感じ、ファン投票も1位で本番を迎えた。

ライバルは他地区や自己条件へと向かい昨年の再戦とはならなかったが、9頭が出走。昨年2着のアナザートゥルースも上向き調子でこの日に臨んだ。3歳時に三冠全てベルピットの2着だったニシケンボブは、今年は門別で負けなし。高知の赤岡修次騎手を鞍上に打倒ベルピットを狙う。

20時40分の気温は1.2度。雪はやんだが寒空の下、地元の富川高校吹奏楽部による生ファンファーレで発走した。そろったスタートからダイメイコリーダが先頭に立ち、ベルピットは中団で外を回る格好に。淡々とした流れから、3コーナー手前でベルピットが上がっていく。昨年悲鳴が上がったこの場所は今年は感嘆へと変わる。

ここからベルピットが突き放すか、と思われたところでアナザートゥルースがぴったりと追いすがる。そこからは2頭の壮絶な追い比べで、直線を向いて一旦アナザートゥルースが先頭に立ちスタンドから大歓声が上がる。しかしゴール前でベルピットが差し返し優勝した。勝ちタイムは2分6秒7(稍重)。半馬身差2着はアナザートゥルース、4馬身差がついての3着はニシケンボブと人気順の決着。単勝は元返しで、3連単は280円だった。

熱戦を終えた馬たちはもくもくとした湯気に包まれた。角川秀樹調教師をはじめベルピットの関係者らは安堵した表情で、記念撮影には50人以上が参加しコースに移動して行われた。厚賀古川牧場の古川鈴恵さんは「生まれた時は弱くて病気がちだった。無事にゴールしてくれてうれしい」と安心した表情を見せた。『カウントアップチャレンジ2024』のカウントアップM(ミドル・マイル)で、ベルピットは5戦完全制覇となった。

門別最強の称号を手に、今後は他地区への挑戦が始まる。桑村真明騎手は「厳しい流れになる中、馬の力を出し切れるかが課題」と話す。次は名古屋大賞典JpnIIIの予定。

レース後はジョッキー交流会を実施。コロナ禍と昨年のアクシデントで4年ぶりの開催となり、ファンは笑顔でリーディング騎手に返り咲いた石川倭騎手らとサイン会や写真撮影を楽しんでいた。

ホッカイドウ競馬は84日間の日程を終え、馬券発売額は前年対比6%増の543億6567万4750円。2022年以来となる発売金額レコードを更新した。

取材・文小久保友香

写真浅野一行(いちかんぽ)

Comment

桑村真明騎手

絶対勝たなくてはいけないレースだったので、ギリギリでしたが勝ててほっとしています。のんびり行きすぎて馬の良さを出しきれない競馬だったが、最後に馬の地力で勝ってくれました。すごくタフな馬です。

角川秀樹調教師

ほっとしています。一番最後の道営記念を勝ちたいって気持ちが強かったので、無事にレースにたどり着けた時点でひと安心しました。しかしレースになるといろいろなことが頭によぎってヒヤヒヤしました。心肺機能が優れている馬で感心しています。