ゴール前接戦でレコード決着
ハンデ戦の混戦を3歳馬が制す
名古屋競馬場における今年3つめにして最後のダートグレード競走となる名古屋大賞典JpnIII。ダート路線の整備に伴い従来の3月から12月下旬に時期を移し、かつての名古屋グランプリJpnIIと置き換わる形で行われた。年末の開催とあって、冷たい北風が吹く中でも多くの来場客が集い、場内には大きな歓声が響いた。
時期だけでなく競走条件においても、負担重量がグレード別定からハンデキャップへと変更されたことは、大きな話題となった。今回はJRA勢に、今年5月の名古屋グランプリJpnIIで逃げ切り圧勝劇を演じたノットゥルノ(今回60キロ)や、チャンピオンズカップGIを除外されここに回った無敗馬ヤマニンウルス(58.5キロ)、直近の浦和記念JpnIIを勝ったアウトレンジ(58.5キロ)など多彩なメンバーが揃ったが、実績からいずれも重いハンデが課された。
そこで地方からも「ハンデ戦なら一発はあるかと思った」(打越勇児調教師)という3歳馬シンメデージー(高知、54キロ)のようにハンデ差を見込んだ挑戦もあり、道営記念ワンツーのベルピットとアナザートゥルース(いずれも北海道)の参戦と相俟って、レースの興趣は一層深まった。
向正面から馬場を1周半する2000メートル戦。スタート後、4番人気のノットゥルノが鞍上に促されつつ先頭に立つと、1番人気のヤマニンウルスは控えてこれを行かせ、発馬を決めた2番人気の3歳馬ミッキーファイトとともに好位追走の形。「ペースを緩ませず行こうと思った」(鮫島克駿騎手)というノットゥルノが2周目に入って5~6馬身リードを取ると、これを追う後続各馬の動き出しに注目が集まった。
勝負どころの2周目3コーナー。馬の行くままの手応えで前に迫るミッキーファイトに対し、「いつも3コーナーから自分で反応するのに、今日は全然なかった」(武豊騎手)ヤマニンウルスは、離れた位置を追随するのが精一杯。代わって、中団から位置を上げてきたシンメデージーやアウトレンジが先団に加わり、直線では隊列が一気に詰まる混戦となった。
最後は、渋太く粘るノットゥルノを残り100メートルでねじ伏せるように交わしたミッキーファイトが、クビ差先着し優勝。勝ち時計の2分7秒4(良)は、昨年3月の当レースでマークされたコースレコードを0秒8更新するものだった。
2着には「いい逃げが打てた」(鮫島騎手)というノットゥルノ。3/4馬身差の3着には、内を突いてじわじわと伸びたシンメデージーが入った。吉原寛人騎手は「あと50メートルあったら替わるんじゃないかというぐらい、しっかり伸びて最後まで食らいついて行った。このメンバーでこれだけやれたのは自信になった」と、敗戦の無念を吐露しつつも馬の健闘を称えた。
ヤマニンウルスは6着に敗れ、デビューからの連勝が5で止まった。武騎手は「初めてのことが多かった。これだけ乾いた深いダートは初めてで、空回りした感じの走りになった」と敗因を分析。キャリアの浅い馬だけに、今後の成長と、あとは賞金面も含めた動向が注目される。
なお、本競走の売得金額は約14億9200万円にのぼり、これは今年2月のかきつばた記念JpnIIIを上回る名古屋競馬における1競走の売得金額レコード。前年同時期に行われた名古屋グランプリJpnIIを実に5億円以上上回った。1日の売得金額でも最高額を更新し、興業としても大盛況となった。
取材・文坂田博昭
写真宮原政典(いちかんぽ)






戸崎圭太騎手
1番人気の馬(ヤマニンウルス)の強さを感じていたので、あの馬マークとイメージしていました。今日はうまくスタートしてくれたので、前々で良いポジションが取れリズムよく行けました。最後前へ出てくれたのは馬の力だと思います。また今後成長して、大きな舞台で走ってくれたらと思います。