断然人気にこたえ古馬を一蹴
国内無敗で狙うは世界の頂点
ダート競走体系整備の初年度を盛り上げたトップホースたちが暮れの大一番に集結した。晴天に恵まれた大井競馬場には開門から多くのファンが足を運び場内は大盛況。最終的には3万7千人以上が来場し東京大賞典デーを堪能していた。
10頭立ての少頭数ではあったが、JRA馬7頭中5頭がGI/JpnI馬、その他の2頭も同2着の実績がある超豪華メンバー。その中で単勝1.3倍と断然の支持を集めたのが3歳馬フォーエバーヤングだ。今回と同じ舞台だった3歳ダート三冠目のジャパンダートクラシックJpnIを好タイムで制している。2番人気は今年のJBCクラシックJpnIで念願のGI/JpnI制覇を果たしたウィルソンテソーロで5.0倍。3番人気はこのレース2連覇中のウシュバテソーロで8.3倍。今年の東京ダービーJpnI馬ラムジェットが9.5倍と続いた。
地方馬の人気最上位は、南関東重賞3勝をあげているサヨノネイチヤ。初めてのダードグレード挑戦となった帝王賞JpnIでは5着に健闘しており、さらに相手が上がってどのようなレースを見せてくれるか注目された。
ゲートが開くと抜群のスタートを切ったのはフォーエバーヤングだったが、「プラン通りだった」(横山武史騎手)というクラウンプライドが外から先手を主張した。フォーエバーヤングは2番手に控え、直後に紅一点のグランブリッジ、ウィルソンテソーロが続き、ラムジェットやウシュバテソーロは集団の後ろを追走した。
ゆったりとしたペースで進む中、向正面で動いたラムジェットが最内からするすると進出し3番手まで上がった。3~4コーナーで9頭の馬群が固まって直線を迎えると、スタンドからは割れんばかりの大歓声。
残り200メートル手前でフォーエバーヤングが先頭に立つと、それを目掛けて内からラムジェット、外からウィルソンテソーロが懸命に追いかけた。しかしメンバー最速の上がりで寄せ付けなかったフォーエバーヤングが1馬身3/4差で押し切り、坂井瑠星騎手の左手が大きく上がった。2着はウィルソンテソーロ、クビ差の3着にラムジェットが入った。
レースを終えたフォーエバーヤングは「リュウセイ」コールが響き渡るスタンド前をウイニングラン。『世界の矢作厩舎』が誇る若きエースは、国内無敗を伸ばし、あまりにも華麗な世代交代劇を見せつけた。
坂井騎手は「国内では初めて古馬の一線級と戦うことになりましたが、世界一を目指している馬なので負けられない気持ちでした」ときっぱり。それでも、アメリカからの帰国初戦ということで仕上がりは万全ではなかった。「海外遠征帰りで少し馬が緩んでしまいました。徐々に上がっていましたが、八分くらいの状態でしたね」と矢作芳人調教師。4コーナーでは早めに追い出すシーンが見られたが「まだ状態が完璧ではないこともあり……。このあたりが課題になってきます」と坂井騎手は振り返った。そんな中でもレースは完勝だったのだから末恐ろしい3歳馬だ。
今年は中東遠征から始まって結果を残し、ジャパンダートクラシックJpnIでは世代のトップを証明。アメリカのGIは2戦とも3着ではあったが、好勝負を繰り広げ、改めて強さを印象づけた。そして来年は、世界の頂点を目指すのみ。今後はサウジカップGIに向けて調整を進める予定だ。矢作調教師は「このままではサウジで勝てないので、もう一段あげないと」と強い眼差しで語った。ダート新時代とともに現れたスーパースター、フォーエバーヤング。2025年もこの馬の成長と活躍から目が離せない。
ウィルソンテソーロは昨年に続いての2着だったが、安定感には頭が下がる。川田将雅騎手は「よくがんばりました」とコメント。高木登調教師によると次走は同厩のウシュバテソーロとともに、サウジカップGIに向かいたいとのことだ。
ハイレベルな3歳世代を象徴するかのようにラムジェットも古馬相手に好走した。三浦皇成騎手は「ペースが落ち着いていたし内が空いていたので、馬のリズムで上がっていきました。ただフォーエバーヤングは強かったです。それでもよく食らいついてくれました」と振り返った。
地方の期待を背負ったサヨノネイチヤはJRA勢を交わすことができず8着だった。「仕上がりがとても良かったので5着には……。という感触はあったのですが、壁は高かったです。ただ来年はダートグレードレースにぶつけていきます。1つは獲らせてあげたいですね」と坂井英光調教師。この後は川崎記念JpnIが目標とのこと。サヨノネイチヤの挑戦にも注目してきたい。
取材・文秋田奈津子
写真いちかんぽ(築田純、岡田友貴)
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矢作芳人調教師
坂井騎手とは2番手という話をしていて、アメリカで鍛えたスタートで楽になりました。負けないだろうと見ていましたが、4コーナーの手応えが悪く見えたのでこれからの課題だと感じています。生まれ故郷(大井)の東京大賞典を勝つというのは僕の人生にとっても大きな意義のあること。本当に嬉しいです。










坂井瑠星騎手
前走の前半で行かせる競馬をしたので、それを馬が覚えていたいようで飛び出すようなロケットスタートでした。直線は今後のことも考えてしっかり追いました。自分自身、今年は世界の大舞台で勝ち切れなかったので来年はがんばらないと。ただ、今年の締めくくりを大井で勝てたことがなによりうれしいです。