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第39回全日本新人王争覇戦

 

連勝で高杉騎手が総合優勝
  第1戦2着の七夕騎手が2位

11月下旬から晴天続きの高知市。ここ数年、馬場の乾きがやや早くなった高知競馬場は好天に後押しされて冬でも良馬場や稍重の日が続き、全日本新人王争覇戦は稍重ながら砂煙舞う中での実施となった。

今年は出場12名中6名が高知初騎乗という顔ぶれ。残りは騎乗経験があるものの、ジョッキー交流戦の数戦のみという騎手も多く見られた。

深澤杏花騎手(笠松)は昨年の黒船賞JpnIII以来となる高知。「2戦とも先行馬なので、内を走りすぎないようにしようと思っています。脳内イメージは名古屋」と、笠松と常時交流があり内を大きく空けることの多いコースをイメージした。

 

第1戦はその深澤騎手が先手を取った。前半400メートルは26秒1。C3クラスの稍重と言えどさすがにスローペースではと思われたが、隊列は20馬身弱の縦長で、後方グループの馬が上位に入着する差し展開となった。その中でも2コーナーから追って長くいい脚を使ったのがバンクショットと高杉吏麒騎手(JRA)。スタートでは躓いて後方からとなってしまったが、「そのまま後ろをついていっても、感覚的にいい結果にならなさそうだったので」と早めから動いたことが勝利を引き寄せた。

ブービー人気ながら1馬身半差で2着の七夕裕次郎騎手(浦和)は後方2番手から「展開が流れて、いいかと思いましたが」と差し馬向きの展開だったことを話すと、後方3番手から運んで3着田中洸多騎手(大井)も「ペースが速く、直線はみんなバテ合いになっていました」と同様の感覚だった。

そこには高知特有の深い砂も関係していただろう。4着菅原涼太騎手(大井)が「レース前に馬場を歩いた感覚よりも馬上では深く感じました」と他場より力を要する馬場の感想を話したほか、逃げた深澤騎手はイメージトレーニングをしていたものの「思っていたよりも内を走ってしまいました」と慣れない馬場に苦戦。その点、田中騎手が「地元の阿部基嗣騎手が走る位置を見ながら運びました」というのはいい選択だっただろう。

 

第2戦も逃げたのは深澤騎手だったが、今度は前半400メートルが26秒8とさらにペースを落とした。そうなれば、本来なら前有利の展開。直線入口まで粘ったが、最近の高知は逃げ馬が残りづらい馬場傾向で、2番手外につけたヒノタマボーイと高杉騎手が抜群の手応えで先頭に立つと、1馬身半差で2連勝を決めた。2着に3番手から運んだ吉村誠之助騎手(JRA)。3着の長尾翼玖騎手(兵庫)は2023年に当地で期間限定騎乗を行っており、最内枠から直線で馬場の軽い外に出したのはコースを知るからこそ。ただ、「もう少し動かせたら」と唇を噛んだ。4着青海大樹騎手(佐賀)は1番人気に支持され五分のスタートを決めたが、ポジション争いで後手に回ってしまった。「もう少し流して行っていれば……。また来ます!」と九州へと帰っていった。

 

総合優勝は2連勝を挙げ100ポイントの高杉騎手。昨年のJRA賞最多勝利新人騎手と合わせてダブルタイトルを獲得した。所属は栗東の藤岡健一厩舎。藤岡調教師の長男にはGI/JpnI・5勝の佑介騎手がいて、彼は一昨年秋頃から「いかに馬に無理させず好位置を取るか」を課題にスタートの出し方に取り組んだ。高杉騎手も先輩騎手からその考えを聞いて「自分も意識しています」と話す。第1戦こそ当地初騎乗でスタートで躓いたが、第2戦は好スタートを決めた。

総合2位は2着・5着で50ポイントの七夕騎手。21年に期間限定騎乗していた岩手で重賞初制覇を果たし、同年暮れにはヤングジョッキーズシリーズ(YJS)でファイナルラウンドに出場した24歳が地方勢唯一の表彰台となり、3位は6着・2着で45ポイントの吉村騎手だった。

表彰式で各騎手は当レースオリジナルブルゾンを着用。デザインを担当したのは、19年デビューで、レース中の落馬負傷により車椅子ユーザーとなり、昨年11月末に騎手を引退した妹尾将充氏だった。「同期はもう新人王に出るキャリアじゃなくなってしまいましたが、若手同士のレースなので明るいイメージを描きました」と、以前から絵を描くのが好きだったことが生かされた。

 


取材・文大恵陽子

写真桂伸也(いちかんぽ)

Comment

総合優勝 高杉吏麒騎手(JRA)

地方競馬では勝ったことがなかったですが、初めての高知競馬場で2連勝できて嬉しいです。第1戦は直線で予想以上に馬に余力があり、しっかり走ってくれました。第2戦は砂を被ると良くないと聞き、思った位置でスムーズに運べました。年齢が近いので負けたくないと思っていたので、勝てて嬉しいです。

総合2位 七夕裕次郎騎手(浦和)

表彰台に上がりたいと思っていて、爪痕を残せてよかった。第1戦は2着で、勝ちたかった。第2戦は馬のリズムに合わせて行って、3コーナーまで「おっ」と思いましたが、しまいに甘くなってしまった。昨年は(通算101勝を超えていて)YJSに出られなかったので、同世代と争えて楽しく刺激にもなりました。

総合3位 吉村誠之助騎手(JRA)

馬は頑張りました。