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レディスジョッキーズシリーズ2025佐賀ラウンド

今年も国際女性デーにLJS
  九州出身の木之前騎手が首位

昨年に続き国際女性デーに合わせて開催されたレディスジョッキーズシリーズ(LJS)。騎手紹介式の後には佐賀競馬場の職員や厩務員、タレントなど競馬に携わる女性も集合して記念撮影が行われた。筆者もその一人として写真に収まったが、両隣は検量室で業務にあたる女性と、広報業務の担当者。普段、ファンからは見えにくい部署だが、生き生きと活躍している。

その紹介式の前後、ファンから祝福を受けたのは濱尚美騎手(高知)。5日前に自身のSNSで入籍を発表し、終始笑顔が溢れた。

その濱騎手が第1戦は単勝1.7倍の1番人気。騎乗馬は5走続けて3着以内と堅実な走りに期待が寄せられた。ところが、序盤から進みがいまひとつだった。同じくスタートひと息だったのはピークカラーと木之前葵騎手(愛知)だが、こちらは結果的に勝利を引き寄せる。それは、揉まれ弱い馬で立ち遅れたことで、キッパリと控える競馬を選択したことが一つの要因。向正面で外からマクっていくと、直線は3頭の追い比べを制して勝ちを収めた。

「接戦だったのでドキドキしましたけど、九州唯一の地方競馬の佐賀競馬場で勝てて嬉しいです」と宮崎県出身の木之前騎手。その嬉しさにはもう一つ理由があり、騎手になりたいと夢を描き始めた小学生の頃、右も左も分からずに、近所で馬を飼っていた家に母と突然訪問し、イロハを教えてもらったのだが、そのご家族が応援に駆け付けてくれていたのだ。パドックには『宮崎県三股町の誇り!』と横断幕も掲げられ、「競馬場に応援に来てくれたのは初めてで、勝つところを見せられてホッとしています」と恩人たちへの感謝が溢れた。

1番人気の濱騎手は6着。「掛かる馬と聞いていたんですけど、スタートしてからハミを掛けようと肩ムチを入れても全然で」と、普段と馬の様子が違ったようだ。4着塩津璃菜騎手(兵庫)は「外に出して追おうと思ったタイミングで上手く出せなくて」と、先輩たちとのレースで勝負所で上手く進路を取れなかった。

そこに一人、沈んだ表情でトボトボとやってきたのは2着佐々木世麗騎手(兵庫)。直線で3頭並んだ追い比べの際に外に斜行し、戒告を受けた。あまりの落ち込みように、被害を受けた3着神尾香澄騎手(川崎)が「競馬だからそういうこともあるよ、仕方ない」と励ます場面も。手応えがありながらも危険回避のため、大きく手綱を引いて外に切り替えさざるを得なかっただけに悔しさもあっただろうが、同期を心配した。

第2戦はその神尾騎手が逃げ、2列目は熾烈な先行争い。直後2番手に塩津騎手、その外に深澤杏花騎手(笠松)がつけたところ、さらに外から中島良美騎手(浦和)も並びかけて、3頭が横並びで1コーナーを回った。

それを冷静に見ていたのは昨年、2度目の年間100勝を達成した宮下瞳騎手(愛知)。3コーナー手前で先頭に並びかけたが、4コーナーで内をすくってじわじわと伸びたのは関本玲花騎手(岩手)とバイコーン。追い比べをクビ差制して勝利を手にした。

「内枠の成績が良くないと聞いていましたけど、前が速くなって、馬も力があって勝てました」

そう喜んだが、心なしか表情は引きつっている。

「月曜日の調教中、ほぼコンクリートの上に落馬して、お尻が痛いんです」とのこと。それでも第1戦はBグループの馬を5着まで持ってきて、第2戦で勝利。「乗っている間は大丈夫で、お尻をついて追えるんですけど、ゴールした瞬間に『痛―いっ!』と」

しっかり休養して治せればベストだが、時にそれは叶わないこともあるのが騎手。レース中はアドレナリンが出ていたのだろう。

惜しくも勝利を逃した宮下騎手は「仕掛けが少し早かったですかね」と肩を落とした。3着は同着で中島騎手と、大外から差し脚を伸ばした木之前騎手、5着に濱騎手だった。

鍵となった先行争いについて6着深澤騎手が「笠松で走っていた馬で、砂を被るとダメな子だと分かっていたので、『ここで下げるのもな』と突っ張って、馬にはキツい展開になってしまいました」と話すと、中島騎手も「砂を被らない方がいいと聞いていたので」と思惑は同じだった。

2戦の結果、暫定1位は1着、3着で45ポイントの木之前騎手。「まだ園田ラウンドがあって気が抜けないので、次も頑張りたいです」としつつも、表彰式では地元からの応援団を前に笑顔が弾けた。

2位は5ポイント差で関本騎手、3位はさらに16ポイント離れて宮下騎手。園田ラウンドは4日後の3月12日に行われ、そこでLJS優勝者が決まる。


取材・文大恵陽子

写真桂伸也(いちかんぽ)

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第1戦1着 木之前葵騎手(愛知)

揉まれ弱いと聞いていたので、スタートを出なかったら控えようと考えていました。ペースが速くならないうちにいい位置を取れたらと思い、向正面で上がっていきました。3コーナーで一度息を入れてから追い始め、勝てて嬉しいです。出遅れたことが逆に良かったですね。

第2戦1着 関本玲花騎手(岩手)

前走タイムが速く、チャンスだと思っていました。スタートからみんな叩いていっていて後方からになりましたが、2番手以降の馬が少し外を走っていたこともあって、私が通った内の場所も少しは楽でした。ジリジリと伸びるタイプでゴールまで不安でしたが、馬の力で勝てました。