重ねた惜敗を糧に素質開花
大一番で悲願の重賞初制覇
北陸(金沢)・東海(笠松と名古屋)地区交流で、3場持ち回りにて行われるネクストスター中日本。昨年の名古屋1500メートルから、今年は笠松1400メートルに舞台を移して争われた。
今回、開催場の笠松から7頭、愛知から4頭、そして3月に冬の休催期間が明けたばかりの金沢からも1頭がエントリー。重賞3勝のページェントが前週の大井・京浜盃JpnIIへの挑戦を選択し、4戦土つかずで2つの重賞を制してきたカワテンマックスが直前に出走を回避するなど、出走馬が定まるまでには曲折もあった。しかし、前走で重賞・ジュニアグローリーを勝ったミランミラン(笠松)や、重賞・準重賞で手堅く活躍を続けるケイズレーヴ(愛知)が参戦したほか、昨年秋のネクストスター名古屋の勝ち馬エレインアスティが育成牧場での調整を経て戦列に復帰するなど、春の活躍を期する馬たちが揃い興味深い一戦となった。
この日、大きなテーマとなったのは馬場状態。ひとつ前の第9レースまでに、実績劣勢の馬も含め逃げ切りが8回決まっていたことから、内ラチ沿いの馬場が軽く有利とみた各陣営は、戦前から相手関係と馬場の特性を踏まえたレース運びに考えを巡らせていた。
先行争いは激烈を極めた。先手を取ったモカチャン(金沢)を巡り、エレインアスティがその外2番手につけたのは、陣営の思惑通り。1番人気のミランミランは更に外の3番手となった。これらに対し、馬の特性と馬場状態から「なにがなんでも行くつもりだった」(渡邊竜也騎手)というセンゴクブショウ(笠松)が大外から競りかけると自ずとペースは上がり、最初の3ハロン35秒4という速い流れでレースは進んだ。
勝負所の3コーナーで、逃げたモカチャンをエレインアスティが交わすが、前半で競った分勢いがない。そこに攻め込んできたのが、先団の後ろにいたケイズレーヴだ。馬の間を縫うように進出して4コーナーで先頭に立つと、後続の追撃を凌ぎ切り勝利した。好位にいたノリノリブリランテ(愛知)が、1馬身差で「価値ある2着」(加藤聡一騎手)。アタマ差の3着には、「早く抜け出すより、追いかける形の方が合う」(藤原幹生騎手)というマルヨハルキ(笠松)が後方から追い上げ、3着までを道中で内ラチ沿いを選んで進んだ馬たちが占めた。
一方、1番人気のミランミランは12着の殿負け。「3コーナーで内から張られてしまい、走る気をなくしてしまった」と、筒井勇介騎手は無念の表情を見せた。
勝ったケイズレーヴは、名古屋デビューのいわゆる“生え抜き”馬。8月に東海地区で世代最初の2歳準重賞を制して以来、期待の高い馬だった。秋以降は重賞で惜敗続きだったが、春を迎えこの大一番で値千金の初重賞制覇となった。管理する榎屋充調教師は41歳。調教師歴5年で新進にして気鋭と言える存在だ。かねてから名古屋でデビューする2歳馬の導入に熱心で、今回の勝利に「最高ですね。(自厩舎でデビューさせて)ここまで来た馬は初めてなので」と、競走馬セールで購買する段階から関わり、縁を得て育ててきた馬の活躍に、喜びをあらわにした。
この後、北陸では独自の3歳戦線が展開される一方、東海では東海優駿(6月4日・名古屋2100メートル)を頂点とするクラシックと、ぎふ清流カップ(6月12日・笠松1400メートル)を目標とする短距離の路線に分かれていく。馬たちがそれぞれどのような道を歩んでいくか、各陣営の判断と選択も今後一層注目される。
取材・文坂田博昭
写真宮原政典(いちかんぽ)
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榎屋充調教師
今日の馬場状態では内に入るしかないと思っていたので、状況なりに「こうなって欲しい」という展開になりました。長い距離もこなしはするという感触はあるので、次走は駿蹄賞(5月5日・名古屋2000メートル)のほか、西日本クラシック(5月8日・園田1870メートル)についても視野に入れていきます。






丸野勝虎騎手
初めて乗る馬なので、返し馬から感触を確かめましたが、とても乗りやすく背中もすごく柔らかくていい馬だと思いました。今日の馬場状態は逃げ切りが多かったので、その辺りを考慮して乗りました。道中では、皆が攻めた結果(自分に)いい展開になり、イメージ通りの競馬が出来ました。