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第2回兵庫女王盃JpnIII

早め好位で競り合いから抜け出す
  引退のアーテルアストレアは2着

今年で2年目を迎える兵庫女王盃JpnIII。JRA馬にとっては貴重な牝馬限定のダートグレード、地方馬にとってはグランダム・ジャパン古馬春シーズンの重要な一戦となっている。

今年はそこに特別な思いを抱き参戦する人馬がいた。アーテルアストレア(JRA)は前走・フェブラリーステークスGIで引退・繁殖入り予定だったが、主戦の菱田裕二騎手が騎乗停止のためコンビを組むことが叶わなかった。レース後、オーナーはもう1戦することを決断。ここ兵庫女王盃JpnIIIで主戦と共に正真正銘のラストランを迎えることとなった。

本馬場入場時は担当の酒井慎調教助手が抑えきれんばかりに元気いっぱいで、返し馬を見守るファンの中には同馬の特製トートバッグを持つ者もいた。

レースはアンデスビエント(JRA)の好スタートから始まった。昨年の関東オークスJpnIIを制したときのように先手を取ると、楽なペースに持ち込んだ。

しかし、そこに待ったをかけたのはテンカジョウ(JRA)。ゲートが開く寸前に体勢を崩して後方からとなったが、1周目スタンド前で外に切り替えて先行勢にとりついた。そうなると、前に付けていた馬はペースアップせざるを得ない。さらに向正面に入るとすぐアーテルアストレアが一気に仕掛けて3コーナーで先頭に躍り出た。そのまま押し切りを図るも、虎視眈々と構えていたのはテンカジョウ。直線に向くと一枚上手の伸び脚を見せて差し切り勝利を手にした。

デビューから7戦すべてで手綱をとっていた國分優作騎手が怪我のため、松山弘平騎手が初騎乗となったが、初の古馬の別定重量戦で重賞2勝目。昨年9月、3歳限定に生まれ変わったマリーンカップJpnIIIを勝った直後には、岡田稲男調教師が「まだ底を見せていないので楽しみです」と頬を緩めていた。大西貴史調教助手も「3歳の時はまだ体が緩い状態で勝ち続けていたので、正直、驚きでした」と振り返る。そこから徐々に馬体がしっかりとし、今回の勝利へと繋がった。

2着はアーテルアストレアで昨年と同じく勝ち馬にあと2馬身届かなかった。菱田騎手は下馬するなり橋口慎介調教師に「ねじ伏せたと思ったんですけど」と悔しそうにひと言。気持ちの伝わってくる騎乗だった。

3着は昨年の覇者ライオットガール(JRA)。先行力が武器で、小回り園田が合うタイプだが、クイーン賞JpnIIIを挫跖での取り消し明け。「1回叩いた方がいい馬」と岩田望来騎手は言いつつも、4コーナーでは勝ちを意識する走りだったと話した。

地方最先着は4着サンオークレア(兵庫)。坂路で乗り込まれて挑んだ前走では、初経験馬には魔境とされる高知競馬場でレジーナディンヴェルノ賞を勝った。その前走を含め4戦続けて騎乗の石川倭騎手(北海道)は「馬群が苦手ですが、持続力がある点がこの馬の良さ。今日のような展開だと良さが生きました」と話した。

さて、表彰式には岡田調教師に代わり、大西調教助手が立った。聞くと、「(テンカジョウと同馬主の)クロジシジョーが今週末、ドバイゴールデンシャヒーンに出走するので、オーナーと調教師はドバイに行っているんです」とのこと。このレースが行われた園田からは昨年、イグナイターが挑戦したレースだ。テンカジョウ勝利のいい流れが、中東へと届くか。

取材・文大恵陽子

写真桂伸也(いちかんぽ)

Comment

松山弘平騎手

馬が強かったのひと言です。3番枠で、出遅れて嫌な形だと思い、前も楽なように見えたので、スタンド前でポジションを上げて前を突っつく競馬をしました。コーナーの多い競馬はあまり経験がなく、コーナーで置かれる面がありましたが、直線に向いてしっかり伸びてくれました。この先が楽しみな馬です。

大西貴史調教助手

出遅れて厳しいかなと思った瞬間もありましたが、ジョッキーが上手く外に出してカバーしてくれました。早めに動いて力でねじ伏せ、改めて強い馬だなと感じました。馬力もバネもあり、地方の力のいる馬場は合うと思います。馬格もあるので、斤量も気にはなりませんでした。