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第74回川崎記念JpnI

一気のスパートから接戦を制す
  8歳馬が1年9カ月ぶり復活の勝利

1月下旬(または2月上旬)から4月上旬に移行し、1着賞金が1億円に増額されて2回目となる川崎記念JpnI。一昨年の2歳戦から始まったダート競走の体系整備の目指すところは、芝の中央に対して地方競馬におけるダート競馬のレベルアップだが、その効果は徐々に表れてきているように思われる。

かつてであれば、中央から地方に移籍するのはピークを過ぎたような馬がほとんどだったが、近年では若いうちから地方在籍のほうが有利と考えて移籍する馬も目立ってきた。昨年のこのレースで、グレード初勝利がJpnIとなったライトウォーリアはもちろんのこと、地方のダートグレード3勝で大井に移籍したディクテオンや、昨年のJBCクラシックJpnI(佐賀)で3着に好走したキリンジもそうした例だろう。

勝ったのはJpnI・3勝の実績を誇る古豪メイショウハリオだったが、地方馬も見せ場をつくった。

序盤の注目は、これまでこの路線で何度か激しい先行争いを演じてきたダイシンピスケスとメイショウフンジンがどう出るか。果たして、好スタートを切ったのはダイシンピスケスだったが、外枠でもメイショウフンジンの酒井学騎手が出ムチを入れ、何が何でもという勢いで先頭立った。ダイシンピスケスは抵抗せず2番手。最初の3コーナーに入る前に隊列が決まったことで一気に流れが落ち着いた。4コーナーからスタンド前の直線では、14秒台から13秒台後半のラップが続くという、JpnIのメンバーを考えれば超スローペース。

そのゆったりした流れを一気に動かしたのがディクテオンだった。向正面に入ったあたりで中団から一気に仕掛け、これに呼応して動いたのが、その直後にいたメイショウハリオ。14秒2のラップのあとに11秒8。まるでジェットコースターかという緩急の激しい展開となった。

ディクテオンが3コーナー手前で先頭に立ったが、メイショウハリオもペースを緩めず3コーナーを回って先頭を奪った。

単独先頭で直線を向いたメイショウハリオが一旦は3馬身ほど突き放したが、ディクテオンが盛り返してくると、さらにサンライズジパングも迫ってのゴールは、メイショウハリオがディクテオンを3/4馬身差で振り切っての勝利となった。

前走フェブラリーステークスGI・2着で人気を集めたサンライズジパングは半馬身差で3着。「3~4コーナーで内の馬と接触したことと、きついコーナーでバランスを崩して外に流れて、それが厳しかった」と幸英明騎手。そのうしろは4馬身離れて4着にキリンジ。昨年きわどい2着もあって2番人気に支持されたグランブリッジはスタートで鼻先が地面につきそうなほどバランスを崩したことに加え、一気のペースアップに対応できず6着。連覇が期待されたライトウォーリアは「スタート決まらず、内枠なので競馬にならなかったです。すいません」と吉原寛人騎手。ミックファイアはスタートで大きく出遅れて9着だった。

勝ったメイショウハリオは、2023年の帝王賞JpnI以来、じつに約1年9カ月ぶりの勝利でJpnIは4勝目。濱中俊騎手はよほどうれしかったのだろう。ゴール後、メイショウハリオをスタンド前のファンのところまで導くと何度も手を上げて声援にこたえ、ムチを投げ入れた。岡田稲男調教師は「昨年サウジ遠征の輸送のアクシデントでトモを痛めてからどうも馬がしんどくて、よく復活してくれました。うれしいです」。次走は馬の状態を見ながら、平安ステークスGIII(5月24日)か、かしわ記念JpnI(5月5日)になるだろうとのこと。

一方、2着に負けたとはいえ、ディクテオンは地方に移籍してGI/JpnIを獲るという気概を見せた。転入初戦だった前走ダイオライト記念JpnII(4着)では「まだ手探り状態」と言っていた荒山勝徳調教師だったが、「今回はメイチの仕上げで、装鞍所で見たときも馬のシルエットから違っていた。結果論にはなるけれど、(先頭に立ったときに)息を入れずに行ききってしまえばよかったかもしれない。それでも最後に差し返していたからね」と手応えを感じた様子だった。次走、帝王賞JpnI(7月2日)であらためてJpnIタイトルを目指すことになるようだ。

直線瞬発力勝負のメイショウハリオ、長く脚を使えるディクテオン。スローペースを打破してレースを動かした2頭による決着は見応え十分だった。

取材・文斎藤修

写真いちかんぽ(早川範雄、築田純)

Comment

濱中俊騎手

けっこうペースが遅いなと思って、2周目で動く馬がいたので同じタイミングで行かせました。コーナーも小回りなので早めに動いてもいいんじゃないかと思っていました。8歳になって立て直すのも大変だったと思いますが、しっかりサポートしてくれた厩舎スタッフがすばらしいと思います。

岡田稲男調教師

(動き出すのが)ちょっと早いかなとも思ったんですけど、小回りコースなのでむしろ早めの仕掛けがよかったと思います。年のせいか体の張りの戻りが遅いと思うときもあり、衰えのようなものを感じるときもありますが、走るフォームも変わりないですし、ほんとによくがんばってくれました。