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第25回留守杯日高賞

折り合い克服し重賞初制覇
  地元岩手勢も2・3着に健闘

東北に春の訪れを告げる、3歳牝馬の重賞・留守杯日高賞。昨年は、水沢競馬場の向正面に広がる桜並木の花もピークを過ぎてしまっていたそうだが、今年は丁度満開近くの花盛り。この日も多くの人々が訪れ、壮大なスケール感のある桜並木の中に入り思い思いに花の姿を楽しんでいた。

レースでは、地元岩手勢に加え南関東から3頭の遠征馬が参加し、花を添えた。「正直距離に不安があり、適性を考えこのレースに絞って来た」(大井・宗形竹見調教師)というフリーダム、「南関一線級では少し苦しく、こことのじぎく賞(5月22日・園田)に目標を定めた」(川崎・鈴木義久調教師)というモンゲーキララ、「オーナーの提案があり、距離や輸送などの課題に馬だけでなく自分もスタッフも挑戦することにした」(大井・大宮和也調教師)というファーマビューティ。3頭それぞれが単に“相手関係”というだけではなく、テーマや課題を持っての遠征。グランダム・ジャパン(GDJ)は、人馬にそうした挑戦の場を提供する重要な舞台にもなっていることが窺われた。

薄暮開催の水沢。午後に時折降った雨は止み、向正面の桜並木を夕日が鮮やかに照らしながら沈んでいく中、レース発走の時を迎えた。

4コーナー奥の引き込み線からのスタート。発馬を決めたノヴェルウェイが先手を取ると、すぐに1周目の4コーナーがやって来る。「折り合いが少し難しい馬、そこのバランスを見て進めるつもりだった」(笹川翼騎手)という1番人気のフリーダムは、馬をなだめながらコーナーを回り、2番手につけた。地元期待の3番人気ステイクラッシーも好発を切り、その直後の3番手。

一方、2番人気のモンゲーキララは大外枠が災いし「出てすぐに物見をしてしまい、外にも張ってしまった」(高松亮騎手)ため、馬場の中程を回るロス。内枠からスムーズに回ってきたスノーミックスとともに、中団の一角を占めるにとどまった。

レースが動いたのは向正面。フリーダムが自然な流れのままに逃げ馬を交わすと、直後にいたステイクラッシーがピタリと追随。抜け出す2頭を、終始内をロスなく回ってきたスノーミックスが追いかける。懸命に食らいついていたステイクラッシーが最後の直線に入って力尽きると、そこからはフリーダムの独壇場。余力を残したまま4馬身突き放してゴールする、圧勝劇となった。ステイクラッシーが位置を守り通して2着。スノーミックスは2馬身差の3着だった。

フリーダムは、これが重賞初制覇。笹川騎手は、2022年の当レース(グラーツィア)、23年のビューチフルドリーマーカップ(ノーブルシルエット)に続き、水沢での騎乗機会無敗のまま、また一つタイトルを加えた。

一方、敗れたとは言えステイクラッシーの戦い振りは目を惹いた。「出来れば(フリーダムの外に)被せていくぐらいのつもりで行った」(菅原辰徳騎手)という積極策には、戦前に南関勢優位と伝えられる中での地元勢の“心意気”も感じられた。昨秋の岩手重賞戦線では奮わなかったが、冬場の休催期間に一旦川崎に転じて短距離戦を2走使われ、パフォーマンスは明らかに向上。今季当地初戦となるあやめ賞2着に続いての今回の奮戦は、注目に値する。

なお、勝ったフリーダムはGDJ3歳シーズンのポイント15を獲得し、ル・プランタン賞を勝ったオモチチャン(兵庫)に並び暫定トップタイとなった。「(GDJの路線に進むかどうかも含めて)いくつかの選択肢がある」(宗形調教師)という同馬の去就が、シリーズの行方を左右することになりそうだ。

取材・文坂田博昭

写真 佐藤到(いちかんぽ)

Comment

笹川翼騎手

メンタルが強くなっており、今日の折り合い面はこの馬としては許容範囲。結果も内容も出ていると思います。デビュー前から調教含め関わった馬で、無事タイトルが獲れて嬉しいですし、自分が乗れなかった時に乗ってくれた(和田)譲治さん含め、色んな人のおかげで勝てた勝利だと思い感謝しています。

宗形竹見調教師

五分に出れば、ある程度前目の位置につけることが出来ると思っていました。乗り方は騎手に任せていましたが、気がいいところがあるので、折り合いをうまくつけてくれたらいいなと思っていました。浦和に2回輸送して、輸送は本当に上手だったので、そこに自信を持って臨めたのが良かったと思います。