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第25回名古屋グランプリJpnII

ロングスパート決め大舞台へ弾み
  4歳世代の地方馬2頭も大健闘

今年も大型連休の最終日に組まれた名古屋グランプリJpnII。明け方から昼過ぎまで雨が降るあいにくの空模様ではあったが、それでもメインレースに向け多くの来場客が集まり、休日らしい賑わいの中でレースが行われた。

出走馬の中では、最強世代と呼ばれる4歳馬で、GI/JpnIで接戦してきたサンライズジパングの参戦が耳目を惹いた。新谷功一調教師は戦前「本来はこのレベルの馬のローテーションではないが、川崎記念で敗れたため秋シーズンに向けて賞金が必要」と、JpnIの激戦からわずか1カ月の間隔で出走に踏み切った理由を説明。必勝を期しての参戦だった。

地方勢では、同じく4歳の高知・シンメデージーの陣営が、いまや悲願となったダートグレード競走制覇に意欲を燃やしていた。昨年12月の名古屋大賞典JpnIIIで3着、続く2月の佐賀記念JpnIIIで2着と奮戦した後は当レースに照準を絞り、トライアルである東海桜花賞ではなく、出走間隔に余裕が生まれる3月30日の佐賀・はがくれ大賞典をステップに選択し快勝。当時から打越勇児調教師は「今度こそ是非とも勝ちたい」と話し、主戦の吉原寛人騎手は高知に駆けつけ追い切りに騎乗して感触を確かめ、戦備を整えていた。

レースは、スタートで波乱があった。「今日も行くだけ行かせます」(西園正都調教師)という腹づもりだった、徹底先行が主戦法のメイショウフンジンが発馬後すぐに躓き、後手を踏む。好発を切ったノットゥルノと、ロスの挽回を図るメイショウフンジンが2頭で競り合い、「行けるならハナに行こうと思っていた」というほど発馬に集中していた吉原騎手に促されたシンメデージーは、離れた3番手の集団を先導する、理想的な位置につけた。

1周目スタンド前で早くもレースは動いた。前では、メイショウフンジンが一旦先頭に立ったものの、「馬の気持ちが抜けてしまった」(酒井学騎手)ため早々に後退。一方後続の集団からはサンライズジパングが仕掛けて抜け出し、先頭を取り返したノットゥルノを単騎追いかける。3コーナーでは追いつき、4コーナーでは前を交わしたサンライズジパングが最後まで粘り強さも発揮。そのまま後続に2馬身の差をつけ勝利を掴んだ。2着にはシンメデージー、3馬身差の3着にノットゥルノが粘り込んだ。

勝ち馬のロングスパートにも大きく遅れず追随し、ゴールまで渋太く差を詰めたシンメデージーだったが、今回もダートグレードの勝利はならなかった。吉原騎手は「力的には完敗」と認めつつ「(負担重量)57キロでしっかり自分から競馬をしにいっての2着は大きい。手が届くところまで来ている」と、期待を改めて口にした。

地元・名古屋の雄、フークピグマリオンも4着と健闘した。これまでの地元馬相手のレースでは、断然の人気に推されることが多く、どうしてもそれを意識する運びにならざるを得なかったが、「今回はリラックスして臨めた」と今井貴大騎手。「(いつもとは異なり)後ろでドンと構えていても、あれだけ動いてくれた。馬の走りには満足している。今後の可能性が広がった」と新たな手応えに表情をほころばせた。

2日前に行われたJRAの天皇賞(春)GIで1~4着を4歳馬が占めたのに続き、当レースでは4歳馬が1、2、4着。最強と言われるこの世代の活躍は、今後も地方・中央問わず目が離せない。

なお、当レースの売得金額は16億円を超え、9億あまりだった昨年を70%以上も上回ると同時に、名古屋競馬における1競走あたりの最高額を更新。1日の売得金額も25億近くにのぼって名古屋競馬史上最高額を更新し、興行的にも大盛況となった。

取材・文坂田博昭

写真築田純(いちかんぽ)

Comment

坂井瑠星騎手

返し馬から凄く良くなっているのを感じました。難しい展開でも自信を持って、馬の力を信じて乗りました。エンジンのかかりが遅い馬なので、踏み遅れないよう気をつけました。強い4歳世代のダートトップレベルの馬だし、まだ良くなる余地もあると思います。ジーワンタイトルを獲らせてあげたいです。

新谷功一調教師

前走の川崎記念以降の調教とか立て直しに関しては大分シビアに進め、状態面は良い感じで来られました。(音無秀孝厩舎から)転厩馬として、期待を持って新谷厩舎に来ていただいた馬なので、ここをスタートとしてより高みに連れて行きたいと思います。次走は馬主と相談の上、帝王賞に向かうつもりです。