自身との戦いも3馬身差完勝
三冠制覇へ課題と大きな期待と
2017年から24年まで地方全国交流競走として行われていた高知優駿が、今年から高知所属馬のみで行われることになった。一冠目の黒潮皐月賞を制したジュゲムーンが、悠々楽々と二冠目をゲットするように思われたが……内なる敵が待っていた。
単勝1.1倍の圧倒的人気に推されたのは、コパノリッキー産駒のジュゲムーン。門別で9戦4勝の成績を挙げて高知の田中守厩舎へ移籍。12月の全日本2歳優駿JpnIで5着、1月のブルーバードカップJpnIIIで5着と、グレード競走で掲示板を確保。さらには高知初戦で古馬を圧倒して、佐賀のネクストスター西日本を快勝。黒潮皐月賞を完勝して、二冠制覇を目指す。
2番人気は同じ田中厩舎のヤマノアシオトで、これまた田中厩舎のリケアマキアートが3番人気。雑賀正光厩舎のユラリユラメイテが4番人気に推された。
ユラリユラメイテが3番枠からきっぱりと逃げを打って、大外12番枠のジュゲムーンが掛かり気味に2番手を追走。オリーブブランチが3番手、ヤマノアシオトが4番手で先行グループを形成する。
4日前に130トンの砂が補充されたダートコースはパワーを要するが、土日に降った雨の影響でタイムは速く、前残りの傾向が続いていた。それでも経験の浅い3歳馬による1900メートルの長丁場、おのずとスローペースの膠着状態でレースが進む。
2周目の3コーナー、ジュゲムーンが先頭のユラリユラメイテに並びかける。遅れを取らじとユラリユラメイテが抵抗。伏兵オリーブブランチが前の2頭を追う。
直線、赤岡修次騎手がジュゲムーンに気合をつけると、そのまま後続を離して二冠制覇。ユラリユラメイテが3馬身差の2着に粘り、ヤマノアシオトが2馬身半差の3着に追い上げた。
行きたがるジュゲムーンをなだめながらレースを進めた赤岡騎手は、開口一番「ホッとしました」。近3走はいずれも1400メートル戦であったこと、高知所属馬のみで行われる点、出走各馬の脚質など、スローペース=ジュゲムーンが掛かる要素は揃っていた。赤岡騎手はこう振り返る。
「中央馬など強いメンバーばかりでペースが速くなれば折り合いがつくと思うんですけど、今日は外枠から位置を取りに行かないといけなかったので、ハミをすごく取ってしまいました。今日はジュゲムーンとの戦いになってしまい、いかにエキサイトさせないように乗るかというレースになってしまった。これからの課題ですね」
田中調教師も地元馬同士の長丁場であるがゆえの難しさを感じたという。
「ペースが速くなってくれれば、馬の後ろでキックバックを受けて、折り合いがつくんですけどね」
はたから見れば、3馬身差の完勝だったのに――。レース後すぐさま課題にフォーカスする名手&名調教師に、トップたる所以を感じる。
ユラリユラメイテに騎乗した岡村卓弥騎手は「いい感じで逃げられたんですけどね。ジュゲムーンが上がって来た時に反応してくれたんですけど、最後は地力で負けました。でも、よう頑張ったと思います」
ヤマノアシオトに騎乗した多田羅誠也騎手は「ポジション取りは理想的だったんですけど、スムーズさを欠いたというか、上手く反応させられなかったなと思います」。
スローペースに苦しみながらも、三冠に王手をかけたジュゲムーン。三冠目の黒潮菊花賞は、8月3日に地方全国交流競走として行われる。高知優駿と同じ1900メートルを舞台に、どんなレースが繰り広げられるのか。真夏の大一番をこの目に焼き付けたい。
※レース後に妹尾将充元騎手が聴き取り、書き起こした騎手のコメントはこちら。
取材・文井上オークス
写真桂伸也(いちかんぽ)
Comment

田中守調教師
勝ってホッとしました。まだまだ子供なので、精神的に大人になってほしいですね。レース前はテンションが高くなって立ち上がったりしてしまうので、厩舎で装鞍してから装鞍所へ向かいました。3歳時のユメノホノオと違って、体質や脚元に関してはなにも心配ありませんし、体ももっと成長しそうです。







赤岡修次騎手
幼さは少しずつ解消されていますが、やはり敏感なところがありますね。今日は力んで走ってしまいましたし、最後の伸びに納得がいっていません。もっと突き放して勝てる馬だと思っているので、今回で見えた課題を修正していきたいですね。三冠達成を目指して順調に行ってくれればいいなと思っています。