JRA騎手が2戦とも勝利
谷内騎手が2・3着で存在感
今年のヤングジョッキーズシリーズ(YJS)も昨年同様、夏真っ盛りの8月に門別競馬場で幕を開けた。この日集った地方競馬7名、JRA5名の計12名の若手騎手たちが、北の大地でトライアルラウンドに挑んだ。
今年からシリーズ出場資格が変更となり、地方の騎手に関して『2024年4月1日以前に初免許を取得した騎手』というデビュー年次に関する規定が据え置かれた。
このため、トライアルラウンド門別の参加者中、今年デビューのルーキーはJRAの谷原柚希騎手のみとなった。まだ実戦で勝利がない彼女は、かねてからの憧れだった騎手という仕事に就き「一流騎手とともに戦わなければならないプロの厳しさに直面している」と自らの現状を衒いなく語る。今回の出場に関して「同世代でもあり、一緒に乗ったことのない騎手と乗るのはとても刺激になると思う」と話すとともに、取材の最後に「負けたくないです!」と勝利への意欲も顕わにした笑顔が、とても印象的だった。
一方、昨年のファイナルラウンドに出場した騎手が5名参加したのも、この日の話題となった。その優勝者である鷹見陸騎手(大井)は抱負を問われ「まずは人馬ともに安全」と強調した上で、「昨年JRA中京で活躍できなかったという思いが強い。是非それを取り返したいし、レースだけでなく人々との交流も含め、若手なりの経験をする舞台にしたい」と話した。日頃のレースでも活躍がめざましい彼だが、本シリーズで得る経験が、談話からにじみ出るようなプロとしての広い視野を培うきっかけにもなっていることが窺えた。
ナイター開催の門別競馬場ではあるが、今年は対象レースが第6、第8レースに組まれ、まだ上空に明るさを残す中で熱戦の火蓋が切られた。
第1戦は、ワンターンの1200メートル戦。「揉まれ弱いところがあるので、揉まれないような位置取りをして欲しいとの指示だった」という水沼元輝騎手のイクスクローバーが、外目の枠から好発を決め先手を取る。谷内貫太騎手(大井)が続き、1番人気の佐藤翔馬騎手は「昇級初戦なので、前目の意識を持ちすぎずに行く」作戦から、3番手集団の一角を占める形でレースが進んだ。
前半3ハロン35秒9の決して遅くはない流れだったが、最後の直線に向いてもイクスクローバーの脚勢は衰えず、2番手以下の混戦を尻目にリードを広げて逃げ切った。3馬身離れた2着には谷内騎手が辛くも粘り、佐藤騎手は詰め切れずクビ差3着。「もう少し前の馬にプレッシャーを与えるように乗れば良かった」(谷内騎手)との戦後の言葉が、乗り難しい面のある馬を巧みに操り好走パターンに持ち込んだ水沼騎手の的確なプレーを、更に印象づけた。
第2戦は、コースを1周する1700メートル戦。競り合いながら1コーナーに向かった佐藤騎手と谷内騎手の先行争いは、前者がハナ、後者が番手で決着がつき、道中は淀みなく流れ、上がりを要する消耗戦の様相を呈した。
「想定よりもいい3番手、理想の位置」を確保した小林美駒騎手の1番人気スリーレジェンドが、「終いを生かすレースの方がこの馬の味が出ると聞いていた」という宮内勇樹騎手(北海道)のリムショットの追い上げを振り切り、3/4馬身差で勝利をものにした。宮内騎手も馬の持ち味は引き出した好騎乗だったが、2着惜敗。1馬身差の3着に粘った谷内騎手は「先頭に立ったら(馬の気持ちが)抜けてしまった。もう少し後ろを見ながら行けば良かった」と、勝負所の立ち回りを反省していた。断然人気に推されたプレッシャーにも打ち克った小林騎手は、今年JRA交流競走での2度の当地騎乗経験も生かした、落ち着いたプレーが光った。
この日の2戦を終え、地方では2着・3着でまとめた谷内貫太騎手が35ポイントで東日本地区のトップに立ち、JRAではいずれも1着と9着の成績だった水沼元輝騎手と小林美駒騎手が並んで首位となった。
なお、先に述べた出場資格の変更に伴い、地方東日本地区の出場者は昨年の21名から14名に減少。これにより各騎手のトライアルラウンドでの騎乗機会は、昨年最低で2場4個レースだったものが、今年は3場6個レースと拡大した。
これに関して出場騎手からは、「今年デビューの人たちには申し訳ないが、昨年ポイント上位で早々に出番が終わり結果待ちが長かったので、機会が増えるのは有り難いし頑張れる」(北海道・阿岸潤一朗騎手)とか、「昨年は南関東での騎乗機会がなかったので、今年は川崎と大井を経験できるのが楽しみ」(北海道・藤田凌駕騎手)といった前向きな感想が聞かれた。今後のシリーズの中では、そうして増えた機会を生かして自らの経験に厚みを加え、また安全第一の中で、若手らしい気迫溢れるレースが行われることを期待したい。
取材・文坂田博昭
写真早川範雄(いちかんぽ)
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第2戦1着 小林美駒騎手(JRA)
理想のイメージでレースが出来ました。勝負所で手応えが怪しくなっても、そこから抜群の脚を使ってくれるこの馬の良さを出すことが出来ました。ここで勝ち1歩前進したことは次の競走に向けて大きいです。安心することなくもっと高いポイントを狙って、本戦に出て優勝を目指せるように頑張ります。












第1戦1着 水沼元輝騎手(JRA)
返し馬から一つひとつ課題をクリアしていき、勝てたという感じです。発馬が決まり、周りに馬がいなかったので楽に逃げ、馬に声をかけて落ち着かせながら行きました。YJSは、デビュー初勝利も大井でさせてもらい相性はいいと思っているので、あと1勝して確実にファイナルに行ける切符が欲しいです。