直線突き放し念願の初タイトル
成長示しダート三冠最終戦へ
昨年からダート三冠が創設されたことで、この戸塚記念は3歳限定で牡馬が出走できる唯一の南関東グレードSI重賞となった。昨年、骨折により羽田盃JpnI、東京ダービーJpnIとも出走が叶わなかった実績馬サントノーレが、後続に6馬身差をつけて勝利を飾ったことは記憶に新しい。
今年は、ダイヤモンドカップ(盛岡)の勝ち馬で東京ダービーJpnI・3着のシーソーゲームと、東京ダービーJpnI・4着の“無冠の大器”ナイトオブファイアが参戦。ともに単勝1.9倍で人気を分け合った(票数の差で1番人気はシーソーゲーム)。
結果は、ナイトオブファイアが、これまでのうっぷんを晴らすかのような圧巻のパフォーマンスで快勝。管理する渡邉和雄調教師は「春は悔しい思いをしたので、三冠目の挑戦状を叩きつけるためにも、ここはどうしても欲しかったタイトルなのでうれしいです」と目を細めた。
逃げたのはシーソーゲームで、2番手にプレミアムハンド。ナイトオブファイアは外め3番手につけた。ピノマハナとユウユウスキーが直後を追走。
2周目の向正面に入ると、ナイトオブファイアがジワッとシーソーゲームに並びかけ、3~4コーナーではピタリと馬体を併せた。4コーナーで先頭に立つと力強く引き離して勝利。4馬身差の2着にはジワジワと脚を伸ばしたユウユウスキー。シーソーゲームは半馬身差で3着だった。
デビューからナイトオブファイアの手綱を取る矢野貴之騎手は「スタートは速くないですけど、理想通り3番手に行けました。道中の手応えはずっと良くて、相手は前の馬(シーソーゲーム)と思っていたので仕掛けは早くなりましたが、馬がちゃんと応えてくれました」と納得の表情。パートナーが念願のタイトルを獲得したことに「ここまで重賞を勝っていないことが不思議なくらいの馬。勝たせなきゃという使命感もあったし、ひとつ勝ってホッとしています。交流も勝つ力のある馬なので、一矢報いたいです」と力を込めた。
なお、矢野騎手は3日前にコリアカップG3をディクテオンで制し、帰国後初騎乗日での重賞V。勢いに乗っている。
ナイトオブファイアは、無敗で南関東三冠を達成したミックファイアや重賞5勝馬セイカメテオポリスでもお馴染みの星加浩一オーナーで、いずれも渡邉厩舎の生え抜き。昨年11月のデビューから4連勝を飾ると、スケールの大きな走りから、今年はダート三冠を見据えた。重賞初挑戦の京浜盃JpnII・3着、羽田盃JpnI・2着、東京ダービーJpnI・4着と、中央の強豪たちともハイレベルな戦いを繰り広げてきた。
「見た目は変わらないですが、精神的にうるさかったのが落ち着いてきました。学習能力は高いし、春の経験も無駄にはなっていないと思います。相手は強くなりますが、付け入る隙はあるのかなと。この馬も成長はしているので、逃げずにぶつかっていきたいです」と渡邉調教師。
10月8日に大井競馬場で実施されるダート三冠最終戦のジャパンダートクラシックJpnIまで1カ月を切った。ナイトオブファイアをはじめとした地方馬たちの奮起に期待したい。
取材・文高橋華代子
写真築田純(いちかんぽ)
Comment

渡邉和雄調教師
馬体重は変わっていませんが、中身はすごく詰まって帰ってきました。休み明けですが、どうしても獲りたかったレース。かなり仕上げて、うまくいきました。矢野騎手が初めて乗った時から「古馬になってから」と言っていたので、現状でこれだけ走れているのは、ポテンシャルの高さだと思います。







矢野貴之騎手
この中間も川崎競馬場で馬場見せをさせてもらって感触が良かったので、あとは自分の走りができればいいなと。難しいことは考えずに、スタートを決めて、いい位置に行きたいなと思っていました。素晴らしい秋競馬が見せられるように、地方競馬が一丸となって、打倒JRAという思いで挑みたいですね。