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第27回園田プリンセスカップ

理想の位置取りから抜け出す
  地元兵庫が3年ぶりの勝利

過去10回中6回の優勝を誇る北海道勢。今年は4頭が参戦予定だったが、前日にイイデヒロインが出走取消となり、北海道3頭、川崎から1頭の遠征馬を迎えて行われた。

単勝1.2倍の圧倒的人気を集めたのは北海道から参戦のミスティライズ。フレッシュチャレンジを勝ち、重賞で2戦続けて2着と実績が抜けていることに加え、パドックでも好馬体を披露した。デビューからの3戦は全て他馬の外を回る形で運んでおり、最内枠で馬群に包まれた場合にどうなるかが唯一の不安材料かと思われた。

しかし、序盤でそれは払拭される。周りの馬が速いと見るや、鞍上の吉村智洋騎手はすぐさま外に誘導。包まれない位置につけると、3コーナー手前で先頭に並びかけた。ここで大勢が決したかに思われたが、真後ろで抜群の手応えで息を潜めていたのが地元のココキュンキュン。4コーナーで追い出されると力強く伸び、3コーナーから先頭を守っていたサラサチャレンジ(川崎)に1馬身半差をつけて勝った。ゴールの瞬間、何度も雄叫びを上げた山本咲希到騎手は2022年12月に北海道から兵庫に移籍し、当地では重賞初制覇となった。

「長南調教師とレース前に『狙ってこのポジションを取りに行こう』と話していて、その通りの位置に付けられました」

完璧なレース内容だったと山本騎手が振り返ると、長南和宏調教師も「なるべく前で、強い馬を目標に運ぼうと話していました」と話した。

テンションの高さが課題で、連勝が3でストップした前走(4着)は「テンションが上がりすぎて、スローペースに戸惑って折り合いを欠いた」と長南調教師は敗因を分析。この中間は脚の腫れもあったが、最終追い切りでいい動きを見せ、「強い馬相手の方がペースが流れるので力を発揮しやすいし、一発あるな」と自信を持っての出走だった。

その格好の目標となってしまったのは2着サラサチャレンジ。「早めに来られて目標になってしまい、4コーナーで抜け出すとフワッとしました」と伊藤裕人騎手。「力負けではありません。抜け出してフワッとする面はこれからの課題です」と話した。

早めに2着馬にプレッシャーをかけに行ったミスティライズは4コーナーから伸びあぐねて5着。吉村騎手は次のレースギリギリまでパトロール映像を見返し、険しい顔で出てくるとこう分析した。「競馬は完璧でしたが、3コーナーではもう手応えがありませんでした。門別からの輸送が普段以上に長時間かかったようで、その影響もあったかもしれません」。2歳牝馬ゆえの難しさが出たのかもしれない。

同馬に先着して3着のクリスタルピットは「3~4コーナーで挟まれましたが、そこでハミを取りました。溜めた分だけ伸びたし、タイムもいいですね」と大山龍太郎騎手。4着ハーティパーティの川原正一騎手も「勝負所ではまだ若くてスッとハミを取らなかったけど、そこから反応してよくここまで来ました」と、両者とも負けた中にも今後の伸びしろを感じたようだ。

勝ったココキュンキュンの次走はオーナーと相談して決められるが、長南調教師はグランダム・ジャパンも視野に入れている。テンションの高さが課題ではあるが、西脇トレセンから園田競馬場までの約1時間の輸送は問題なく、初めての場所に物見することもなく、遠征での活躍も期待される。

取材・文大恵陽子

写真桂伸也(いちかんぽ)

Comment

山本咲希到騎手

ポジションは完璧で、あとは追い出すタイミングだけでした。3コーナーで前に伊藤騎手と吉村騎手がいて、いい目標ができたと思いました。過去のレースからは必ず最後にいい脚を使ってくれると思っていました。2歳牝馬らしからぬ前向きさが強み。もし距離を延ばすなら、精神的な強さがほしいです。

長南和宏調教師

使うたびに気性が成長し、体も充実して、もう少し伸びしろがありそうです。血統的には距離は長い方がいいでしょうが、やはり折り合いが課題。人が乗ったり、レースの雰囲気を感じるとテンションが上がるので、ゲートを出てからの走りに繋がらないようにしたいです。