人気馬の追撃をハナ差しのぐ
門別から移籍初戦で重賞制覇
兵庫では優秀な2歳馬の入厩促進と、活躍できる環境を整えることを目的に2019年から2歳戦のクラス分けや出走申込方法を改革した。
その一環にあったのが兵庫ジュベナイルカップ。22年に特別戦として創設され、翌年に重賞に格上げされると、初代勝ち馬のマミエミモモタローはその後も連勝を伸ばして無敗の4連勝でネクストスター園田を制覇。24年覇者ラピドフィオーレは、気性や走りの幼さゆえ勝ちきれぬレースが続いていたが、今夏以降に黒潮菊花賞、西日本3歳優駿と重賞連勝を果たした。歴史は浅いものの、出世レースになりつつある。前週の牝馬限定重賞・園田プリンセスカップを勝ったココキュンキュンの強さを認めつつ、多くの厩舎関係者は「あの馬を除く2歳トップレベルが集まったね」と話した。
そうした中、単勝1番人気に支持されたのはリーガルタイム。馬場の重たい内をすくって勝ったデビュー戦の走破タイムは、メンバー中最速タイだった。とはいえ、オッズは2.1倍で、10倍以下は10頭中5頭。実績のわりに人気を集めなかったのはエイシンイワハシルで、全国で最初の2歳重賞・栄冠賞3着の実績がありながらも「移籍後、日が浅いことと、先週の園田プリンセスカップで北海道勢が敗れたことが影響しているかも」と地元記者たちが分析するように、単勝5番人気の9.4倍に留まった。
しかし、その前評判はいい意味で覆されることになる。五分のスタートから4番手につけたエイシンイワハシルは、3コーナーで有力馬が殺到した場面で人気の一角アングレについていく形で冷静に対処すると、直線でしっかり伸びて勝利。外から勢いよく脚を伸ばしたリーガルタイムをハナ差退けた。
「自厩舎の馬で初めて重賞を勝てて嬉しいです」と大山龍太郎騎手が喜ぶと、坂本和也調教師も「今年と来年は龍太郎を押し上げよう、というのが僕のスタンス」と親心を語った。
勝ったエイシンイワハシルは門別から西脇の坂本和也厩舎に入厩して1カ月弱。「オーナーから重賞路線で、と言われて入厩しました」とのこと。自場賞金0円のため当レースに出走できるか不透明だったが、結果的にフルゲート割れで出走枠に入れたことが大きかった。「賞金加算できて、これで重賞路線を歩めます」と坂本調教師は笑顔を見せた。
一方、負けて強しだったのは2着リーガルタイム。3コーナーでは外の馬の動きで進路が狭くなり、一度は控えざるを得なかったが、上がり3ハロンはレース最速の38秒2だった。デビュー戦でも同37秒4の末脚を繰り出しており、将来性が高いことに変わりはない。鴨宮祥行騎手も「力負けとは思っていません。まだまだこれからの馬だと思います」と期待を寄せた。
1馬身半差の3着はアングレ。ミルトイブニングが向正面後半で早めに追い上げてきたことで展開は厳しくなり、「その分、最後はしんどくなりました」と下原理騎手は話した。しかし、盛本信春厩舎のX(エックス)によると、2週続けて追い切りでいい動きを見せており、こちらも将来性は十分。4着に「展開が向きました」と廣瀬航騎手とパズー、5着はゴッドフェンサーで吉村智洋騎手は「砂を嫌がる面も見せていました。揉まれた経験を糧に、今後どこまで良くなるかでしょう」と話した。
取材・文大恵陽子
写真桂伸也(いちかんぽ)
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坂本和也調教師
軽い調整で1本だけ追い切っての出走でしたが、元々良かった動きが追い切りでさらに良くなったと感じていました。1周競馬は未知数でしたが、門別の重賞3着で、能力は遜色ないと思っていました。入厩してから毛ヅヤが良くなりはじめていましたし、まだまだ成長の余地があります。








大山龍太郎騎手
調教から反応のいい馬と思っていて、その通りしっかりした走りをしてくれました。他馬が動くのが意外と早くて焦りましたが、十分手応えがあり安心して乗れました。心配していた距離も問題なくこなしてくれました。これから成長しそうな雰囲気を調教からも感じます。