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第29回シリウスステークスGIII

直線突き抜け重賞初制覇
  兄に続くJBC出走に期待

過去5年のシリウスステークスGIIIは、関西圏の競馬場における改修工事の影響で、2023年を除いて中京ダート1900メートルで行われていた。距離の違いはあれど、チャンピオンズカップGIと同じ競馬場で行われていたことも多分に影響していると思われるが、チャンピオンズカップGIを目指す上でコースを経験し、かつ賞金加算を狙う1戦という色が濃かった。シリウスステークスGIIIを勝てば直行、敗れた馬たちは重賞であれば、11月上旬に行われるみやこステークスGIIIか武蔵野ステークスGIII、あるいは浦和記念JpnIIなどへ向かう。

現在の阪神ダート2000メートルで施行された07年以降、シリウスステークスGIIIからJBCクラシックJpnIまたはJBCレディスクラシックJpnIへ向かい、連対した馬は18年オメガパフューム(JBCクラシック2着)、23年2着だったアイコンテーラーのみ(JBCレディスクラシック優勝)。この2頭が好走したJBC開催はJRA京都競馬場と大井競馬場だったので、右回りで行われるJBC開催の時、シリウスステークスGIIIとJBC競走との関連性が強くなる。

今年は2年ぶりに阪神ダート2000メートルに舞台が戻った。トップハンデが、今年のマーチステークスGIIIを制し、メンバー中唯一の重賞ウィナーだったブライアンセンスの58.5キロ。1番人気に支持されたのは、昨年のケンタッキーダービーG1に挑戦して5着に追い込んだテーオーパスワード。今年は自己条件からリスタートし、目下連勝中と勢いに乗って重賞初制覇を目指した。その他の上位人気も、今春にオープン入りを果たし、重賞で好走実績があったジンセイやタイトニットといった新興勢力の馬たち。各陣営は、なんとか賞金加算をしてビッグレースへの布石を打ちたいという思いがある。

阪神ダート2000メートルは芝スタートで、1コーナーまでの直線距離が長い分、2ハロン目と3ハロン目が速い。1コーナーでスピードが緩み、そのペースを勝負所まで我慢させていく。ホウオウプロサンゲがスンナリと逃げ、2番手グループも早い段階で位置取りが定まったが、前半3ハロンは12.5-11.2-11.4=35.1とラップタイムは速く、1コーナーの入りは縦長だった。しかし、4ハロン目以降は13.3-13.1-13.3と急激にペースは落ち着き、馬群は凝縮する。初ブリンカーだったジューンアヲニヨシは、被されることを避けて仕掛けて2番手外に取りつき、その直後にジンセイ。テーオーパスワードとブライアンセンスは馬群で折り合いをつけていた。

4コーナー手前でジューンアヲニヨシが押し出される形で先頭に立ち、後続を引き離しにかかる。その後ろにいたジンセイが直線入口で少し遅れを取り、ジューンアヲニヨシがそのまま押し切るかと思ったが、終始後方でレースを運んだホウオウルーレットが矢のように伸び、ゴール直前で前を捕らえた。中団外を追走してジリジリと伸びてきたサイモンザナドゥが半馬身差の2着、ジューンアヲニヨシは3着、坂を伸びてから盛り返してきたジンセイは4着。2着から4着は同タイムで、ハナ+ハナの大接戦だった。

勝ったホウオウルーレットは、自分のリズムを守る形で、スタート後は内へ進路を切り替え、後方で脚を溜める展開。岩田康誠騎手らしいロスのない立ち回りから、直線では見事に馬群を捌いてきた。6歳での重賞初制覇となったホウオウルーレットは、オメガパフュームの半弟で、兄弟制覇の偉業を成し得た。今年のJBCクラシックJpnIは船橋1800メートルで行われるが、後のチャンピオンズカップGIを意識するなら、同じ左回り1800メートルという点で視野に入れる価値は十分にある。もしJBCクラシックJpnI出走となれば、まさに兄の後を追う形となり、その動向には注目だ。

取材・文古谷剛彦

写真桂伸也(いちかんぽ)