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第37回珊瑚冠賞

スタート後手も早め2番手
  直線突き放し重賞10勝目

大出遅れからの大まくりで圧勝した高知優駿や黒潮菊花賞には度肝を抜かれた。ガルボマンボやデステージョと演じた鬼気迫るマッチレースにはビリビリ痺れた。そして今回は、ユメノホノオというサラブレッドが持つ多様性に舌を巻いた。

9月28日、高知競馬場、第37回珊瑚冠賞。休養明けのユメノホノオが、単勝1.2倍の1番人気に支持された。故・松本好雄オーナーの名が心に沁みるメイショウウズマサが2番人気、2022年の黒潮盃(大井)の勝ち馬・エスポワールガイが3番人気。以下、ネオブレイブ、エクセレントタイムと続いた。

珊瑚冠賞はJBC指定競走の1900メートル戦。ゲートが開いて12頭が不良馬場に飛び出した。エスポワールガイが4番枠からきっぱりと主張して逃げを打った。スタートでやや後手を踏んだユメノホノオは後方2番手、エクセレントタイムは最後方からじっくりとレースを進める。

逃げるエスポワールガイはゆったりとしたペースを刻み、1周目の3~4コーナーで後続の馬群がギュッと凝縮。このまま膠着状態でレースが進むのかと思いきや……1周目のスタンド前でユメノホノオが外からスルスルとポジションを上げて2番手へ。3番手以下の隊列はだんだんと縦長に。

2周目の3コーナー、ユメノホノオはエスポワールガイをかわして先頭に立つと、直線で後続を突き放して快勝。金沢の名手・吉原寛人騎手を背に王者の走りを披露して、重賞10勝目をつかんだ。

エクセレントタイムが後方から脚を伸ばして4馬身差の2着、エスポワールガイがアタマ差の3着に粘った。

今年2月のだるま夕日賞(1600メートル)で2着に敗れたユメノホノオ。以降、陣営は出走レースを長距離戦に絞った。4月には韓国のソウル競馬場で行われたYTNカップ(2000メートル)に出走。韓国最強馬グローバルヒットを相手に果敢に先行して3着に粘った。陣営は「飛行機での輸送や検疫など初めての経験を積んで、一皮むけて大人になった」と口を揃える。帰国後初戦の御畳瀬特別(1800メートル)では、中団のインで脚を溜める味なレース運びで快勝した。

今回の珊瑚冠賞は、1900メートル戦の際に使用される待機所の場所が変わったことが影響してスタートで後手を踏むも、サラッとリカバリーして快勝。田中守調教師は言う。

「まだ精神的に子供な部分はあるけど、ずいぶん成長してくれました」

大晦日の高知県知事賞(2400メートル)で3連覇を目指すのか。それとも2度目の遠征か。自由自在な脚質に進化したユメノホノオに注目したい。

2着をもぎ取ったエクセレントタイムの末脚も光った。手綱を取った永森大智騎手は「折り合いもつきましたし、すごく乗りやすかったです。距離が伸びてもよさそうな感じですね」。3着のエスポワールガイはよく粘った。岡村卓弥騎手は「自分のペースで行けたら粘りますね。ユメノホノオが早めにまくってきたときにハミを噛んだんですけど、そこからよく頑張ってくれました」

7着に敗れたメイショウウズマサをはじめ、今回は距離が合わなかった馬たちの逆襲も期待しつつ、高知の古馬戦線を楽しみたい。

※レース後に妹尾将充元騎手が聴き取り、書き起こした騎手のコメントはこちら

取材・文井上オークス

写真桂伸也(いちかんぽ)

Comment

吉原寛人騎手

メンバーと馬場を見て、早めにいい位置を取りたいなと思っていました。少し繊細さを出してゲートは上手く出られなかったのですが、ペースも落ち着いて、楽に2番手に上がることができました。レース後もすぐに息が入ったそうで、改めて凄い馬だなと思います。強い競馬をしてくれてホッとしています。

田中守調教師

夏場は休養して、いい状態で臨みました。今日は待機所の場所が変わったことを気にしていましたが、前に比べたら全然。以前はゲートで立ち上がる癖があったので、除外になることを心配していましたから。精神的に大人になってきましたし、肉体的にも筋肉がついてきました。次走はオーナーと相談します。