直線先頭の逃げ馬をゴール前とらえる
良化途上も断然人気にこたえての勝利
姫山菊花賞の1着賞金は現在900万円だが、600万円に上がった2019年以降、南関東から毎年、遠征馬を迎えるようになった。中でも今年は役者揃いで、JRAでスプリングステークスGIIを勝ったヴィクティファルス(大井)、今年の六甲盃2着ノットリグレット(船橋)、前走が川崎の重賞・スパーキングサマーカップで2着だったシシュフォス(船橋)の3頭。
迎える地元馬も3頭で6頭立ての少頭数となったが、単勝1.6倍の1番人気に支持されたのはマルカイグアス。前走はマーキュリーカップJpnIIIでダートグレードに初挑戦したが、暑い時期の長距離輸送で、返し馬から進みが良くなく7着に敗れた。そこから約2カ月、立て直されての一戦。パドックではまだ良化の余地を残す体つきに見えたが、今春は六甲盃を9馬身差で圧勝しており、地元スターホースへの期待もオッズに反映されていただろう。
パドック周回前は3番人気だったヴィクティファルスが最終的に2番人気。前述の通り芝での重賞制覇に加え、ダートのオープン勝ちもあり実績は一枚上だが、気性的な難しさや手前を替えないことなどが影響して1年半以上、平地では掲示板外に敗れていた。藤田輝信調教師も「普段から神経質で、他馬を気にする面もあります」と話した。地方移籍初戦に加えて、今回は最内枠で揉まれる可能性もゼロではなかったが、レースはそれを払拭する内容になった。
スタートからダッシュをつけてヴィクティファルスが、ハナを切ったのだ。笹川翼騎手はその直後、グッと手綱を抑えてスローペースに持ち込んだ。たまりかねたマルカイグアスが1周目スタンド前でじわっとポジションを上げると、2コーナーを回るなりペースは上がっていった。
ロングスパートが代名詞のマルカイグアスは4コーナーを先頭で回るのが勝ちパターン。ところが、それを見越したかのようにヴィクティファルスの笹川騎手は絶妙にペースを上げ、なかなか馬体を並ばせない。2頭がようやく馬体を併せたのは残り100メートルを切ってから。笹川騎手は「勝てる」と思った瞬間もあったが、勢いで上回ったマルカイグアスが1馬身1/4差で勝利を収めた。
差し脚を伸ばしたノットリグレットが3/4馬身差の3着。4着にのどのポリープ除去手術明けのラッキードリーム、5着シシュフォスだった。
勝ったマルカイグアス陣営は、鴨宮祥行騎手も橋本忠明調教師も安堵の表情。その理由を橋本調教師はこう話す。「暑さもあって、マーキュリーカップ後はなかなか体調が戻ってきませんでした。本当なら白山大賞典からJBCクラシックに向かいたかったんですけど、1カ月前に放牧先から帰厩させてギリギリ体調を戻した感じ。ファンからは『(JRA馬との対戦から)また逃げた』と怒られてばかりで、申し訳ないです」
一時期は姫山菊花賞さえ間に合うかどうかという状態だったが、兵庫県内は9月中旬から急に秋らしくなり「馬は不思議で、1週間涼しくなるだけでゴロッと変わって、一気に元気が出ました」と、気候も味方した。
2着ヴィクティファルスは地方のダートでも十分やれることを示した。笹川騎手は「勝ち馬は地力があるので、3~4コーナーで並ばれないようにと思いましたが、案外引き離せませんでした」と話しつつ、「レースはほぼ上手くいきました。勝ち馬を褒めるしかありません」と称えた。
取材・文大恵陽子
写真桂伸也(いちかんぽ)
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橋本忠明調教師
精神的に幼い面を残すため、体調がギリギリの状態ではダートグレード競走出走に踏み切れませんでした。それでも今日は南関相手に勝ててよかったです。1周目スタンド前から少しずつ動かした騎手の好プレーもありましたし、馬も応えてくれました。このあとは園田金盃から来年の佐賀記念と考えています。








鴨宮祥行騎手
攻め馬が少し物足りませんでしたが、競馬場に来れば大丈夫かなと思っていました。スタートの出もイマイチで、休養明け初戦という感じでした。考えられ得る一番嫌な展開になりましたが、やることはいつも同じ。勝負所はついていくのが精一杯に見えたかもしれませんが、いいエンジンの掛かりでした。