web furlong ウエブハロン

地方競馬のオンライン情報誌ウェブハロンPresented by National Association of Racing

Copyright(C) 1998-NAR.All Rights Reserved.

第38回マイルチャンピオンシップ南部杯JpnI

直線末脚鮮やかに混戦断つ
  距離短縮のマイル戦で快勝

今年のマイルチャンピオンシップ南部杯JpnI当日は良馬場の発表。ただ、南部杯の馬場入場前にダートコースの外側に足を踏み入れてみたところ、表面は乾いていたものの、路盤の近くは前日までの雨の影響が残っていた。そのためか、前半戦から逃げ先行タイプが優勢で、時計も通常の良馬場より速めになっていた。

ただ、今年の出走メンバーには単勝1.1倍で逃げ切った昨年のレモンポップのような絶対的な中心馬が不在。GI/JpnIの勝ち馬は5頭いるが、昨年のフェブラリーステークスGIを制したペプチドナイルは4月のゴドルフィンマイルG2以来。イグナイターは1200メートルでのタイトルで、ミックファイアとウィルソンテソーロは2000メートル。シャマルは1600メートルのかしわ記念JpnIを連覇したが、コーナー2つの舞台は久しぶりだ。

そうなると人気が分散するのは当然で、1番人気は今年のフェブラリーステークスGIで2着に入ったサンライズジパングで3.2倍。2番人気は昨年の2着馬ペプチドナイルで3.5倍。続いてシャマルが4.2倍、ウィルソンテソーロが5.1倍で、初のダートに挑むシックスペンスは5番人気で9.5倍の支持を受けた。

日中は晴れて気温が20度ほどと過ごしやすかった盛岡競馬場は、16時59分の日没が過ぎると15度前後に低下。ただ、南部杯のときはパドックから風がなかったのは幸いだった。完全に夜の景色のなかゲートが開くと、ペプチドナイルが先手を取った。かしわ記念JpnIとさきたま杯JpnIを逃げ切ったシャマルは「スタートは出ましたが、ほかの馬が速かったので」(石川倭騎手)とのことで、2番手追走を選択した。

この2頭のほかにも先行したいタイプが多く、3コーナーではクラウンプライドやシックスペンス、イグナイターなどがペプチドナイルを射程圏に置く形で、前半の800メートルは46秒4と速め。ウィルソンテソーロは6番手ながら前の集団に加わって、サンライズジパングはその後ろから末脚勝負の態勢を取った。

その展開は、好位差しタイプのペプチドナイルにとっては厳しかったのかもしれない。4コーナーでシャマルに並ばれながらも直線で粘ったが結果は3着と、昨年よりひとつ着順を落とす形。代わって馬場の中央を勢いよく伸びてきたのがウィルソンテソーロ。2着に4馬身差をつけての圧勝で、同じ良馬場だった昨年より1秒6も速い、1分34秒3を記録した。

2着に入ったのはシックスペンス。シャドーロールを装着して、パドックではしなやかな歩きを見せていたが、初コンビとなった御神本訓史騎手は「返し馬で、トビが軽くてもダートはこなせそう」という感触を持ったとのこと。「ちょうど良いペースで流れに乗れましたね。距離はもう少しあっても大丈夫だと思います」と、今後の選択肢が広がる結果になった。

さらに4馬身差で3着がペプチドナイルで、サンライズジパングはクビ差の4着。ゴール手前で差を詰めてきたが、「やはりマイルだと忙しいですね」と、武豊騎手は振り返った。

5着に入ったのは、兵庫のエコロクラージュ。「4コーナーでの手ごたえがとても良くて、もしかしたら3着くらいはあるのではと思いましたね。勝ち馬の直後に付けられたのも良かったです」と、小牧太騎手は上機嫌。続けて「強い相手と戦ってきたことで、実力をつけてきたように感じます。(前走より体重10キロ減でも)まだ絞れると思いますし、そのうち“ひょっとするかも”という気がします」と今後への期待を話した。年末の兵庫ゴールドトロフィーJpnIIIが目標になりそうとのことだ。

先手を取れなかったシャマルは6着で、7着に入ったのは、大井のミックファイア。昨年の4着から着順は下がったが、最後の伸び脚には光るものがあった。「パドックで着けていたメンコをスタート前に外して、初めて付けたブリンカーが効いていた感じがありますね」と、山本聡哉騎手。高橋敦樹厩務員も「ブリンカーが良かったですね。中間の調教から付けて、実戦では効きすぎを心配したので小さめにしたんですが、以前とは走りが違うように思います」と好感触を持ったようだ。オーストラリア産の白い砂との相性がいまひとつのようで、船橋競馬場でのJBCに参戦するかどうかは微妙だが、デビューから無敗でジャパンダートダービーJpnIを制した実力馬が復活する日はそう遠くないのかもしれない。

イグナイターは、先行策を取ったが最後に失速して10着。この結果を受けて、馬主の野田善己さんは引退させることを決断した。それを受けて武田裕次厩務員は「いろいろなところに一緒に行けて、いろいろな経験をさせてくれて、本当に感謝です」と、結果的に引退レースとなった一戦を無事に終えられたことにホッとした様子だった。2021年の夏から4年に及んだ武田さんとのコンビは、これから日程を検討するという引退式まで、あと少しだけ続いていくことになる。

取材・文浅野靖典

写真いちかんぽ(佐藤到、早川 範雄)、NAR

Comment

川田将雅騎手

1600メートルがちょうどいいと思っていました。初めて騎乗したのが名古屋(かきつばた記念)で、1500メートルでも力んで走っていましたが、時間をかけて1800、2000で我慢させるようにしてきました。でも今日は疲れ果てるという感じではなく、気持ちよくゴール板を通過できました。

高木登調教師

気持ちが勝っているタイプですし、ここのところ前進気勢が出てきたので、このくらいの距離のほうが良いのかもしれないですね。道中での手応えが良かったので、落ち着いて見ることができました。6歳でもまだ伸びしろがありそう。状態を見て、オーナーと相談して、この先の予定を決めたいと思います。