2戦とも1番人気のJRA騎手が勝利
3着・2着の西塚騎手が首位キープ
ヤングジョッキーズシリーズTR 金沢
秋深まり、曇天の下吹く風に肌寒さを感じる金沢で、ヤングジョッキーズシリーズ・トライアルラウンドもいよいよ終盤に突入した。西日本地区では、今回金沢と、2日後に行われる笠松の残り2ラウンド。ファイナルラウンド進出を賭けた若手騎手たちの戦いは、一層熾烈を極める。
出場する12名中11名が、今回トライアルラウンド最終戦を迎える予定。得点上位の騎手たちは、当然ファイナルラウンド進出を意識する。地方西日本2位でこの日を迎えた塩津璃菜騎手(兵庫)はレース前、「ファイナルに行ければ、家族も、園田の関係者も、いま期間限定騎乗で行っている門別の人たちも応援してくれる。めっちゃ行きたいし、チャンスがある馬が回って来ているので(自力で)決めたい」と、改めて意欲を示した。一方、「昨年は(予選突破出来ず)中京で見ているだけだった。今日が終わって『やった!確定』と喜びたい」と話したのは、JRA西日本2位から予選突破を目指す柴田裕一郎騎手。JRAの騎手にとっては、地方競馬の騎手のように普段乗れないJRAの競馬場での騎乗というモチベーションは持ちようがないが、その中で予選突破の意義を問われて出てきた「自動的に(JRAでの)騎乗数が2つ増える。その2つは大きい」との彼の言葉からは、若手騎手がこのシリーズを勝ち抜くことの大きな意義が、改めて窺われた。
第1戦は第6レース、1400メートルで争われた。「調教師から逃げろという指示が出ていた」高橋愛叶騎手(兵庫)が、やや劣勢のスタートから押して先手を主張するが、「思いのほか勢いがついてしまった」という塩津騎手がその外に並んで、テンのペースは速くなった。しかし、中団にいた新庄海誠騎手(兵庫)の「園田の2人が前になり、2コーナーまで速くなってもそこから緩む『園田の展開』になると思っていた」との読み通り、向正面でペースが緩む。
その機を逃さなかったのが、中団外目にいた1番人気の橋木太希騎手(JRA)。3コーナー手前までに、一気に先団に追いついていく。同じチャンスを内で窺っていた西塚洸二騎手(JRA)は、勝負所で高橋騎手の内をすくって並び、直線入口からは3人の攻防。勢いのあった橋木騎手が競り合いから抜け出して、本シリーズ初の勝利を掴んだ。
中団から脚を伸ばし、3/4馬身差の2着まで食い込んだ城野慈尚騎手(高知)は、「もっと流れて欲しかったが、スローになり届かなかった」と緩急のある展開に翻弄された様子。一方、「調教師から馬場の内外の差はそれほどないと聞き、それまでのレースでも内から差していたので、それも踏まえて内」という、3着西塚騎手の巧みなコース取りは大いに目を引いた。
第8レースで行われた第2戦は、第1戦とは対照的にシンプルな展開となった。断然人気に推された古川奈穂騎手(JRA)が、1番枠から無理なく先手を取ると、これを追うのは新庄騎手ただ1人。控える形でやや離れた3番手を西塚騎手が取り、他の騎手たちはそれ以降で機を窺う。
古川騎手の勢いはレース後半になっても衰えず、そのまま後続を振り切って勝利。2馬身半差の快勝に、「イメージ通りの競馬は出来た」と表情をほころばせた。2着は、3番手から1頭交わしてその位置を守り通した西塚騎手が確保。「1つ前のレースで内を通って、馬が苦しくなる感じがなかったので、今回も同じ選択をした」と振り返った手堅い立ち回りは、ここでも見せ場十分のものだった。1馬身差の3着に入った山本屋太三騎手(兵庫)は、「馬はよく頑張ってくれた。90回走って勝てていない馬だけれども、このあとチャンスがあると思う」と、馬の健闘を称えた。
一方、苦い経験を味わったのが今年デビューの森田誠也騎手(JRA)。この日は3番人気と2番人気の馬に騎乗したものの、結果は12着・4着とポイントを伸ばせなかった。「2戦とも前々の競馬をしようと思ったが行けず、思い通りの競馬が出来なかった」と、無念の表情を見せた。「自分は普段から前の位置を取れる方だと思っていたが、他の騎手も前へ前へという競馬をして来る。ヤングジョッキーズシリーズのレースは、思ったより難しい」との言葉に、このシリーズ独特のレースの流れと、若手騎手たちにとってのこのシリーズの特別な『意義』を感じた。
この日の結果、地方西日本では74ポイントの松本一心騎手(笠松)が、予定される笠松でのトライアルラウンド最終戦の騎乗を待たず、ファイナルラウンドへ進める4位以内が確定。一方JRA西日本では、90ポイントの西塚騎手が4位以内を決めたほか、この日勝利を得た古川騎手が66ポイントで2位へ、大きく順位を上げた。
笠松で行われる、ファイナルラウンド出場権を賭けた最後の戦いは2日後。地方競馬・JRA各4名ずつの西日本地区代表が、いよいよ決まる。
取材・文坂田博昭
写真早川範雄(いちかんぽ)
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第2戦1着 古川奈穂騎手(JRA)
能力ある馬だとわかっていたので、厩舎の方とこれまで騎乗した柴田勇真騎手の話を聞き、イメージ通りの競馬は出来ました。シリーズ最初の名古屋で勝ちきれず不安な時もありましたが、最後のレースで勝てて良かったです。今年で最後のシリーズ出場なので、ファイナルに行けたらいいなと思っています。














第1戦1着 橋木太希騎手(JRA)
去年は予選トップ通過でも2着ばかりだったので、今年は1着が獲れて本当に嬉しいですね。馬が気分よく走ってくれて気持ちが途切れることもなかったし、馬の力が抜けていたと思います。1つ前のレースでエキストラ騎乗出来たのも、金沢競馬場のレースの流れを先に感じることが出来て良かったです。