直線抜け出し神尾騎手が第1戦快勝
第2戦は遠藤騎手がまくりを決める
ヤングジョッキーズシリーズTR 大井
前週木曜日に川崎競馬場で行われたトライアルラウンド(TR)ではポイントや順位を気にしている騎手は少なかったが、今週火曜日のTR盛岡を終えて迎えた木曜日の大井競馬場は緊張感が高くなっている雰囲気。TR船橋で2戦とも13番人気馬に騎乗していた坂井瑛人騎手(岩手)は「運が悪すぎ。なんとかしてくださいよ」とボヤいていたが、盛岡で2着に入って地方東日本4位に上がったことで気合が復活。しかし大井での第1戦は最低人気馬とのコンビになってしまった。
その坂井騎手は今回の大井が予定では最後のTR。騎乗合図がかかると集中力を上げたように見えた。ほかの13名の騎手も“少しでも良い着順”を狙って地下馬道に入っていった。
第1戦の出走14頭の単勝オッズは上下差が少なく、1番人気でも5.2倍で、2番人気が5.3倍。その2頭だけが複勝で1倍台の可能性があるという混戦模様になっていた。
その状況で1200メートルという舞台なら、なるべく前に行きたいと考えるのは自然なこと。ゲートが開くと、逃げ先行を続けていたサーフアンドスノー(高橋優騎手・大井)を制して遠藤汰月騎手(JRA)のタガノサダフが先手を取った。3番手につけたのは、2走前に逃げて2着に入ったナムラミックの石田拓郎騎手(JRA)。前半の600メートルが35秒3というのは、メンバー構成を考えると速い流れといえた。
そうなると有利になるのは好位を進んだ騎手たち。前を行く3頭を見ながら進んだ神尾香澄騎手(川崎)が直線半ばで抜け出し勝利。1馬身半差の2着には4コーナーで内を突いた上里直汰騎手(JRA)が入り、クビ差3着には後方から追い込んだ谷内貫太騎手(大井)。さらにクビ差の4着に宮内勇樹騎手(北海道)が入った。
「大井で勝つのは2回目です。とてもうれしい」と、レース後の神尾騎手は気持ちが高揚している様子。「ヤングジョッキーズは今年が最後。次もポイントを稼げるように頑張りたいです」と話した。
2着に入った上里騎手は大井で騎乗するのが初めて。「交流競走にも乗ったことがないんです。だから、なるべくいいポジションを取って、前の馬についていくことを意識しました」と、8番人気馬での2着を振り返った。
7番人気馬で3着に食い込んだ谷内騎手は「最後はしっかり伸びるタイプ。出遅れましたが、リズムよく走らせることを考えていたので」とのこと。地元開催で他の騎手より大井コースでの経験値が高いことも、アドバンテージになっているのだろう。
第2戦も第1戦と同じC2クラスのメンバーだが、舞台は1800メートル。出走14頭のうち、この距離で勝ったことがあるのは谷内騎手のワイドコンプリーだけで、2着も横山琉人騎手(JRA)のメイショウトワニだけ。そして大井に不慣れな騎手が大半となれば、先手を取った鷹見陸騎手(大井)がスローペースに落としたのは当然のことだろう。
ただ、前半の600メートルが40秒2というのはかなりの遅さ。そう判断して、向正面に入ったところで後方から一気に上昇したのは遠藤騎手。その行動は結果的には正解でも、勇気ある判断といえた。
逆に、マイペースを乱される形になった鷹見騎手は4コーナーで苦しくなって6着。前半で鷹見騎手の直後を進んだ宮内騎手、横山騎手なども失速して、中団を進んだ馬たちが台頭する流れになった。
遠藤騎手と2番手との差は、最後の直線に入ったところでは1馬身ほど。そこから遠藤騎手が追い出しはじめると、2番手との差が3馬身ほどに広がった。ゴール手前では高橋騎手が差を詰めたが、遠藤騎手はそのリードを守り1馬身半差で押し切った。3馬身差の3着に入ったのは坂井騎手。5頭出しの宗形竹見厩舎が3着までを独占する結果になった。
勝った遠藤騎手は「馬の状態が良くて、手応えも十分でした」と笑顔。2着の高橋騎手は「1800メートルは長いかもと言われたのでインコースで我慢して、最後に頑張る形にしました」と笑顔を見せていた。その心は「(同期の)坂井に先着できたので」。それを受けた坂井騎手は「逃げ馬の後ろにつけて、最後に長く脚を使わせるようにしたんですが」と納得できないという表情だった。
3着にアタマ差で4着に入ったのは水沼元輝騎手(JRA)。JRA東日本でファイナルラウンド出場圏内の4位に上げる結果を得たことで「来週の浦和でなんとか1着を取りたいですね」と意欲十分。一方、5着だった石田拓郎騎手(JRA)は大井終了時点でトップだが、浦和では騎乗予定がない。「(騎乗予定がなかった)川崎は見に行きましたが、浦和はどうしようかな……」と、複雑な心境を話した。
ポイント争いの行方が気になるのは地方騎手も同様。地方東日本で2位に上がった神尾騎手も浦和での騎乗予定がない。ポイントの状況を考慮するとファイナル進出の可能性が高いのだが、やはり最後の年に初めてのファイナル出場が狙える状況だけに、落ち着かない気持ちになるのは当然だろう。その神尾騎手は「浦和ではJRAの騎手を応援します」と照れ笑いした。
取材・文浅野靖典
写真早川範雄(いちかんぽ)
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第2戦1着 遠藤汰月騎手(JRA)
1コーナーでペースが遅いと感じて、レース前にまくる手もあると考えていたこともあって、一気に動くことにしました。無理なく先頭まで行けましたし、ついてくる馬がいなかったことも良かったです。これまで人気薄の馬が多いなかで、ひとつ勝てて良かったと思います。次の浦和でも頑張ります。












第1戦1着 神尾香澄騎手(川崎)
真面目なタイプと聞いていたので、前に行く馬は行かせて、その後ろから進める形にしようと考えて臨みました。最初で少しもたついて、最後も止まりかけていましたが、しっかりと伸びてよく頑張ってくれました。ここで勝てたのは大きいですね。あとは浦和の結果を待つだけです。