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第6回JBC2歳優駿JpnIII

ゴール前の混戦を差し切る
  師弟コンビでの初重賞制覇

JBCデーの門別競馬場は、素晴らしい晴天に恵まれた。夕方までの薄暮開催で行われたこの日、最終的な来場者は3139人を数え、門別で行われるレースだけでなく、船橋JBCのレースにも熱い声援が送られ、大いに賑わった。

馬産地日高に所在し、常日頃から生産者の来場も多い門別競馬場。JBCは『生産者の祭典』とあって、この日は一層多くの生産者が臨場したようだ。下級条件のレースであっても、また規模の小さな生産者であっても、自ら生産した馬が勝てば口取り写真に入り、その勝利を喜びながら笑顔で馬の額をなでて労をねぎらう姿は、この場所らしい、そしてこのJBC当日らしい雰囲気を醸し出していた。

メイン第11レースで行われたJBC2歳優駿JpnIII。馬場入場の後、出来事があった。走路に入ったタマモフリージアが前脚を突っ張り、騎手や担当者が促しても右へも左へも行こうとしない。大橋勇樹調教師が駆け寄り、自らもう一方の引き手を持って促すとようやく歩き出し、そのまま2人引きの形で正面スタンド前の発走地点まで歩いて向かい、事なきを得た。

陽が落ちたばかりの茜色の空を背景に、11頭がスタートを切る。「この枠ならこれしかないと思っていた」(西村淳也騎手)という1番人気のシーズザスローンが、1番枠から先手を取りに行く。3番人気のフルールドールが、すかさず直後の位置を取って追随。4番人気に推された地元期待のエンドレスソロウも発馬を決め、3番手の外目の位置を取った。

前3頭の並びは変わることなく向正面まで進み、前半1000メートルのラップは1分2秒5と淀みのない流れ。「前2頭が淀みなく行っていたので、前に行かなければならない状況」と判断した石川倭騎手がエンドレスソロウを促すと、隊列が動き始め、そこから各馬我慢比べの消耗戦となる。4コーナーから直線にかけての先行3頭の追い比べに、4番手から6番人気のタマモフリージアも加わり、ゴール前では横並びの攻防。最後、外から渋太く伸びたタマモフリージアがフルールドールをクビ差交わし、勝利を掴んだ。

馬と共に発走地点に行っていた大橋調教師は、検量室前に戻るためのマイクロバスの中にいて、レースを見守ることが出来なかった。戻ってきてから勝利を知らされると、観衆の「貫太」コールの中引き上げてくる人馬を1着の枠場で迎える。馬を下りた田口貫太騎手と大橋調教師がガッチリと握手を交わしたシーンには、初めて師弟のコンビで重賞を制覇した互いの喜びが満ちあふれていた。

地元勢では、8番人気だったアヤサンジョウタロが最後に鋭く追い上げ、2着馬から半馬身差の3着と気を吐いた。ただ落合玄太騎手はパトロールビデオを見ながら「進路選択のミス」と、自らのプレーを悔やんでいた。4コーナーから直線入口にかけて、「感覚的には(相手の手応えが)ないように感じられた」ため、勝ったタマモフリージアの内をすくって進出を図ったものの、予見に反して渋太く脚を伸ばし併走となったことで進路がなくなった。一旦勝ち馬の後ろに下げ、更に外に持ち出すロスは、「(勝ち馬が行ききるまで)もう一呼吸待って追い出していれば、勝ったかも知れない」と苦渋の表情で振り返るほど、大きく響いた。

2日前に、一昨年の勝ち馬フォーエバーヤングがブリーダーズカップ・クラシックG1を勝ち、より一層注目された今年のJBC2歳優駿JpnIII。前身となる北海道2歳優駿時代の2015年タイニーダンサー以来、実に10年ぶりに牝馬が優勝。当レースの歴史に、また新たな1ページが刻まれた。


取材・文坂田博昭

写真いちかんぽ(浅野一行、築田純)

Comment

田口貫太騎手

少し出負けする形でしたが、すぐ有力馬の後ろにつけられてうまくいきました。レースではすごく真面目で、キックバックも大丈夫でしたし、最後も自分のアクションに応じて走ってくれるところが強みです。(所属厩舎の大橋)先生とともに、ここで一つ大きなタイトルを獲ることが出来、嬉しく思います。

大橋勇樹調教師

勝ってくれて本当に嬉しいんですけれども、(入場で一時膠着した)レースまでがひやひやでした。どっしりした気性の馬なのですが気難しいところがあり、まだ課題はいっぱいありますね。牝馬の割に体があり、長距離輸送してもカイバの心配もありませんでした。次走はレース後の状態を確認して考えます。