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第58回ハイセイコー記念

2頭の争いから直線突き放す
  絶好調荒山厩舎に新星登場

かつて青雲賞の名称で行われ多くの素質馬を輩出してきた2歳重賞も、今回で58回目。未来のスターを目指す16頭が、大井の内回り1600メートルに集結した。

単勝人気はゼーロスとゴーバディが二分。ゼーロスは前走の鎌倉記念で3着だったが、コーナーで大きく外にふくれるロスがあり、実績のある地元コースに戻れば本来の走りができると目された。3連勝中のゴーバディが2番人気で、内で窮屈な競馬を強いられながら完勝したゴールドジュニアの内容が評価された。2頭の叩き合いか、それとも割って入る馬がいるのか。興味深い一戦の火ぶたが切られた。

スタートから積極的に出していったのはゴーバディ。他の先行馬の様子をうかがいつつ3番手の外を確保する。一方のゼーロスは、軽く仕掛けながらも先行争いには加わらず、ゴーバディの後ろで落ち着いた。前半の3ハロンは37秒1でややスローだったが、向正面に入ってからは12秒台のラップ。よどみない流れのまま3コーナーを迎えた。

ここでゼーロスが外から先頭に並びかけると、ゴーバディも応戦。馬体を少し離した形で直線に向き、このまま2頭による争いになるかと思われた。しかし、残り200メートルを切ったところでゴーバディの脚いろが鈍り、ゼーロスが先頭へ。そのまま一気に突き放したところで、2頭の勝負は決した。

焦点は2着争いとなり、粘りを見せていたゴーバディは残り50メートルで失速。中団で脚をためていた4番人気のポッドフェスタが2着に上がり、メンバー最速の末脚で追い込んだ3番人気のロウリュが3着に入った。ゴーバディはプロロークにも交わされ、5着に終わった。

ゼーロスはこれが重賞初制覇。馬主の(株)カナヤマホールディングス、荒山勝徳調教師、笹川翼騎手は、9日前のJBCスプリントJpnI(ファーンヒル)に続く重賞制覇で、陣営の勢いを示す結果となった。ただ、スタートからゴールまで終始ササり気味で、まだまだ粗削り。笹川騎手も「まだベイビー。地方のオルフェーヴルを目指して頑張ります」と苦笑いだったが、「でもポテンシャルは高いし、一戦ごとにいい形になってきています」と素質の高さを強調した。

一方、荒山調教師も「ハミを換えて、ブリンカーを着けて調整しましたが、効果があったかどうかは微妙でしたね」と悩み顔。ただ、「上でもやれる力は秘めているし、ダート三冠を狙っていける馬」と話し、将来への期待を口にした。今回の勝利で全日本2歳優駿JpnIの優先出走権を獲得したが、今後についてはオーナーサイドと相談の上で決められる。

2着のポッドフェスタは直線で鋭い脚を披露。ゼーロスには2馬身半差をつけられたが、マイルの持ち時計を3秒2も更新した。「砂をかぶってひるむ面を見せましたし、走り切っていない感じです。距離は延びたほうがいいと思います」と矢野貴之騎手。同厩舎のゴーバディが失速するなかでの好走で、的場直之厩舎としては一矢を報いた形。今回がまだ3戦目だけに、さらなる飛躍が期待できそうだ。

そのゴーバディは最後に力尽き、鞍上の吉井章騎手は「理想の競馬はできましたが、勝ち馬に力でねじ伏せられました」と肩を落とした。非の打ちどころがないレース内容だけに完敗と言わざるを得ないが、陣営は先々を見据え、デビュー当初からゆったりとした調整を続けている。長い目で見れば、この敗戦も将来の糧となるはずだ。

取材・文大貫師男

写真早川範雄(いちかんぽ)

Comment

笹川翼騎手

まだ子どもっぽいところがあるので、レースプランはスタートしてから決めようと思っていました。目の前にゴーバディがいたので目標にさせてもらい、結果的にいい形になったと思います。ひとつひとつ課題をクリアしていく段階ですが、ポテンシャル的には中央馬が相手でもやれると思っています。

荒山勝徳調教師

今回も不真面目なところを見せましたが、力のあるところも見せてくれました。前半は吹かしすぎかなと思っていたのですが、最後にあそこから突き放せる力がありました。体のわりにタフな部分もあって、上でもやれる力は秘めていると思いますが、それをレースで出し切ってくれるかが課題でしょう。