2戦ともゴール前大接戦
新人・小笠原騎手が首位に
LJSザ・ファイナル 笠松ラウンド
2025年度のレディスジョッキーズシリーズ(LJS)は“ザ・ファイナル”と銘打って行われ、本シリーズとしては終了を迎えることとなった。
06年から始まったものの、途中女性騎手の減少を受け12年度から休止。21年度に再開したが、近2回連続で優勝している木之前葵騎手(愛知)は13年、女性騎手が少ない時期にデビューした。「騎手になった当初、女性が少ないということをことさらに意識することはありませんでしたが、そういえばレディスヴィクトリーラウンド(16~19年度に開催場の男性騎手と混合で実施)で、女性騎手たった3人で各地の競馬場を回ったこともありましたね」と、当時を振り返る。「地方競馬で異なる競馬場にいると、互いに会って情報交換する機会も殆どないので、こういう機会はありがたかった」と話し、今後同様の機会が生まれることへの期待感を示した。
一方、今年デビューの小笠原羚騎手(愛知)は、地方競馬教養センター入所直前の23年3月に両親と川崎競馬場を訪れ、LJSで戦う先輩女性騎手たちの姿を目の当たりにした。それから2年後、今年4月にデビューし、初めて参加する本シリーズを迎える。戦前「当時“かっこいいな”と思って見ていたレースに出られるのは嬉しい」と、憧れの舞台に立つ心境を話した彼女は更に、「女性と男性とでは体格も違うので、女性同士で経験を話し、参考に出来るいい機会。今回多くの女性騎手の先輩と会うことが出来るので、学びながらやっていきたい」と抱負を語った。
“より魅力的なシリーズ競走として生まれ変わることを目指す”というLJS。まだ日本では数が非常に少ない女性騎手、女性ホースマンの意欲向上、あるいはこの業界への更なる女性人材の誘致のために、今回ひと区切りとなる本シリーズがどのような発展の道を辿るのか、今後が注目される。
笠松ラウンドは、素晴らしい晴天の下行われた。第4レース終了後に行われた、出場騎手9名がゴール前に集う騎手紹介セレモニーでは、この日多く集まった来場客が思い思いの騎手に声援を送っていた。
このセレモニーには、休養中の濱尚美騎手(高知)がスペシャルゲストとして参加した。彼女がマイクを持ち出場騎手にエールを送ると、観衆からは、このあと出産という人生の大きな挑戦を控える彼女にも数多くの声援が飛んだ。取材に対し「出場騎手みんなの姿を見ていると本当にかっこいいし、自分も早く(騎手として復帰して)乗りたいと思いました。こうして、自分の居場所を周囲の方々が作ってくれて、守ってくれるのは本当にありがたいことです」と、周囲の理解への感謝を表す。今後については、「自分がこの立場になってみると、世の中の女性たちはすごいなと改めて感じます。自分は焦ることなく、順序を経てしっかり進んでいきたいです」と、騎手としての復帰への意欲を話した。
第10レースで行われた第1戦。スタートで「めっちゃ出た」という佐々木世麗騎手(兵庫)が早々に先手を取り、深澤杏花騎手(笠松)が番手と、前の情勢が決まりかかったところに、「終始かかってしまった」という塩津璃菜騎手(兵庫)が更に外から並ぶ。レース前半は、ペースも意識して三者三すくみの様相。
馬が体力を消耗した塩津騎手が後退し、佐々木・深澤両名の粘り合いとなった最後の直線では、内目4番手で機を窺っていた小笠原騎手がそのまま内を回って迫り、争いに加わる。最後は3頭の接戦を凌いだ佐々木騎手が勝利をもぎ取った。小笠原騎手は3/4馬身差の2着。「もう少し道中折り合いをつけて乗れたら、勝てたんじゃないかと思う」と振り返る深澤騎手はクビ差3着で、悔しそうな表情を浮かべた。
続く第11レース、重賞のレジェンドハンター記念を木之前騎手が勝ち、場内も、そして検量室前もひとしきり大きな賑わいと盛り上がりを見せた後、第2戦は最終第12レースで行われた。
発馬後やや後手に回った神尾香澄騎手(川崎)が「他馬がいると怯む馬だと聞いていたので、行かせてもらった」と巻き返すように先手を取る。好発を切った木之前騎手は「ついていけばペースが速くなると思った」と内で控えた。道中はこの2頭を含め先団5頭、後方4頭と大きく2つの集団に分かれた。
レース中盤からスパートを開始した小笠原騎手が、後方集団から先団に加わり、素晴らしい脚勢で4コーナーでは先頭にまで一気に並びかける。最後は追い比べの激しい攻防となったが、クビ差制した小笠原騎手が1着。逃げた神尾騎手は2着惜敗。「出来るだけ上の着順でポイントを稼ぎたい」と懸命に馬を追った木之前騎手が1馬身半差の3着に粘った。
笠松ラウンド2戦の結果、2着・1着でトータル50ポイントを獲得した小笠原騎手がトップ、第1戦の勝者佐々木騎手が第2戦は9着と奮わず32ポイントの2位、僅差28ポイントで神尾騎手が3位に続く。次回は11月25日、名古屋競馬場に舞台を移して行われる残り2戦で、LJS最後の優勝者が決まる。
取材・文坂田博昭
写真宮原政典(いちかんぽ)
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第2戦1着 小笠原羚騎手(愛知)
周りが速くて前に行けず、道中は早めに動くしかないかなと思っていました。2コーナーぐらいから外に出したんですが、急に出し過ぎたのが反省点です。直線で前には届くなと思ったんですけれども、また差し返されるんじゃないかなと少しヒヤッとしました。ゴールの瞬間は、たぶん勝ったなと思いました。










第1戦1着 佐々木世麗騎手(兵庫)
内から2馬幅目辺りを通って欲しいと言われていて、ゲートをめっちゃ出たので行きました。外から来ていたんですが、まだ早いと思い、とにかく焦らず抑えてと。(勝負所で)自分も行こうと思って行ったわけではなく、かかってしまっている感じだったので、直線は「誰も来ないでくれ」と思っていました。