リニューアルして迎えた2度目の船橋開催
今年のJBCは第25回のアニバーサリーイヤー。15年ぶりの開催となる船橋競馬場でJpnI・3競走が行われ、JBC2歳優駿JpnIIIは引き続き門別競馬場で行われた。船橋競馬場では約5年を費やした全面工事が終了し、2025年3月31日にリニューアル・オープン。15年前のJBCとは全く違う施設での開催となった。
新しくなった船橋競馬場は、パドックを低い位置から見ることができる“馬かぶり席”や、装鞍所が見えるエリア、誘導馬の待機馬房が見える場所など、これまで以上に馬たちを身近に感じる工夫が施されている。
スタンドは以前よりコンパクトな造りになっており、いろいろなスポットを短時間で行き来することができる。収容人数的には以前よりも少なくなっており、混雑を避けるために当日の入場券はなく、インターネットによる前売入場券のみの販売となった。前売入場券13,000枚(ほかにウィナーズビューシート、5人部屋8室)は完売。JBC当日は10時の開門前に約1100人が列を作り、開門と同時に場内へ。スタンドやパドックだけではなく、新たに敷設された芝生広場など屋外で過ごすファンも多かった。
騎手として活躍した2人の新調教師がデビュー
この日の第3レースは『石崎駿・森泰斗開業記念』というレース名で、石崎駿調教師、森泰斗調教師ともに初出走を迎えた。パドックでは2人の調教師姿をたくさんのファンが見守り、単勝1番人気は森厩舎のセイウンユズカ(戸崎圭太騎手騎乗)、2番人気は石崎厩舎のワナカ(笹川翼騎手騎乗)と支持が集まった。
レースでは3番手を追走したセイウンユズカが勝利、逃げたワナカが2着に粘ってワンツー決着。検量室前に引き上げて来た戸崎騎手は、開口一番「緊張した!」と安堵の笑顔。森調教師も笑顔で迎え、地方競馬教養センター時代からの変わらない同期の絆を感じさせた。
レース後は森調教師と石崎調教師の紹介式が行われ、がっちりと握手。これまで騎手として船橋を引っ張って来た2人の新たなスタートとなった。
門別では2歳スプリントの特別戦を新設
門別では、新たに『北海道2歳スプリント』が実施された。JBCの2歳カテゴリーとして2020年から始まったJBC2歳優駿JpnIIIは、第1回から門別1800メートルで行われている。1200メートルの北海道2歳スプリントは、地方全国交流の2歳オープン特別。新ダート体系で整備された、2歳・3歳のネクストスター競走から兵庫チャンピオンシップJpnIIへと繋がる若馬の短距離路線に、より厚みが増す試みではないだろうか。
北海道所属馬13頭に、佐賀からの遠征馬1頭を加えての14頭立て。中団から外々を上がって来た1番人気ゴッドバロック(阿部龍騎手/角川秀樹厩舎)が差し切り勝ち。同日に行われた古馬A級よりも速い1分13秒3の勝ちタイムを叩き出した。今後このレースがどのような形で行われていくのか、ゆくゆくはJBCの新たなカテゴリーとしてダートグレード競走になるのか、長い目で注目していきたい。
世界へつながるJBC
JBC4競走については詳細なレポートがあるので、ここでは簡潔に振り返って行く。
15時25分に発走を迎えた第15回JBCレディスクラシックJpnIは、逃げたアンモシエラが淀みのないペースを作り、最後まで粘って連覇達成。昨年のJBCレディスクラシックJpnI以来、1年ぶりの勝ち星となった。この日は先行有利で内が伸びる馬場傾向であり、スタート後迷わずハナに行った横山武史騎手の積極的な騎乗が光るレースだった。
16時10分発走の第25回JBCスプリントJpnIは、スタート直後にファーンヒルとエンテレケイアが競り合い、序盤から息をのむような熱い展開になった。前半3ハロンが34秒1のハイラップ。この競り合いの末にデビューから初めて逃げる形になったファーンヒルが、迫るママコチャを1馬身差で抑えて勝利。鞍上の笹川翼騎手にとっては、イグナイターに続くJBCスプリントJpnI・2勝目。今年は全国リーディングを独走中であり、揺るぎない信念を感じる見事なレースだった。
16時50分発走の第6回JBC2歳優駿JpnIIIは、6番人気タマモフリージアが勝利。スタートで後手を踏みながらもすぐに盛り返し、直線は横並びの攻防をクビ差で差し切った。JBC2歳優駿JpnIIIとしては牝馬の勝利は初めて。馬場入場時には前脚を突っ張ってしばらく動かず、気性面の強さと難しさを感じさせたが、レースではセンスの良い走りで並みいる牡馬を撃破した。
17時20分発走の第25回JBCクラシックJpnIは、サントノーレが逃げて最初の3ハロン通過が35秒5という速い流れを作った。追走に苦労する馬もいた中で、1番人気ミッキーファイトが4コーナーの立ち上がりでサントノーレを並ぶ間もなく交わし、そのまま後続を突き放して完勝。先行有利の馬場傾向の中、5番手追走から難なく突き抜けたミッキーファイトの強さが際立つレースだった。
レース後、ミッキーファイトを管理する田中博康調教師は、前日(日本時間2日午前7時25分発走)アメリカのブリーダーズカップ・クラシックG1を勝ったフォーエバーヤングについて話題にした。「レースでの根性やしぶとさ、そしてフォーエバーヤングを育てたチームの力に心を動かされました。機会があればまた一緒に走らせたいという希望はあります」。ミッキーファイトの今後は、年内は東京大賞典GIを視野に1走、来年はサウジやドバイを目指すプランが語られた。JBC2歳優駿JpnIIIを勝ち、その2年後にブリーダーズカップ・クラシックG1を制したフォーエバーヤングと、JBCクラシックJpnIを制したミッキーファイトとの再戦が、来年海外で実現するかもしれない。

