苦心の調整実り重賞2勝目
三冠馬オケマルは初黒星
史上初無敗の兵庫三冠馬オケマルの参戦により、例年以上の注目を浴びた園田金盃。さらに古馬も最強メンバーと言えるほどの面々が揃った。アラジンバローズは昨年、サマーチャンピオンJpnIIIを勝ち、前走・JBCクラシックJpnIは6着と、JRA馬相手に遜色ない走りを見せ、マルカイグアスは昨年覇者。その中で兵庫三冠を1秒4以上差をつけての圧勝続きだったオケマルがどんな走りをするのか、ひと目見ようと多くのファンが集まった。
単勝人気はこの3頭が10倍以下のオッズで、3歳馬オケマルが1.3倍の断然人気。ファンが期待と夢を乗せていることが伝わってくる。アラジンバローズが4.5倍に留まったのは輸送がない分、プラス16キロの体重だったことも影響したかもしれない。そしてマルカイグアスが5.8倍で続いた。
生ファンファーレが響き、絶好のスタートを決めたのは大外のラッキードリーム。オケマルも好スタートを切ると、楽に2番手につけた。その外にマルカイグアス、さらに外にアラジンバローズと、2頭はオケマルをぴたりとマークする隊列となった。
向正面に入る頃にアラジンバローズがじわっと進出し、外から被せられたマルカイグアスは3コーナー手前で後退。一方、オケマルは逃げるラッキードリームを捉えにかかるが、その差はなかなか詰まらない。直線でなんとか交わそうかという頃、外から力強く伸びてきたのがオディロンだった。道中はオケマルの直後のインで息を潜めていた同馬は、無敗の三冠馬を抜き去り、2馬身差をつけて勝利。「やっぱり吉村か!」とファンの呟きが聞こえる中、吉村智洋騎手は馬上で雄叫びを上げ、担当厩務員は涙を拭った。
今年2月、白鷺賞で重賞初制覇を飾ったオディロンは夏は調子を崩して休養。また、脚元に不安も抱えるため、なるべく負担のかからぬよう牧場の坂路も活用するなど、調整に工夫を凝らした。最終追い切りもしっかりと動く相手を、ということで他厩舎のエコロクラージュ(同日の笠松グランプリで2着同着)と併せ馬。「いい負荷をかけられました」と森澤友貴調教師は手応えを掴んでいた。
同じく自信を抱いていたのは吉村騎手。「力があるのは分かっていて、あとはどれだけ信じて乗れるかだと思っていました」。一方で、吉村騎手自身は昨年の大晦日の落馬で大怪我を負い、復帰したのは今年3月25日。7年間守ってきた兵庫リーディングで、小牧太騎手に30勝以上の差をつけられている。
「最近は僕自身、目標を失って乗っていましたが、全盛期の輝きをもう一度取り戻したいと思っていて、今日はその第一歩でしかありません」
ジョッキーにとっても大きな勝利となっただろう。
オケマルは2着で初黒星。「状態はこれまでで一番」と下原理騎手も盛本信春調教師も胸を張るほど、絶好調だった。レース中盤までは下原騎手も勝ちを意識していた。しかし、「勝負所で『ラッキードリームを交わせないかも』と思い、行きました。これだけ追ったので、オケマルは初めてフラフラになっていました」と下原騎手。非常に高い期待を裏切ることになったが、強豪古馬相手に3歳秋でこれだけやれたことは力のある証でもある。今後の活躍に、再び期待が寄せられる。
3着にラッキードリーム、4着に盛り返したマルカイグアス。アラジンバローズは「輸送がない分か、あるいは園田のレースが合わないのか」(新子雅司調教師)9着だった。
取材・文大恵陽子
写真桂伸也(いちかんぽ)
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森澤友貴調教師
改めて強さを発揮してくれてホッとしました。前走後はさらに気が入り、馬房での様子から気配の良さと、ひと叩きして体が引き締まったのを感じました。白鷺賞以上に価値ある勝利。夢が広がり、遠征も視野にオーナーと相談したいです。折り合いがつくので、2400メートルくらいまでは対応できると思います。









吉村智洋騎手
できればオケマルの後ろの位置を取りたいと思っていて、理想の形になりました。操縦性のいい馬で、道中は抜群に折り合って手応えが良かったです。前の馬が動いてから手応えのいい馬についていき、直線だけ砂の軽い外に出せば突き抜けての勝利まであると思っていました。