紅一点が人気馬との接戦制す
最強4歳世代にまた新星誕生
今年の名古屋大賞典JpnIIIは、12月24日のクリスマスイブに行われ、2025年名古屋競馬の最終開催日を飾る一戦となった。最終的なエントリーはJRAから4頭、地方から6頭。兵庫3歳三冠馬オケマルの出走取消は残念だったが、実績の近接した中でのハンデ戦とあり、また降雨による軽馬場(発表は不良)と相俟って、レースは混戦かつ激戦が予想された。
名古屋2000メートル戦のスタートは向正面。2番人気に推されたレヴォントゥレットが先頭に立つ。3番人気のベルピット(北海道)や、5番人気でこのレース紅一点のアピーリングルック、6番人気のデルマソトガケが直後につけ4頭で先団を形成。一方で「自分から走ろうという気持ちがなかなか出ない馬」(新谷功一調教師)という1番人気のカズタンジャーは、ここ数戦と同様に発馬後一旦後方まで下がり、また4番人気のシンメデージー(高知)は、発馬で後手に回った上その後の行き振りも悪く早々に鞭が入る。1周目4コーナーで先団のペースが緩むと、内を掬ったカズタンジャーと中を通るシンメデージーもようやく先団の直後まで追い上げ、全9頭の馬群は固まった。
2コーナーで逃げ馬が仕掛けてペースが上がり、そこからは上位生き残りを賭けた攻防戦となる。最後抜け出したのは、内側2番手から逃げ馬を交わして出たアピーリングルックと、更に内を回って追い込むカズタンジャー。熾烈を極めたゴール前の競り合いは、僅かに半馬身、アピーリングルックが制した。勝ち時計の2分6秒2は、前年当レースでミッキーファイトがマークした時計を1秒2上回る、コースレコードだった。
2着、カズタンジャーの新谷調教師は、コース形態や馬場状態を指し「この条件でも走れることを証明出来た」と、馬の奮闘に胸を張る。「(砂の深い)内を回る形だったし、(勝ち馬との斤量)4キロ差もあった。賞金を加算できたので今日は合格点」と、先々の活躍に期待を示した。3着は、2馬身半差でデルマソトガケ。團野大成騎手は、「前々走から一戦ごとに動けるようになってきている。トリッキーなコースにもしっかり対応してくれた」と馬を称えた。
地方勢ではベルピットが4着で最先着。「不良馬場でコーナーも小回り。ペースが上がるとついて行けなかった感じ」(桑村真明騎手)と、地元での快進撃当時と異なる環境条件が敗因に挙がった。シンメデージーは5着。動きの良くなかった前走の東海菊花賞敗戦を踏まえ着用したブリンカーは、かえって「発馬で少しキョロキョロ」(吉原寛人騎手)して出負けの一因となり、また位置が取れなかったことであまり効果を発揮しなかったそうだ。「気の悪さが出て進んでいかない。位置を維持するのがやっとだった」(同騎手)との談話からは、陣営が感じる馬の現状の厳しさがひしひしと伝わってきた。
勝ったアピーリングルックは、「入厩した当初はテンションの高い馬だった」(辻哲英調教師)ため短い距離から使い出されたが、「馬のメンタルを重要視しながら、ゆとりあるローテーションで使い、我慢させながら少しずつ距離を延ばしていった方が、馬の気持ちにゆとりが出来る。ゆったりと馬を作っていく」(同調教師)という厩舎独自のメソッドに沿って鍛えられた結果、前走は東京2100メートルのリステッドを勝ち、距離延長も克服。重賞初挑戦の今回、一発で結果を出した。この馬も、現役“最強”と言われる4歳世代。今後の活躍から目が離せない。
取材・文坂田博昭
写真早川範雄(いちかんぽ)
Comment

辻哲英調教師
前走を勝ってから、ハンデ戦ということもあり狙うならこのレースと目標を定め、調整してきました。時が経つごとに心身共に大人になってきていて、今日も凄く落ち着いていたので力は発揮出来るかなと思っていました。入厩当初は短い距離のイメージでしたが、今後の競馬の幅が広がってきたと思います。










松山弘平騎手
渋太くて強い競馬だったと思います。(今日は)ずっと前残りの競馬が続いていましたし、1番枠といういい枠も引けていたので、スタートをしっかり決めて流れに乗りたいなと思っていました。雨の降った馬場も向いてくれたと思います。最後の直線では、来ないでくれ、凌いでくれ、という気持ちでした。