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第25回兵庫ゴールドトロフィーJpnIII

早め先頭から人気馬を退ける
  掲示板に地方馬が3頭の健闘

雨で第1レースから不良馬場となった園田競馬場はコースに水が浮き、前週に引き続き前残り決着が続いていた。タイムも全体的に速い。そうなると、各陣営は前目を意識するのは当然のことで、それぞれに思いを巡らせていた。

地方馬ではエコロクラージュ(兵庫)に次ぐ5番人気に支持されたロレンツォ(高知)の田中守調教師は「前残りやもんねぇ……」と頭を抱えた。高知移籍後は重賞を含む3連勝中だが、JRA在籍時から中団より後方から末脚を伸ばす馬。「あとはペース次第だね」と望みをかけた。

地方馬で最も支持された4番人気エコロクラージュは昨年、4コーナーで進路がなく7着だったが、今年はサマーチャンピオンJpnIIIで小差3着、マイルチャンピオンシップ南部杯JpnIは定量戦ながら5着とあって、陣営は色気を持って挑む。レース前、小牧太騎手と保利良平調教師は集中した雰囲気で、すれ違うと「頼むわ」「うん」と短い言葉を交わした。

人気は、大外のマテンロウコマンドと最内枠のサンライズフレイムが単勝2倍台で分け合う形。しかし、レース前半から2頭はすんなり運べなかった。

マテンロウコマンドは大外枠の影響でスタートで外に膨れるロス。一方、サンライズフレイムは1~2コーナーでキックバックを嫌がる素振りを見せ、向正面で外に出すと、3~4コーナーは外6頭目を回る形となった。逃げたスペシャルエックス(北海道)の吉村智洋騎手が「今日の馬場は砂が当たるとすごく痛いので、無理してでもハナか2番手を取りたいと思っていました」と言うほどだから、普段は砂を嫌がらない馬でもリアクションが違ったのだろう。

対照的に立ち回りの巧さを見せたのはハッピーマン。逃げ馬の直後で運び、向正面半ばで内から一気に先頭に並びかけた。3コーナー手前で少し息を入れると、コーナーリングで前へ出て、迫るマテンロウコマンドを半馬身退けて勝利を手にした。

当初は補欠で3日後のギャラクシーステークスと両睨みだったが、選定されていたリメイクが回避して引退。それによって巡ってきたチャンスだった。

坂井瑠星騎手は引き上げてくると、スタンド近くまで行ってハッピーマンをファンに見せた。勝利騎手インタビューでは「メリークリスマス!」と言うと、「キャーッ」と黄色い声援も飛ぶほど。ジョッキーファンにとっても、この馬のファンにとっても、近くで見られたことは思い出に残るだろう。

2着マテンロウコマンドはスタートで膨れながらも、すぐに盛り返して3番手を取ったが「勝ち馬とは枠の差が出たかなと思います」と松山弘平騎手。有利とは言えぬ状況で、力は示した。

1馬身半差で3着は内をスルスルと上がってきたオマツリオトコ(兵庫)。「こんな馬場なので、最初から内に行けたらと思っていました」と、かつて『インの下原』と呼ばれていた鞍上は話す。4着スペシャルエックスも吉村騎手が馬場状態を考慮してレースプランを組み立てており、地元騎手の強みが生きた。

5着ケイズレーヴ(愛知)は「まだ成長しています。1400~1500メートルがベストかな」と吉原寛人騎手、6着エコロクラージュ(兵庫)は「普通の馬場と違います」(小牧騎手)と、3~6着を地方馬が占めた。

取材・文大恵陽子

写真桂伸也(いちかんぽ)

Comment

坂井瑠星騎手

馬場的にある程度の位置につけたいなと思っていましたけど、レースプランはそこまで決めつけていませんでした。「ここだ!」と思い、仕掛けていきました。この馬は園田が合っているのだと思います。今年はサウジやアメリカでも勝たせていただきましたが、僕自身はまだまだです。

寺島良調教師

馬場を見て、好位にいないと勝負にならないだろうと思っていました。枠もちょうど良く、向正面で坂井騎手が上手くさばいてくれて、内外の差で勝てました。前走、今回と馬体重が増え、精神面も少し落ち着いてきました。トビが綺麗で、どちらかというと距離を延ばしていきたい馬。選択肢が広がりました。