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第71回東京大賞典GI

ゴール前人気馬を競り落とす
  地方馬の勝利は20年ぶりの快挙

2025年のダート競馬を締めくくる大一番、東京大賞典GIが冬晴れの大井競馬場で行われた。22・23年と連覇したウシュバテソーロや、24年のフォーエバーヤングはこのレースを勝った後、海外でも好走しており世界に繋がるレースとしても注目を集める。

世界のダートの頂点を極めたフォーエバーヤングは不在だったが今年も豪華メンバーが集結した。単勝1.4倍と圧倒的な人気に推されたのはミッキーファイト。帝王賞、JBCクラシックとJpnIを連勝中とあってこの人気も頷ける。2番人気はジャパンダートクラシックJpnIを快勝したナルカミで5.1倍。3番人気は羽田盃JpnI、東京ダービーJpnIを制したダート二冠馬ナチュラルライズで5.5倍と、今年同舞台で躍動した3歳馬たちも有力視された。

地方馬ではコリアカップG3で海外重賞を制覇したディクテオンが筆頭格。ナイトオブファイア、シーソーゲーム、ベルグラシアスと南関東の3歳実績馬の挑戦も目立った。兵庫のアラジンバローズは出走取消。

ゲートが開くと、最内枠のナチュラルライズと、ナルカミによる先行争いとなったが、ナチュラルライズがハナを取り切り「力を発揮しやすいパターンになった」(横山武史騎手)と後続を少し離す逃げを打った。

2番手にナルカミ、続いてアウトレンジ、グランブリッジが追走。その直後にミッキーファイト、キングズソードがつけ、好位集団後ろにディクテオンが控えていた。

向正面半ば過ぎからミッキーファイトが徐々に進出し、ディクテオンも連れて上がっていく。3~4コーナーでは、逃げていたナチュラルライズと後続との差は縮まり、大歓声の中、直線勝負へ。

残り200メートル手前で先頭に立ったのはミッキーファイトで、その内からアウトレンジが伸び、外からは力強い脚でディクテオンも迫ってきた。ゴール前ではミッキーファイトとディクテオンの激しい追い比べが繰り広げられ、最後はディクテオンがクビ差交わして優勝。1馬身半差の3着にはアウトレンジが入った。

地方馬としては2005年アジュディミツオー以来、20年ぶりの東京大賞典制覇を達成したディクテオン。レース直後の検量室前は「すごい!すごすぎる!」など騒然とした雰囲気で、矢野貴之騎手もインタビューの開口一番「心臓がバクバクして、何を話せばいいか頭の整理ができていないです」と興奮を隠しきれない様子だった。荒山勝徳調教師は「コリアカップの時のような感動というより、興奮が上回ったので涙は出ませんでした。レース中は冷静を装いましたよ(笑)」と冗談を交えつつ笑顔が弾けた。

韓国遠征後は状態が上がらなかったため予定していたJBCを断念。しかしすぐに目標をこのレースに切り替え調整を進めた。今年JRAから移籍し5戦目だったが、その中で川崎記念JpnIの馬体の作りが一番良かったそうで、今回は担当厩務員がその時に近い状態に仕上げてきたとのこと。矢野騎手も「返し馬から鋭い動きで、これは良い走りをしてくれるのではと感じていた」と振り返った。

7歳にして充実一途のディクテオン。次なる目標はドバイワールドカップG1だ。「来年は8歳のおじさんになりますが、それを感じさせない仕上げをして中東に向かいたいと思います」と、いつもの荒山節で更なる飛躍を誓った。

それにしても、今年の荒山厩舎の活躍は圧巻だ。大井所属調教師として初の地方通算1000勝を達成し、年間勝利数は自身のキャリアハイを更新。JBCスプリントJpnIをファーンヒルで優勝し、ディクテオンでは海外重賞に東京大賞典GI制覇と記録づくめの1年となった。荒山調教師によると、約3年前から調教の方法を変えたそうで、それが結果に繋がっている要因のひとつのようだ。常に進化している荒山厩舎の2026年も大いに期待したい。

ミッキーファイトは惜しくもGI/JpnI・3連勝とはならなかった。クリストフ・ルメール騎手は「好きなポジションが取れてペースもちょうど良かったです。向正面からだんだんペースアップして手応えもとても良く、直線もがんばってくれましたが勝った馬が強すぎましたね。距離は2000メートルがギリギリでベストは1800メートルだと思います」と振り返った。

アウトレンジの松山弘平騎手は「良い状態で臨めました。スタートも良くて前の2頭を見ながら内で脚をためられました。直線に向いたときはなんとか交わせないかと思いましたが、上位2頭が強かったですね。それでも食い下がって頑張ってくれました」と語った。

取材・文秋田奈津子

写真いちかんぽ(岡田友貴、築田純)

Comment

矢野貴之騎手

想定よりも良い位置で運ぶことができ道中の雰囲気も良くて、こんなに手応えが良くていいのかなと思いながら自分なりに気持ちを落ち着かせて乗りました。直線は勝つ雰囲気だなとは思いましたが、あとは馬の力を信じて必死に追いました。陣営が上手く仕上げてくれて馬も前向きに走ってくれた結果ですね。

荒山勝徳調教師

1カ月前に帰厩してこちらが望むトレーニングも積めたので満足のいく仕上がりでした。矢野騎手にはスタートから少し出すように指示を出しましたが思ったより前になりましたね。直線1馬身後ろから叩き合いになった時は交わせるなと思いました。それでもまさかこんなに上手くいくと思いませんでしたね。