2戦とも川崎所属騎手が勝利
同ポイントも優勝は野畑騎手
第40回全日本新人王争覇戦
近年の全日本新人王争覇戦優勝騎手は、その前後に活躍しており、納得の騎乗技術を持った面々だ。昨年王者の高杉吏麒騎手(JRA)はデビューから1年半でJRA通算100勝を達成し、一昨年王者の細川智史騎手(愛知)は出場時点で重賞2勝を挙げ、その後も重賞4勝を積み重ねている。
そして今年、「新人の枠じゃないよね」とあちこちから声が聞かれたのが野畑凌騎手(川崎)。地方通算490勝を挙げ、昨年は1576戦209勝だった。川崎所属騎手としては佐々木竹見元騎手以来49年ぶりの年間200勝。現役時代4000勝以上を挙げ、地方競馬教養センターで騎手候補生を指導している桑島孝春元騎手の「1年で1000回乗るだけでもすごいこと」という言葉からも、デビュー4年目の大躍進が伝わってくる。
また、ヤングジョッキーズシリーズで活躍したジョッキーの出場も多く、鷹見陸騎手(大井)は2024年ファイナルラウンド優勝、室陽一朗騎手(浦和)は同年3位、新原周馬騎手(川崎)は23年3位。そしてJRAからは石神深道騎手が初高知だったものの、長浜鴻緒騎手、柴田裕一郎騎手、橋木太希騎手はJRA交流レースなどで騎乗経験があった。
国内ではもっとも砂が深いのではないかと言われる高知の馬場はここ約2カ月、12月21日を除いては稍重~良の乾いた状態で開催されていた。パサパサに乾ききると内が使えるようになる傾向はこの日も同様で、期間限定騎乗中の吉原寛人騎手は「内外の差がないので、外を回ると距離ロスがある分、勝ちきるのは難しい」と話した。
砂煙舞う中、第1戦でスタートから押して先手を主張したのは城野慈尚騎手(高知)。そこに対抗したのはムタビリスと新原騎手だったが、ペースが速いと感じると200メートルほど進んだところで控えた。そして直線で外から一歩ずつ先頭へと迫り、1着でゴール。
「砂を被るとダメと聞いていたので、ペースが速いと感じて外に切り替えて一旦落ち着かせました。それでも速かったですけど、よく踏ん張ってくれました」と新原騎手。本馬場入場は最後で、かなりチャカつくムタビリスをなだめながらだったが、「ピリピリする牝馬はああなりがち。落ち着かせるよう声を掛けながら返し馬に行くと、そこまで掛からず乗りやすかったです」と、経験を生かした。
2着は好位のうしろから4コーナーで内をすくった長浜騎手で、差を詰めたがアタマ差届かなかった。とはいえ、4コーナーで内を使うのは前開催日の18日に永森大智騎手や吉原騎手などトップジョッキーが見せていたコース取り。レース前に調教師から馬場傾向を聞き、「内を攻めてもいいかな」という判断だった。
3着に「勝ち馬があまり押していなかったので」と逃げの手に出た城野騎手が粘り、4着に4コーナーで内をすくった橋木騎手、5着野畑騎手だった。
第2戦は序盤から4頭が横一線となって1コーナーへと入った。その中で最内を回ったアリアルブラックと野畑騎手がコーナリングで先頭に立った。前半400メートルは第1戦より0秒2速い25秒4で、さらにペースは流れた。
リアルタイムでラップタイムが表示される高知では、向正面後半区間が最速となり、C3クラスでは12秒台前半を刻むことが多い。ところが、このレースでは13秒0。その後も13秒1、14秒0とバテ合いの様相となったが、逃げる野畑騎手は4コーナーまで2番手の馬と半馬身ほどの差を取り続けると、押し切り勝ちを決めた。
「気合で勝ちました。人生で一度の舞台。勝つか勝たないかが大切です」と野畑騎手。強い気持ちが表れた一戦だった。
2着は序盤から進みが悪く追い通しだった山田義貴騎手(佐賀)。「4コーナーで進み始めて『おっ!』と思ったのですが」と、着順次第では表彰台もあっただけに悔しさを滲ませた。
3着はここも内をすくった橋木騎手、4着鷹見騎手、5着新原騎手だった。
2戦を終えて、1着と5着で新原騎手と野畑騎手が65ポイントで並んだが、『第2戦の成績(着順)が上位の者を総合順位とする』という規定により、優勝は野畑騎手に決まった。
「持っているか持っていないかの違いだね」と王者が笑うと、地方競馬教養センターの同期で同じ川崎所属の新原騎手は「負けた気はしない」と悔しい表情。続けて、「野畑騎手はタレるペースでも残す技術があって、僕も欲しい」と褒めると、野畑騎手も「新原騎手は後方からの組み立てが上手い。二人で切磋琢磨してきたので、1位と2位になれたことが嬉しい」と話した。
3位は4着・3着で45ポイントの橋木騎手だった。
取材・文大恵陽子
写真桂伸也(いちかんぽ)
Comment

総合2位 新原周馬騎手(川崎)
第1戦は初めてのコースでペースが分かりづらかったですが、2番手外に控えた後は掛かり気味の馬なので無理せず流しながら乗りました。差されたと思いましたが、盛り返してくれました。同ポイントで優勝できなかったことは悔しいですが、いつか野畑騎手を抜かしたいです。そのためにも技術を磨きます。

総合3位 橋木太希騎手(JRA)
第1戦はゴール後の方がムキになって走っていたので悔しさはありますが、内から渋く伸びて、できることはやれました。第2戦は馬場での騎乗時にテンションが高く心配しましたが、レースは乗りやすく、道中で抱えられて手応えも良かったです。勝てませんでしたが、地方競馬は僕自身、相性がいいです。









総合優勝 野畑凌騎手(川崎)
無事に勝てて、ホッとしました。第1戦で新原騎手に勝たれて悔しく、第2戦は必ず勝とうと思っていました。点数は同じでしたが、勝ったレースがあとで優勝でき、僕の方が持っていましたね(笑)。川崎のレベルが高いと証明でき嬉しいです。地方通算500勝が迫り、今年は川崎リーディングを目指したいです。