ゴール前抜け出し着差以上の強さ
田中博康厩舎から今年も期待馬が
今年もダート三冠の蹄音が響き始めた。船橋1800メートルの舞台に13頭が集結。JRAからは2勝馬のカタリテ、4戦オール連対のフィンガー、1勝クラスで小差の競馬を演じてきたチャーリー、レースぶりが良くなってきたヘルメスギャングが出走。対する地方馬は、ハイセイコー記念2着のポッドフェスタ(大井)、ルーキーズサマーカップ3着のウォークアップ(船橋)など、地元の南関東勢9頭が名を連ねた。
思惑はさまざま。もちろんダート三冠を視野に入れ、JRA勢としてはナイターや地方ダートの経験値を得ることや、賞金の加算などが重要項目。地方馬としては力量試しのほか、ポッドフェスタのように早めに左回りを経験させておきたいといった陣営の意向もある。時期的に突出した実績馬が出走してこない傾向だけに、先々を見越して『試す』ことと、タイトルを『狙う』ことが両立する一戦だ。
良馬場が続き、差し馬の好走も目立つ傾向のなかでゲートが開いた。地元船橋のストゥディアが先手を奪い、カタリテ、ポッドフェスタ、フィンガーが先行集団を形成。この一角にヘルメスギャング、チャーリーと、上位人気の馬が続いた。前半の2ハロンはともに11秒台だったが、その後は13秒台のラップとなり淡々とした流れで進んだ。
レースが動いたのは3コーナー過ぎ。カタリテがペースアップを図ると、フィンガーとポッドフェスタも続き、3頭が一団で4コーナーを回る。なかでもパワフルにストライドを伸ばしたのがフィンガー。カタリテもしぶとく抵抗したが、残り100メートルでの脚いろの差は歴然で、ゴール手前で楽に抜け出した。1馬身半差とはいえ、内容としては完勝。勝ちタイム1分55秒4も、時計がかかっていたこの日の馬場を考えれば上々だ。
勝利に導いた戸崎圭太騎手は2016年のマリーンカップJpnIII(ヴィータアレグリア)以来となる、船橋での重賞制覇。「お待たせしましたと言いますか、お久しぶりです」と笑いを誘いつつ、「走る気がすごいな、という手応えでしたけど、向正面でリラックスしてくれて、比較的リズム良く行けたかなと思います」と振り返る。
田中博康調教師も「道中も無理して運んでいなかったので、あの4コーナーの手応えであれば、まあ大丈夫かなと思いました。まだまだ成長途上ですけど、ポテンシャルの高さは感じていますし、今後に向けて楽しみになる内容でした」と合格点を与えた。今後はダート三冠やドバイ遠征などを視野に入れ、オーナーサイドと相談するとしたが、いずれにしても注目を集めることは間違いない。レモンポップやミッキーファイト、ナルカミなど、同厩舎の先輩を追いかける日々が始まる。
カタリテはゴール手前で力尽きて2着。ただ、初の1800メートルでしぶとく粘った内容は悪くなく、斤量差があったことも考えれば実力を示した格好だ。高杉吏麒騎手は「距離はこなしてくれました。まだ体が緩く、幼いところがあるので、これから良くなってくれると思います」と伸びしろを口にする。父がダノンレジェンドで、母のツナグテが1600メートル以下で安定した成績を残しただけに、ゆくゆくは短距離で持ち味を発揮することが予想されるが、同世代が相手なら中距離でも活躍が見込める。
地方勢ではポッドフェスタが最先着の4着。最後は突き放されたが、別定57キロで真っ向勝負を挑んだだけに健闘といえる内容だった。「瞬発力勝負になるとJRA勢に分があるけど、この馬らしい競馬はできました」と矢野貴之騎手。今後も展開がかみ合えば、チャンスが巡ってくるだろう。
取材・文大貫師男
写真早川範雄(いちかんぽ)、NAR
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田中博康調教師
特にハナにはこだわっていなかったですし、馬場傾向も考えて、あの位置に収まったのかなと思います。まだスタミナ、スピードの面では物足りない部分はあるのですが、一戦ごとにパフォーマンスの向上が見られます。しっかり賞金も加算できましたし、三冠へのチャレンジも考えていけると思います。










戸崎圭太騎手
前めで競馬をしようと思っていましたが、内の馬も主張してきたので、それを行かせて、馬のリズムを考えて乗りました。2着続きで初勝利は遅くなりましたが、能力は感じていましたし、前走で本当に強い勝ち方をしてくれました。重賞を勝つこともできたので、今後が楽しみになりました。