理想の位置取りから接戦制す
2連勝でダート三冠へ名乗り
ダートグレードに格上げされて今年で3年目。春の大舞台を目指すという面では準重賞、南関東重賞時代と何ら変わりないが、ダート三冠が創設されて、JRA、地方の双方に羽田盃JpnIの優先出走権が与えられる点で、より注目度が増した。その羽田盃JpnIと同じ距離で行われるのも大きい。
JRAからは2勝馬のマクリール、トリグラフヒルに加え、ここまで4戦オール連対のリアライズグリント、この距離で完勝した実績があるケイツーリーブルの4頭が参戦。地方からもハイセイコー記念を制したゼーロス(大井)に、全日本2歳優駿JpnI・4着馬で船橋への移籍初戦となるアヤサンジョウタロ、ブルーバードカップJpnIIIで4着と力を示した大井のポッドフェスタなど、好メンバーが顔をそろえた。
乾燥が続くこの時期は滑りやすい馬場になることが多いが、適度な降雨があったことでグリップの効く状態。地方のダートらしい、標準的な良馬場でレースを迎えた。
好スタートを決めた地元のゼーロスが馬群を先導。好位にリアライズグリント、トリグラフヒルが続き、アヤサンジョウタロ、ナインフォルド(大井)がその後ろを追走した。1番人気に推されたマクリールは中団の10番手から。前半3ハロンは38秒1のやや遅いペースで進んだ。
勝負どころを迎えてもゼーロスの手応えは良かったが、外からリアライズグリントとトリグラフヒルが並び掛け、三つ巴の様相で直線へ。ここからさらに脚を伸ばしたのが外の2頭。リアライズグリントが多少外にもたれながらも先頭に立ち、トリグラフヒルも懸命に食い下がる。半馬身ほどの差での攻防はゴールまで続き、最後はクビ差でフィニッシュ。軍配はリアライズグリントに上がった。
デビューから3戦連続2着で、前走で初勝利を挙げたばかりのリアライズグリントだったが、返す刀で初タイトルを獲得。勝ちタイム1分54秒0も、この日の馬場を考慮すれば上々だ。直線では若さを見せる場面もあったが、坂井瑠星騎手は「この状態で重賞を勝てましたし、今後の走りが非常に楽しみです」と期待を口にし、矢作芳人調教師も「少し遊ぶぐらい余裕がありましたし、すごい馬」と話した。両者とも3日前(日本時間)のサウジカップG1(フォーエバーヤング)に続く重賞連勝で、矢作調教師も「やりました!サウジカップと同じくらいうれしい」と、ゆかりのある大井での“凱旋レース”制覇を喜んだ。
トリグラフヒルはよく食い下がったものの、最後は勝ち馬の粘りに屈した。松山弘平騎手も「持久力があるので早めに動いていきましたが、勝ち馬が強かったです」と脱帽。ただ、これで3戦連続連対と充実ぶりを示した形で、3歳トップクラスの力も証明した。コース経験も含め、この一戦が今後の糧になるはずで、大舞台での巻き返しも十分に考えられる。
1番人気のマクリールは2着から6馬身離れた3着に敗れた。直線での脚は悪くなかったが、クリストフ・ルメール騎手は「3コーナーくらいから手応えはなかったけど、直線でもう一度伸びてくれました。速い馬場のほうがいいかも」と話しただけに、地方のダートへの対応が今後の課題となる。
地方勢では5着のゼーロスが最上位で、「途中までリズムが良く、勝つくらいだったけど、最後の1ハロンでいっぱいいっぱいになってしまいました」と笹川翼騎手。ただ、今回はハイセイコー記念以来3カ月ぶりで、次戦以降は息もちが変わってくるはず。さらなるパフォーマンスを発揮できるに違いない。
この結果により、JRA勢ではリアライズグリントとトリグラフヒル、地方勢ではゼーロスと6着のアヤサンジョウタロが羽田盃JpnIの優先出走権を獲得。ダート三冠へ、まずは4頭が名乗りを上げた。
取材・文大貫師男
写真宮原政典(いちかんぽ)
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矢作芳人調教師
想定していた最もいいポジションである2番手を取ることができたので、いい形で運べているなと思いました。ただ、本来の能力からすると、まだまだ馬が若いというか、仕上がりとしては七、八分ぐらい。今後は基本的には三冠路線へ進んでいくことになると思いますが、オーナーとじっくり相談します。






坂井瑠星騎手
馬体重は減っていましたが、そんなに変わりはありませんでしたし、返し馬では使うごとに良くなっていると感じました。ここ2日間の大井の競馬を見ていて、2番手からの形が一番勝ちやすいのかなと思っていましたし、リズムも非常に良かったです。寒いなかでも熱い走りを見せてくれました。