豪脚炸裂し圧巻の3馬身差
地方初参戦で重賞初制覇
名古屋競馬場の大きな賑わいは、年間3回、ダートグレード競走当日に訪れる。昨年末の名古屋大賞典JpnIII当日は、平日かつ悪天候とあって集客の面で盛況を欠いたが、この日は祝日であることに加えて、気温が20度近くまで上がる季節外れの暖かさに誘われ、多くの来場客が集まり、賑わった。
かきつばた記念JpnIIIは、ナイター開催の第7レース、暮れなずむ空の下で行われる。発走直前には、招かれたご当地タレントにより来場客向けのいわゆる“前説”が行われた。ネット経由で競馬に参加する顧客が大半という今時、ライブ観戦に慣れない来場客を鼓舞し、声援を促すこの試みは、「競馬への共感と感動を一層強く味わってもらいたい」(競馬場広報担当者)との思いからのもの。その狙い通り、ファンファーレに合わせた手拍子、そして大きな拍手に包まれた盛り上がりの中、レースは始まった。
序盤、3番人気のジャスパーロブストが1番枠から先手を取り、馬群を先導する。当レース3年連続出場のシャマルに加え、ストリームとスペシャルエックスの北海道勢が2番手集団を形成。1番人気のダノンフィーゴはその直後につけた。一方、「周りが速くイメージした組み立てとは違った」(戸崎圭太騎手)という2番人気のウェイワードアクトは、「外枠は嫌だなと思っていた」(松山弘平騎手)という4番人気のマテンロウコマンドとともに、更に1列後ろの中団位置となった。
「1~2コーナーをもう少しゆっくり行きたかった」(丸山元気騎手)というジャスパーロブストの作るペースは、2コーナー出口までをハロン平均約12秒で行くハイラップ。自ずとリードが広がり、焦点は離れた2番手以降からの追い上げと、そのタイミングに移った。
ダノンフィーゴを駆る川田将雅騎手が「あまり良い雰囲気で進んでいく感じではなかったので、動きを求めた」と振り返った向正面、彼は馬をコースの内目に誘い、3コーナーでは2番手集団を内から交わして逃げ馬との差を詰める。直線入口で前を射程圏に入れたダノンフィーゴは、やがて難なく先頭に立ち、勝利。前を交わしてからの200メートル足らずで、後続を3馬身放した末脚は実に鮮烈で、見る者に強い印象を残した重賞初制覇だった。
ウェイワードアクトが、追い上げて2着に入った。戸崎騎手は「後ろからの競馬でも、しっかり最後は(脚を)伸ばし良い内容」と走りを評価。更に半馬身差の3着だったマテンロウコマンドの松山騎手も「しっかり脚を使った。やはり地方競馬の馬場は合う」と、結果を前向きに振り返った。
地方勢最先着は、兵庫のマルカイグアス。馬に変化を求め近走よりも距離を縮めての挑戦だったが、5着に食い込んだ終いの脚は目立った。この走りに橋本忠明調教師は「これを続けていくと、もう少し前まで来られるのではないかと思う」と話し、一定の手応えを掴んだ様子だった。
初の地方競馬への遠征だったダノンフィーゴ。友道康夫調教師は「コーナー4回、直線が短く砂質も違うので、どうかなと思うところもあった」とレース前の心境を振り返ったが、馬の強さがその全てを杞憂に転じた。今後の進路につき同調教師は含みを持たせたが、黒船賞JpnIII(3月24日高知競馬場)の名前が挙がり、更なる活躍への期待感も見えた。
なお、当レースの売得金はおよそ12億5千万円に達し、昨年記録された『かきつばた記念競走売得金額』のレコードを20%余り更新。売り上げの上でも大盛況となった。
取材・文坂田博昭
写真早川範雄(いちかんぽ)
Comment

友道康夫調教師
調教では全く走らず、返し馬でも良い感じではないのに、競馬に行くと別馬のように走るのがこの馬のすごいところです。この3走ぐらいは、終いにしっかり伸びてくれていて、(初めての条件を克服した)今回は改めてこの馬の能力を感じました。去年の夏以降は成績も安定し、精神的にも成長を感じます。









川田将雅騎手
今日に関して言えば、すごく成長を感じたと言うよりは、元々持っているポテンシャルで勝ち切ってくれた感じです。順調に、一戦毎に色々なことを憶えながら重賞まで来たので、これから先もよりよい舞台で、一番上のカテゴリーでもこういう勝負が出来るように(馬を)作っていければと思います。