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第28回黒船賞JpnIII

タフな馬場もパワフルに逃げ切る
  選択肢が広がるグレード2勝目

ファンもホースマンも天気予報とにらめっこ。日本で最も砂が深いと言われる高知競馬場は、馬場状態が大きなカギを握っている。この冬、高知は水不足に至るほど雨が少なく、良馬場開催が多かったのだが……黒船賞JpnIIIの2日前にまとまった雨が降った。しかし春の陽気で砂が乾いて、当日は『稍重』。黒船賞JpnIIIのひとつ前の第3レース、はりまや盃は9番人気のポイントフォワードが中団から鮮やかに差し切り勝ち。手綱を取った佐原秀泰騎手は言った。

「今日は差しが効く馬場ですね。夜は傾向が変わるかもしれないけど、現状は差しですね」

JRAから5頭、兵庫から2頭の遠征馬を迎えて12頭が覇を争う第28回黒船賞JpnIII。かきつばた記念JpnIII(名古屋)で重賞初制覇を果たしたダノンフィーゴが、単勝2.9倍の1番人気に支持された。根岸ステークスGIII(東京)を快勝したロードフォンスが2番人気、黒船賞JpnIII・4連覇の期待がかかるシャマルが同オッズで3番人気に推された。インユアパレスが4番人気、マテンロウコマンドが5番人気と、JRA勢が上位人気を独占。高知の上がり馬・オタマジャクシは期待とエールの6番人気でゲートに入った。

マテンロウコマンドが抜群のスタートを決めて逃げを打った。ロードフォンスが2番手で、シャマルは3番手、ダノンフィーゴが4番手でレースを進める。向正面から3コーナー、前を行くマテンロウコマンドにロードフォンスとシャマルが競りかけるが、マテンロウコマンドは軽やかに引き離す。4コーナーから直線、マテンロウコマンドは雄大な黒鹿毛の馬体を弾ませて後続の追撃を振り切った。

ダノンフィーゴが3/4馬身差の2着、インユアパレスがクビ差の3着に追い上げた。ロードフォンスが4着で、兵庫のペースセッティングが地方最先着の5着。黒船賞JpnIIIで好走した兵庫所属馬は活躍する傾向がある。ペースセッティングの今後に注目したい。

12着のオタマジャクシは、ゴール入線後に永森大智騎手が下馬。歩いて厩舎に帰っていったが、大事に至らぬことを願うばかりだ。

マテンロウコマンドは圧巻の逃げ切り勝ち。はりまや盃の表彰式を終えた佐原騎手は「あの展開で垂れないのだから、マテンロウコマンドは恐ろしく強いですね」と目を丸くした。

2歳時からマテンロウコマンドの鞍上を務める松山弘平騎手は言う。

「厩舎でゲートの練習をしてくださった効果でスタートが本当に上手くいったので、先手を取る形を選びました。自分の通りたい場所を通ることができましたし、リズムよくいいレースができたと思います」

長谷川浩大調教師はこう振り返る。

「前走のかきつばた記念でゲートが悪かったので、中間はゲート練習を中心的にやってきました。今日は本当にそのゲート練習が生きたなあと思います。与えられた枠(3番枠)と馬場の回復具合をふまえて、ジョッキーとは『積極策で行けるなら行こう』と話していました。逃げることができましたし、1~2コーナーの回り方も理想的な形で運ぶことができたんじゃないかと思います」

3歳時に勝った兵庫チャンピオンシップJpnII(園田)以来、約11カ月ぶりの勝利。長谷川調教師は「久々に勝つことができて感動しました」とほほ笑む。

「本当にタフな馬で、まだまだ幼い部分はあるんですけれども、いつも一生懸命に頑張ってくれます」

賞金を加算したことで、レース選択の幅も広がるだろう。乾きゆくタフな稍重馬場をパワフルに逃げ切った4歳馬。飛躍の予感がする。

取材・文井上オークス

写真桂伸也(いちかんぽ)

Comment

松山弘平騎手

内から馬が迫って来てもひるむこともなく、自分のレースができたと思います。最後は力強く押し切ってくれました。厩舎でしっかり仕上げてくださった効果を実感しています。兵庫チャンピオンシップを勝ってから間隔が空いてしまったんですけれども、こうして勝利することができて本当に嬉しいです。

長谷川浩大調教師

地方交流重賞に出ること自体が大変ですし、なんとか賞金を加算したいという気持ちでやってきたので本当に嬉しいです。地方競馬のコースとは相性がいいタイプだと思うので、これからも頑張ってくれると思います。馬の状態に問題がなければ、東京スプリント(大井)を含めて出走レースを考えたいです。

※レース後に妹尾将充元騎手が聴き取り、書き起こした騎手のコメントはこちら