アタマ差とらえ2歳時の雪辱
地元岩手が9年ぶりに勝利
グランダム・ジャパン3歳シーズンの第4弾となる留守杯日高賞は水沢1600メートルが舞台。
当レースが地方全国交流へ昇格した2010年以降の過去16回では川崎4勝、大井3勝、北海道と岩手が2勝ずつ。あとは船橋、浦和、笠松、愛知、金沢がそれぞれ1勝。各地区からまんべんなく優勝馬が出ているが、岩手勢は17年(第17回)のダンストンレガーメを最後に、長らく勝利から遠ざかっていた。
今年の対決図式は門別・トリップスvs水沢・セイクリスティーナ、そして南関東4頭。特にトリップスはグランダム・ジャパン2歳シーズンのプリンセスカップを逃げ切り4馬身差で完勝。一方、セイクリスティーナは0秒9差3着に敗れており、今回も1番人気はトリップスかと思われた。
実際、馬券発売当初はトリップスが若干リードしていたが、次第に五分の人気から最終的にセイクリスティーナ1.9倍、トリップス2.4倍と逆転。おそらくトリップスの馬体重マイナス13キロも影響したと思う。「使い減りするタイプなので体重減は考えていたが、思った以上に減っていました」(小野望調教師)
セイクリスティーナはマイナス4キロ。「前回(あやめ賞)はプラス17キロだったが、10キロは成長分。今回はひと叩きされて体が締まってきたので、いい感じで仕上がりました」(佐々木由則調教師)。これも明暗を分けたかもしれない。
逃げたのは願ってもない1番枠を引き当てたトリップス。2番手にパリスフォンテン、外め3番手にファーマドール、さらにその外にイタズラベガ。セイクリスティーナは隊列を見て5番手インに控えたが、反応ひと息。「速い流れのキックバックを嫌がっていた感じでした」(山本聡哉騎手)
しかし2コーナーを回って、セイクリスティーナは外に持ち出されるとようやく反応。徐々に先団に接近すると、後続を引きつけて逃げていたトリップスが3コーナーからスパート。セイクリスティーナが2番手まで進出したが、トリップスは徐々に差を広げていき、4コーナーでは5馬身以上のリードを取っていた。
直線を向いても差は縮まらずトリップスがプリンセスカップの再現かと思ったが、残り100メートルでガクンと減速。その外からセイクリスティーナが一完歩ごとに差を詰め、並んだところでゴール。ファンは固唾を飲んでスローモーションを見守ったが、セイクリスティーナがわずかに先着。勝利を確信すると思わず拍手が湧きあがった。
「地元の馬が結果を出してくれて、すごくうれしいです」(山本聡哉騎手)。それはファンの気持ちも同じ。表彰式も交流戦ならではの盛り上がりだった。
次のターゲットは東北優駿。この日の3歳A級戦を圧勝したフォースメン、2歳時3戦3勝でダイヤモンドカップから復帰予定のレジェンドバローズ。ネクストスター北日本は3着だったが2000メートルへの延長を味方にするジェイエルビットなどそうそうたる顔ぶれ。今年の岩手クラシック戦線は、間違いなくヒートアップする。
取材・文松尾康司
写真佐藤到(いちかんぽ)
Comment

佐々木由則調教師
今回、改めて力をつけたことを実感しましたし、反応するところでも反応するので大人になったと思います。4コーナーではトリップスにやられたと思いましたが、最後まで頑張ってくれました。水沢の方が合うと言われるのは機動性があるからだと思いますが、盛岡も問題ない。この後は東北優駿へ直行します。








山本聡哉騎手
トリップスをマークするのは当然でしたが、ポジションは流れ次第。ペースが遅かったら3番手も考えていたが馬を信じて正々堂々と乗りたいと思っていました。勝負どころでトリップスに離されたので4コーナーでは届かないかなと思っていたが、調子も良かったので、交わしてやるという気持ちがありました。