逃げ馬とらえ追い比べ制す
サウジ帰り2頭のワンツー
JRA勢5頭のうち、サウジ帰りの2頭と、今年に入って2勝を上乗せした2頭が対決する構図となった今年の兵庫チャンピオンシップJpnII。結果的に単勝1.7倍の支持に応えたサトノボヤージュ(JRA)が勝ったが、一時期は出走できるかどうかさえ危ぶまれる状態から能力でねじ伏せた。
最大の懸念点は、「蹄のトラブルで追い切りが2・3本少なく、出走を迷う状態で今週を迎えました」と田中博康調教師は苦悩を打ち明けた。それでも出走に踏み切ったのは、馬の底力を信じていたから。デビュー2戦目でダートに転向すると、快勝続きの3連勝で、前走のサウジダービーG3では直線で先頭に立つ力を見せていた。ポテンシャルはかなり高い。
立ち回りがやや難しくなる最内枠を引いたが、レースでは好スタートを決めると砂が重たくないところまでじわっと出し、好位につけた。後続を離して逃げるエコロレーヴ(JRA)を4コーナーで捉えに行く。トウカイマシェリ(JRA)も内をすくって直線で馬体を併せに来たが、半馬身抜け出して勝利を収めた。
「1番人気に応えられて、ホッとしました」と戸崎圭太騎手は安堵の表情。「最内枠が一番のポイントだと思っていて、あまり内側を走りたくなく、隊列がバラけたので上手く外に出せました」
その縦長の展開を作ったのは逃げたエコロレーヴ。一歩目で躓いたのをリカバーするためにハミを掛けたところ、そのまま前進気勢旺盛にレースを引っ張った。さらに、デビューから2連勝を好タイムで挙げたエンドレステイル(高知)も吉原寛人騎手がグーッと手綱を引っ張るのとは対照的にグイグイと2番手を進んだことで、隊列はバラけた。
その恩恵を受けたのは地方最先着の3着ゼーロス(大井)もだった。昨秋の鎌倉記念では初の左回りで1コーナーで大きく外に膨れ、右回りのハイセイコー記念でもコーナーで怪しい面を見せていたが、この日は他馬と同じようにコーナリングができた。笹川翼騎手はこう説明する。「スムーズに走れれば大丈夫。テンションを上げないようにすることと、前の馬との差を詰めすぎないように気を付けました。前が飛ばす展開も理想的でした」
1800、1700メートルのここ2走は距離が長くて最後に脚が上がるレース内容だったが、距離短縮と鞍上が手の内に入れたことでポテンシャルの高さを示した。
2着トウカイマシェリはかねてより本馬場入場や返し馬を慎重に行っていたが、前走・サウジダービーG3では馬場入り直前に騎手が落馬。そのため、この日は全馬が返し馬を終えてから馬場に登場し、コース上で鮫島克駿騎手が騎乗する対策を取った。勝ち馬にはあと少し届かなかったものの、レース前の工夫で力は発揮できた。
勝ったサトノボヤージュはこのあと休養の予定。「こういった状態だったので、勝敗にかかわらずレース後は休ませることを決めていました。次走についてはそれから考えたいと思います」と田中調教師。万全の状態であればどこまで強い競馬を見せてくれるのか。大きな可能性を秘めている。
取材・文大恵陽子
写真桂伸也(いちかんぽ)
Comment

田中博康調教師
内枠で難しいと思っていましたが、戸崎騎手が上手く立ち回ってくれました。ひと頓挫、ふた頓挫あって、かなり心配しながらレースを見ていましたが、力が抜けているんだなと感じました。この後のプランは休ませてからじっくり考えたいと思います。











戸崎圭太騎手
4コーナー手前で、逃げるエコロレーヴが怖いなと思い仕掛けを早めました。後続馬も迫ってきましたが、来てからも馬が反応してくれて勝つことができました。馬のおかげです。初めて乗った時から能力を感じていた馬。どこからでも競馬ができるので、レースの幅を広げていけたらと思います。