私が船橋競馬場に足を運ぶようになった2000年頃は、高度成長期に建てられた頑丈なスタンド内にたくさんの飲食店がありました。2階には食堂とカレーラーメンが名物の売店などがあって、3階にもカウンター形式の軽食堂。そして、ガラス張りの外にも売店と食堂があって、4階には何回も行った焼きそばがおいしい店。5階の特別観覧席にも食堂と売店がありました。
しかしその大半は観客数の減少に伴って閉店し、新型コロナウイルスの影響による無観客開催でさらに減少。船橋競馬場で老舗といえるのは「東西商会」と「田久保」だけになってしまいました。
そのうちのひとつ「田久保」さんは、もともとはスタンド内にありました。それがファンエリアの縮小化によって、パドックの横に作られた平屋建ての投票施設「アタリーナ」の近くのプレハブ小屋に移動。そこはハッキリ言って目立ちにくい場所で、雨が降ると開店休業状態になってしまうという厳しい条件でした。
その後、スタンドは建て替えられまして、「田久保」さんは1階に用意された売店に入ることになりました。
しかしこんどの立地条件はあまりにも良すぎ。重賞の日は常に行列ができていて、ダートグレードの日は見た瞬間に退散するレベルの大行列。そういうわけで、現在のスタンドができてから1回も買ったことがありませんでした。
だったら重賞がない日ならスンナリいけるんじゃないかしら。と思って木曜日の夜7時半頃に行ったところ、店の前からは15人くらいの列ができていました。ド平日でもけっこう並ぶのね。でもこれなら待ち時間は10分以内かな。と判断したら、だいたい予想どおりの時間で順番が回ってきました。
「次のかた、どうぞ」
「煮込丼とレバーをお願いします」
私の前には2組がいましたが、串ものをコンロで焼くので早めに聞いて準備する模様。この業態だと提供までにある程度の時間がかかってしまうのは仕方ないと思います。串ものはカレーや焼きそばのように、大量生産大量消費に向かないですからね。
それはともかく、カウンターの向こう側にいる店主からは並んでいる人々が見えているはずですが、あわてることなく確実かつていねいに仕上げている印象を受けました。ベテランの貫禄が伝わってくるというか。
受け取った煮込丼も老舗ならではの安定感と安心感がある味。レバー串は受け取る直前に「タレ」または「塩」を選びます。今回は塩。並ぶ価値がある店だと思いますが、個人的には「列が短い状態を発見したら、すかさず足を向ける方式」をおすすめします!







浅野靖典(あさのやすのり)
競馬キャスター・ライターとして活動中。JRAブリーズアップセール、八戸、九州の各競走馬市場にて司会進行を担当。ライターとしては、
・競馬総合チャンネル(netkeiba.com)
・POGの達人
・JRAホームページ
・週刊プレイボーイ
・WEBハロン
などに寄稿している。