早めに仕掛け人気馬を凌ぐ
アタマ差で一冠目の雪辱
佐賀競馬場のパドックは、12頭立てでは馬の前後の間隔が詰まるため、イレ込んだ馬が立ち上がった際などに他馬の周回に影響を与えるシーンも時折あった。そのため隣接する設備(専門紙販売所・開催案内掲示板)を解体し、昨年12月から4月にかけて拡張工事を実施、5月から供用開始となり、8月からはフルゲート14頭化されるとのこと(当面は1日1競走程度で安全性を確認)。2024年のJBC開催を期に進められたパドック施設改善(カメラ増設、ビジョンや馬主エリア新設)もこれで一区切りだが佐賀・鍋島藩の伝統に由来する全国唯一の『右回りパドック』は変わらない。
佐賀3歳三冠一冠目の佐賀皐月賞はサキドリトッケンが快勝し、佐賀重賞7戦7勝として二冠目の九州優駿栄城賞へ参戦。圧倒的実績からパドック周回中は単勝1.0倍となった時間もあったが、最終的には1.2倍。2番人気には前々走で新設重賞の佐賀城下スプリントを制し、サキドリトッケンとは初対戦のフラクタルが8.4倍となった。
スタートから積極的にハナを主張する馬はおらず、押し出されるようにハクアイドゥマンが先頭を確保し、リリーベネットが外を併走。ウルトラキッドとカシノアミュレットが追走し、サキドリトッケンはその後ろで前走よりは前目のポジション取り。向正面でカシノアミュレットがハクアイドゥマンに並びかけていき、3~4コーナーにかけて両馬が後続を引き離しつつあったが、サキドリトッケンも3番手まで上がり追撃態勢。
直線に入りカシノアミュレットが先頭に踊り出て、サキドリトッケンが猛追。これまでの重賞では最後に交わしきっていたが、今回はカシノアミュレットがアタマ差凌ぎきった。そこから3馬身差にハクアイドゥマンが粘り、ここまで1、2着が逆転しての佐賀皐月賞上位3頭。4着ミッジーチャンプ、5着ウルトラキッド。別路線の馬ではフラクタルの6着が最先着だった。
カシノアミュレットは前走まで重賞5戦して2・3着が4回と世代上位の力を見せていた。「理想は体重がもう少し欲しいですが、春先から毛ヅヤも良くなりました。阿部騎手には『3走前よりデキは違うと思うから2着狙いではなく勝ちにいくレースを』と伝えていました」(手島勝利調教師)と強気で大一番に臨んでいた。今後については「休ませるかもしれないし、エスワンプリンス(手島厩舎所属で12年に佐賀三冠を達成)の黒潮盃(大井)のように他場遠征もあるかもしれませんが、夏の暑さが心配なので、無理はしたくないですね」とのこと。
2着に敗れたサキドリトッケンの真島元徳調教師は「向正面でスピードに乗る前にキックバックを受けたのが痛かったですね。今日(の敗因)はそれだけです」と振り返った。差し比べで負けたのではないだけに、展開のアヤということだろう。
取材・文上妻輝行
写真桂伸也(いちかんぽ)
Comment

手島勝利調教師
砂を被っても大丈夫なので内が良かったのですが、外枠になったので開き直って外から攻めるしかなく、外目を回って早めに抜け出してセーフティリードを取って、と考えていたので、理想通りの競馬ができました。最後は迫られましたが、なんとか踏ん張ってくれました。









阿部龍騎手
すごく状態が良かったので、馬の邪魔をしないように(力を)存分に発揮できるように、それだけを考えて、いつでも動けるような恰好で道中はいました。(サキドリトッケンが)来るのを待っていたら勝負にならないので、少しでも早く抜け出してあとは頑張ってくれ、という思いで乗っていました。