吉村騎手が優勝3度目の快挙
デビュー2年目中山騎手が3位
2026地方競馬ジョッキーズチャンピオンシップ
今年の地方競馬ジョッキーズチャンピオンシップの舞台は船橋競馬場。昨年の金沢とは違いフルゲートが14頭ということから、各競馬場の指定期間勝利数1位騎手12名に加え、『招待競走地方競馬代表騎手選定委員会が特に認めた者』として、昨年のNARグランプリ年度代表馬ディクテオンの主戦・矢野貴之騎手(大井)に、一昨年8月に兵庫に復帰し昨年地方で229勝を挙げた小牧太騎手が加わった。
出場騎手に“常連”が多いなか、初出場となる騎手が5名いるのが今年の特徴。前述した小牧騎手に、昨年初の全国リーディングに輝いた笹川翼騎手(大井)。佐賀の飛田愛斗騎手は山口勲騎手の壁を乗り越えての出場で、船橋競馬場では今年の3月31日に勝利を挙げたが、緊張感が漂う表情で紹介式に臨んでいた。
愛知の望月洵輝騎手はデビュー3年目ながら、昨年は東海優駿を制した。そして今年ヤングジョッキーズシリーズへ初出場予定の浦和・中山遥人騎手。減量騎手の優勝となれば、それはまさに快挙だ。
接近する台風の影響でやや強い風が吹くなか、第1戦の出走馬がパドックに入ってきた。C3クラスのメンバーは力量差が大きい印象で、単勝10倍未満が4頭いる一方、80倍以上が5頭。出走馬は近走成績等を参考にA・B・Cの3つにグループ分けされ、抽選により各騎手は1回ずつ騎乗する。第1戦でAの馬に乗るのは本田正重騎手(船橋)、望月騎手、永森大智騎手(高知)、野畑凌騎手(川崎)。
最内枠から本田騎手が先手を取り、向正面で主導権を取り切ったところで手綱を絞ってペースを落とすと、その後ろに付けた野畑騎手、矢野騎手、石川倭騎手(北海道)も手綱を引っ張る形になった。その流れで進んだところ、2コーナーでは中団にいた望月騎手が一気に動いて2番手に上がった。
本田騎手はそれに呼応してペースを上げたが、追い上げた馬の勢いが上。最後はインコースで粘る本田騎手を競り落とす形で、望月騎手が勝利を挙げた。
南関東での初勝利となった望月騎手は「名古屋より直線が長いので、あわてずじっくり乗りました」と、結果を出せてホッとしたという表情。3コーナーで位置を上げた点については「仕掛けたら後続も来たので、まくられないように出していきました」と、落ち着いた表情で話した。
1馬身半差の2着に入った石川騎手は、騎乗馬がCグループだったと聞くと「そうなんですか。だったらチャンスですね」と笑顔。2着にハナ差で3着だった永森騎手は「(馬が)ハミを取りすぎた分かな」と振り返って、次のレースの装鞍に向かった。
ひとつレースをはさんでの第2戦は、C2クラスの1800メートル。単勝1番人気に支持された中山騎手が逃げ切り圧勝を飾った。
「砂をかぶらない位置でと思っていたら逃げられたので、そのままの流れで行きました。でも道中は後続が気になって怖かったです」と、勝ったあとでも緊張が抜けない様子。中団の後ろから5馬身差の2着に追い上げた笹川騎手は「リズムよく走れましたが、勝った馬が強かったです」とのこと。3着には9番人気(Bグループ)の野畑騎手が「後方からの馬なので、じっくり溜めて乗りました。でも2着は欲しかったなあ」と話し、そして「次で決めてきます」と意欲を示した。
また、Cグループの馬で5着に入った金沢の中島龍也騎手は「指示のとおりに乗れました。次のレースでも頑張ります」と、笑顔を見せていた。
その「次のレース」が運命を決める最終戦。この段階で優勝の可能性がなくなった騎手は何名かいたが、大半は着順ひとつで1位が狙えた。第2戦が終了した時点でのトップは勝利を挙げた望月騎手と中山騎手。ともにもうひとつのレースが10着以下で合計31ポイント。合計12ポイントの中島騎手は、勝てば他の騎手の着順次第で逆転優勝が可能だ。その第3戦は単勝1番人気。しかし、C1クラスの2200メートルで出走馬の多くが未知の距離という条件では、ペース配分が難しそうだ。
すると、好スタートを決めた飛田騎手と望月騎手が、後続を引き離して競る形になった。飛田騎手は中島騎手と同じ12ポイントで、存在感を見せたいところ。そして望月騎手は、騎乗馬が過去すべて1600メートル以下で、しかも連闘。少しでも多くのポイントを獲得するためには先手を取って粘らせるしかないと考えたのだろう。その2頭から15馬身ほど離れた3番手を追走したのは中島騎手。ただ、競った両馬が早々に失速してしまったのは誤算だったかもしれない。
中島騎手は3コーナー手前で先頭に立ち、そこからの粘り込みを狙ったが、そのうしろから追い上げてきた吉村智洋騎手(兵庫)が差し切り勝ち。コンビを組んだのは2200メートルで9戦して3着以内が7回もあるという、距離適性が高いラップランドだった。
そして発表された最終結果は、第3戦の勝利が効いて37ポイントの吉村騎手が総合優勝。2位は1ポイント差で笹川騎手となった。
続く3位に入ったのが中山騎手。勝った第2戦以外がともに最低人気馬だったことを考えると、かなりの健闘だったといえる。
吉村騎手の優勝は、19年、24年に続いて3回目。地方競馬代表としての舞台は、8月22日(土)、23日(日)にJRA札幌競馬場で実施される『2026ワールドオールスタージョッキーズ』だ。
取材・文浅野靖典
写真早川 範雄(いちかんぽ)
Comment

総合2位 笹川翼騎手(大井)
1ポイント差ですからね。でも第3戦の3着は脚がいっぱいいっぱいで、4着かもと思ったくらい。でも2位っていうのは、本当にくやしい。でも神様が「お前にはまだ早い」と言ってくれているんだと思って気持ちを切り替えて、ワールドオールスターに出場する夢を追っていきます。

総合3位/第2戦1着 中山遥人騎手(浦和)
第3戦は後方からの馬なので、勝負してみようという形にしました。第1戦ももう少し工夫すれば、と思えるところがあったのですが、3位に入れたのはうれしいです。昨日から緊張していて夜もあまり眠れなかったんですが、この経験で緊張があるなかでも落ち着いて乗れるようになれるかなと思います。




















総合優勝/第3戦1着 吉村智洋騎手(兵庫)
(今年のダイオライト記念を勝った)船橋競馬場との相性がいいですね(笑)。1戦目が7着で2戦目が最下位だったので、ポイントのことは考えていませんでした。でも第3戦はひと追いごとにしっかり走ってくれました。札幌競馬場がとても好きなんですよ。3度目ですね。優勝できるように頑張ります。