3番手から直線一気に抜け出す
ジーワン初制覇で海外視野に
今年で30回目の節目を迎えたさきたま杯JpnI。『今年も浦和で最速が生まれる!』を合言葉に、全国からダートの快速馬が集結した。
単勝1.8倍の1番人気はJpnI・3勝のウィルソンテソーロ。以下、1400メートルのダートグレード競走の勝ち馬ロードフォンス、ヤマニンチェルキ、ダートで初タイトルを狙うママコチャ、5年連続の出走となったシャマル、昨年のNARグランプリ2歳最優秀牡馬を受賞したホッカイドウ競馬のベストグリーンが続き、話題豊富なメンバーが集った。
場内には前年比142.4%となる9695名のファンが詰めかけ、薄暮開催中の浦和競馬場は平日とは思えぬような熱気に包まれていた。
昨年の覇者シャマルが好枠を生かしてハナを主張すると、ベストグリーンも並びかけるように2番手へ。2馬身ほど離れた3番手にロードフォンスが続いた。その後ろには兵庫のサトノルフィアン、ママコチャ、地元のアウストロ、ヤマニンチェルキ、大井のティントレット。そこから少し離れてウィルソンテソーロが追走し、後方には大井のイグザルト、地元のジョージテソーロとビナサクセスが続いた。
3コーナー過ぎからシャマルとベストグリーンが後続を引き離しにかかり、4コーナーではベストグリーンが一度は先頭に立ったが、ロードフォンスが一瞬にして抜き去り、力強く先頭でゴールを駆け抜けた。勝ちタイムは1分25秒3(稍重)。1馬身半差の2着は猛追したウィルソンテソーロ、さらに1馬身半差の3着はメンバー最速35秒8で追い込んだイグザルトが入った。
ロードフォンスはかきつばた記念JpnIII、根岸ステークスGIIIに続く3つ目のタイトル獲得で、JpnIは初制覇。
主戦の横山和生騎手は「1勝クラスから乗せてもらっている思い入れのつまった馬。一緒にさきたま杯を勝つことができて本当にうれしいです」と笑顔。「浦和の1400メートルなのでしっかり出していってハナを取るつもりでしたが、2頭が主張してきたので、あの位置からになりました。そこからでもしっかり折り合えて、コーナーは怪しかったですが、よく辛抱してくれたと思います」とレースを振り返った。
管理する安田翔伍調教師も喜びを隠しきれない様子で「調教助手時代に携わらせていただいたロードカナロアの産駒でジーワンを勝つことができて、ゴールに入った時には涙が出ました」と目を潤ませ「なつっこいところと毛色は(ロードカナロアに)似ています」と愛おしそうに語った。
今後については「左回りの武蔵野ステークスは魅力ですがジーワンを勝って斤量を背負うので、それに対応できるのかと考えた時に、海外も視野に入れたブリーダーズカップも選択肢のひとつです。暑い中で頑張ってくれて、その回復の程度にもよります」と未来を見据えた。
地方最先着の3着となった荒山勝徳厩舎のイグザルトは、直線矢のごとく弾けた。前哨戦のプラチナカップVから手綱を取る矢野貴之騎手は「スタートで出過ぎてしまい道中の難しさはありましたが、うまく位置を下げることができました。広いコースの方が良さそうですが、道中の運びさえうまくいけば素晴らしい切れ味を持っています」と評した。
ハナ差の4着には同じく荒山厩舎のティントレット。東京スプリントJpnIIIの2着時もコンビを組んだ石川倭騎手は「ゲートで立ち遅れたのはこのコース形態では致命的でしたが、砂をかぶっても最後まで脚を使えました。収穫は多かったです」と前向きなコメントを残した。
なお、8着に敗れたが、唯一の3歳馬だった田中淳司厩舎のベストグリーンの健闘も光った。「2番手を取れてリズムよく走れました。4コーナーの手応えの割には伸びがイマイチでしたが……」と初騎乗の吉原寛人騎手。昨年は遠征の鎌倉記念を快勝し、全日本2歳優駿JpnIでは地方馬最先着の3着。今年はサウジダービーG3で海外にも初挑戦した。これからの地方競馬を担っていく逸材として、この経験を活かしさらなる飛躍に期待が高まる。
取材・文高橋華代子
写真いちかんぽ(宮原政典、早川範雄)
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安田翔伍調教師
寒い時期に比べると活発さは足りないのかなと感じましたが、酷暑にはなっていないので、例年よりは活気がある動きはできていました。年間を通しても、この馬にとってはめったにない条件だったので、暑さ対策をして体力維持をしていければと考えていました。返し馬を見ても、いいコンディションでした。












横山和生騎手
(浦和初コースで)ちょっと右に張って乗りづらいところはありましたが、僕がうまく乗れればこなしてくれると思っていたので、うまく乗ることができてよかったです。まだ涼しいとは言え、だんだん蒸し暑くなってきた中で、本当にすばらしい状態で持ってきてくれた厩舎スタッフと馬に感謝しています。