直線一気に実績馬を差し切る
ダートで素質開花し重賞初制覇
昨年の覇者ドンインザムード、一昨年の勝ち馬ミッキーファイトは、新たにダート三冠目となったジャパンダートクラシックJpnIに参戦。今年のレパードステークスGIIIにも、これからダートグレードレースを目指せそうな3歳馬たちが集まった。
今年の出走馬は12頭で、過去最少。また、フルゲート(15頭)に満たなかったのは10年ぶりだ。それでも前走で勝利を挙げた馬が9頭も参戦。そのなかで単勝1番人気に支持されたのは、ユニコーンステークスGIIIでの2着から臨んだメルカントゥール。2番人気は連勝中のショウナンバンライで、3番人気は前走でオープン特別の青竜ステークスを制したドンエレクトス。昨年の全日本2歳優駿JpnIを制したパイロマンサーは4番人気でも5.9倍と、上位拮抗といえる分布になった。
しかし勝利を挙げたのは、前走が1勝クラスで1着だったチェリヴェント。6番人気、単勝20.8倍での勝利だった。
この日の新潟競馬場は最高気温が29度ほどで、北からの涼しい風が吹き抜ける過ごしやすいコンディション。それでも『暑熱対策中』で、出走各馬がパドックを2周すると騎乗合図。パドックでの滞在時間は5分ほどで地下馬道へと向かって行った。
ゲートが開くと、先手を取ったのは6番ゲートから出たドンエレクトス。2番手にはヒシアムルーズがつけ、パイロマンサーも逃げ馬を前に見る位置を確保。そこにメルカントゥールも加わってきた。
そして3コーナーでヒシアムルーズが失速すると、そのあとは逃げるドンエレクトス、追いかけるパイロマンサー、メルカントゥールの三つ巴という様相に。最後の直線に入ってもその構図が続いたが、そこに食い込んできたのは5番手を追走していたチェリヴェント。残り100メートルあたりから目立つ伸び脚を見せて差し切り勝ちを飾った。
チェリヴェントはコントレイル産駒。デビューからの4戦は芝中距離で6着以下が続いたが、ダートに転じた5戦目に初勝利。続く昇級初戦は大敗だったが、その後は3戦とも3着以内で、前走は2着に6馬身差をつけていた。
「馬っぷりが良くて、デビュー前から期待していました。でも今回はどこまで食い込めるか、と思っていました」とレース後に話したのは、管理する清水久詞調教師。鞍上の吉村誠之助騎手が「夏があまり得意ではないのでは」と話していたことに対して問われると「その分の余裕をもって、ソフトな仕上げにしました」と答えていた。
一方、ゴール寸前で勝ちを逃したのは、アタマ差2着のパイロマンサー。吉村圭司調教師は「でも内容的には一番強い競馬をしたと思います。前走(UAEダービー3着)は全く走れていなくて、それが本当に悔やまれたんですが、日本に戻ってきたらさらに背が伸びて、そして体つきがイカツクなってきました」と、全日本2歳優駿JpnIとの比較で21キロ増えて524キロに成長した愛馬を讃えた。
1番人気のメルカントゥールは2着から3/4馬身差で3着。しかしユニコーンステークスGIIIでクビ差だけ先着されたシルバーレシオが東京ダービーJpnIで2着だったとなれば、こちらも巻き返す可能性は十分にある。
ちなみに、逃げて4着だったドンエレクトスが刻んだ前半1000メートルのペースは、同じく良馬場だった2年前と同じ61秒0。そして勝ち時計も2年前のミッキーファイトと同じ、1分51秒2だった。それを考えると、最後まで踏ん張ったドンエレクトスにも高い評価が必要だ。
今年は二冠を制したフィンガーが8月22日にアメリカで出走予定のため、10月7日のジャパンダートクラシックJpnIに向かうかどうかが不透明。それだけに、レパードステークスGIIIで上位に入った馬たちの今後に期待できる結果になったといえるだろう。
取材・文浅野靖典
写真岡田友貴(いちかんぽ)





