好時計で逃げ切り6馬身差
3連勝でいざJpnIの舞台へ
不来方賞JpnIIがダートグレード競走に格上げされ、10月初旬に行われるジャパンダートクラシックJpnIの前哨戦となってから、今年で3年目。今回は初めて、春のJpnI二冠、羽田盃と東京ダービーの上位馬が参戦し、注目を集めた。
そのうちの1頭、ロックターミガン(羽田盃2着、東京ダービー4着で今回3番人気)を管理する石坂公一調教師は、今回の参戦の意図について「2000メートルは東京ダービーで走っているが、改めて今回勝てば、自信を持って本番に行ける」と、距離をひとつのテーマに掲げた。一方、リアライズグリント(同4着、3着で今回2番人気)の矢作芳人調教師は、「気温が高くなる8月の新潟でレース(レパードステークス)を使うのはリスクがある。このレースなら気温は大分違う」と説明。併せて、春二冠で2着以内に入れず収得賞金で心配な面があることから、今後に向けての賞金加算もテーマのひとつとして挙げた。
新勢力としては、イッテラッシャイの参戦が耳目を集めた。デビュー当初から、実業家の著名人・堀江貴文氏(名義はSNSグループ株式会社)の所有馬として話題となったが、ドバイ遠征の断念もありながら力をつけ、ここに来て1勝クラスとオープンを連勝。マークした好時計も評価され、春の実績馬を抑え1番人気でレースを迎えた。
蓋を開けるとレースは、イッテラッシャイの独壇場となった。
騎乗した戸崎圭太騎手は、「スタートを普通に出れば速いと思っていた」という、イメージ通りの逃げ戦法で馬を誘い、前半の1000メートルが手元の計測で60秒を切るか切らないかという、淀みがない流れを作る。後続馬に反撃の機を与えることなく、そのままゴールまで先頭を譲らず走りきったイッテラッシャイがマークした勝ち時計は、2分0秒9(稍重)。2014年のJBCクラシックJpnIでコパノリッキーが出したレコードにコンマ1秒と迫る快時計が、パフォーマンスの高さを示した。
2着ロックターミガンは6馬身差。その4馬身後ろに追い上げたシーズザスローンを3着に挟んで、リアライズグリントは更に10馬身離された4着。戦前の大方の予想を遙かに超える力量差を、見せつけた形だ。
管理する齋藤誠調教師は、「競馬を覚えて自分からハミをぐいぐい取っていくようになってきたので、2000メートル戦での折り合いを意識した」と、中間の調整過程を振り返る。今回の走りに、「我慢するという面では、一夏を越えて成長した」と話して、会心の勝利に目を細めた。
堀江氏も、表彰の後オーナーとして取材に応じ、「強いとは思っていても、相手とか新聞の印を見てどうかなという思いもあったが、本当に強かった。これならば、もっと大きなところでもイケるのではないか」とコメント。テレビや配信などで見せるものとは異なる屈託のない喜びの表情が、印象に残った。
地方馬では、地元岩手生え抜きのレジェンドバローズが5着に入った。騎乗した山本聡哉騎手は、「この馬の出脚も凄く良かった。(このクラスのレースの)ペースに慣れさせるために、流れに乗せていこうと思った」と、道中2番手という果敢なレース振りについて振り返る。「気性面も体力面も2歳の時よりずっと充実している」と手応えを感じた様子だった。
齋藤調教師は、イッテラッシャイの次走にジャパンダートクラシックJpnIを目指すと名言。10月7日、大井競馬場での頂上決戦の行方が、中間のライバル達の動向とともに一層注目される。
取材・文坂田博昭
写真佐藤到(いちかんぽ)
Comment

齋藤誠調教師
騎手とは、枠も枠ですし、積極的に行こうと話していました。多分この馬は、(現状まだ)自分の好きなように走っているだけなんだと思います。今後、凄い馬になるんじゃないかと楽しみです。まだまだ身体も精神も強くなると思います。成長途上なので、成長を止めないように促しながらやっていきます。














戸崎圭太騎手
逃げる形のイメージはしていました。道中は、気持ちが結構入っている感じだったので、もう少し落ち着いて走ってくれると良いな、とは思っていましたが、走るリズムは良かったですし、気持ちよく走ってくれていました。元々素質があり、期待していた馬。スピードだけでなく、パワーも備えた馬です。