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第55回戸塚記念

4コーナー先頭から突き放す
  低評価覆す圧勝で初重賞制覇

ダート三冠の創設により、ジャパンダートクラシックJpnIへの南関東ステップとなった一戦。過去2年は大井のサントノーレとナイトオブファイアが制し、三冠最終戦へ駒を進めている(ともに7着)。今回もそうした秋ロードを目指す馬、ここが最大目標の馬などフルゲート14頭が集結。1着賞金3000万円をめぐる戦いが幕を開けた。

単勝の1番人気は大井のエンドレスソロウで3.4倍。JBC2歳優駿JpnIII以降は全てダートグレードを使われており、久々の地方限定戦で本領を発揮するかと見られた。以下も大井勢で、羽田盃JpnI・3着のロウリュ、門別の王冠賞を勝って転入したマロンソレイユが4.9倍で並ぶ。これに地元・川崎のララメテオが5.4倍で続いた。

浦和のティーズアライトが先手を奪い、クラウニングカップ(船橋)が2番手につける展開。前半3ハロンは37秒2(推定)で、不良馬場のこの距離としては平均か、少し速い流れ。エンドレスソロウは5、6番手の外、ララメテオ、ロウリュ、マロンソレイユは中団で1周目のスタンド前を通過した。

レースが動いたのは2周目の向正面。後方にいた船橋のモエレサワンミヤギがまくり気味に動き、さらに後ろにいたクレームドール(船橋)がこれを追いかける。先行していたクラウニングカップとエンドレスソロウがそれを受けて3コーナーで先頭に立ったが、その外を抜群の手応えで回ってきたのがクレームドールだった。

末脚に定評があるクレームドールが直線の入口で先頭に立ったのでは、他馬はなすすべがなかった。張田昂騎手のアクションに応えて脚を伸ばすと、みるみる他馬を突き放す。最後は4馬身差をつける圧倒的な走りで初タイトルを手にした。

クレームドールはここまで1勝を挙げたのみで、今回も8番人気の評価。ただ東京湾カップを含めて2着は5回と、南関東の3歳ではトップクラスの力を示しており、前走の黒潮盃(7着)もメンバー最速タイのレースの上がり時計をマークするなど上々の内容だった。距離延長と走り慣れた左回りで本来のポテンシャルを発揮した形だ。

騎乗予定だった町田直希騎手が負傷し、急な乗り替わりで勝利に導いた張田騎手。「うれしいですし、驚いています。最後は一生懸命に追っていて、自分は余裕がなかったですね」と話しつつ、充実の表情を見せた。管理する林正人調教師も急なアクシデントに「本来ならオーナーさんと話して決めるところでしたが、急だったので自分の判断で張田騎手にお願いしました。向正面で上がっていったときに、これならと思いましたね」と話す。30年のキャリアを誇るトレーナーの采配が的中し、南関東3歳の頂点に君臨。このあとは休養に入り、来たる年長馬との戦いに向けて英気を養う。

マロンソレイユが2着。王冠賞制覇、北海優駿2着の実績馬が、転入初戦で実力を示した。矢野貴之騎手は「ソフトな仕上げでもしっかり走ってくれました。いかにもステイヤーという感じで、左回りも右回りも関係ないタイプですね」と評価。使ったぶんの上積みが見込めるだけに、次戦以降でさらなるパフォーマンスを披露するに違いない。

1番人気のエンドレスソロウは、2着から2馬身半差の3着。石川倭騎手は「位置取りは良かったし、思うような競馬はできました。勝った馬が強かったかな」と話した。2頭の決め手に屈した形だが、人気に推されたぶん目標にされた面もある。それでも大きく崩れなかったのは力のある証拠で、今後も展開次第でチャンスが巡ってくるはずだ。

取材・文大貫師男

写真築田純(いちかんぽ)

Comment

張田昂騎手

急きょ乗せてもらうことになりましたが、勝ててうれしいですし、自分でも驚いています。いままで乗っていた町田騎手と、林先生の指示に従って上がり重視の競馬をしました。前に目標としている馬がいたので、それを目掛けていきました。いままでの競馬を見ても(距離は)長くなればなるほど味が出る馬です。

林正人調教師

連戦してきたので、状態を維持することを前提に調教してきました。最後まで一生懸命に走る馬なので、どの位置にいても必ず伸びてくれると思っていました。ここでひと息入れて、年が変わってからまた頑張ってほしいと思っています。この馬のいいところを出せるように、今後も頑張ります。